世界初、パネルと並行に映像を出現させる空中タッチディスプレイ 凸版印刷が開発

新製品

2020/10/13 11:00

 凸版印刷は、非接触で操作可能なタッチパネルのニーズに応えるため、従来品と比べきょう体の50%薄型化を実現した空中タッチディスプレイを開発した。世界で初めて、液晶パネルに対して平行位置に空中映像を生成することに成功。12月からサンプル品の提供を開始する。

凸版印刷が開発した世界初の空中タッチディスプレイ

 新型コロナウイルス感染症の拡大予防対策として、非接触型タッチパネルのニーズが高まっている。何もない空間に画像を浮かび上がらせ、センサーで指の動きを検知する製品はこれまでもあったが、奥行きを必要とする構造のため、設置場所と使用用途が限定されていた。また、生成される空中画像は暗く不鮮明でゴースト像が発生し、視認性に問題があった。

 そうしたなか、今回、凸版印刷では、これまで産業機器向け高精細液晶ディスプレイ分野で培ってきた独自の光学設計技術と構造設計技術を駆使し、視認性が高く、壁に埋め込みも可能な薄型の空中タッチディスプレイを開発した。

 新開発した空中タッチディスプレイは、世界で初めて、液晶パネルに対して平行位置に空中映像を生成することに成功。パネルに対して画像が約90度に出現する従来のタイプと比べて、50%薄型化することができるほか、より直感的な操作を可能とした。また、凸版印刷独自の高透過率TFT液晶技術と光学設計技術により、従来品に対して約5倍の輝度(同社比)をもち、ゴースト像の少ない鮮明な空中映像の生成が可能となった。
 
進化した空中タッチディスプレイ

 赤外線方式の空間位置センサーや、ToF(Time of Flight)方式の距離画像センサーを搭載し、空中映像上で目標をタッチする動作を認識する。濡れた手や手袋をした状態に加え、ペンなどでも認識できるため、医療現場やクリーンルームなどで画面に触れることなくタッチ操作を行うことができる。

 さらに、独自の光学設計技術により、空中映像の視野角を左右15度に制限。映像の正面以外の場所からは視認できないため、覗き見を防止し、パスワードの入力などセキュリティ性が求められるシーンでの使用に適している。

 今後、凸版印刷では、空中タッチディスプレイのサンプルを12月に提供開始し、21年の量産試作を経て、22年の本格量産を計画している。主に、医療用機器、公共施設の設備操作盤、高いセキュリティが求められる施設の入退室管理設備などへの採用を目指し、22年度に関連受注も含め20億円の売り上げを目標としている。