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ふるさと納税のやり方を徹底解説! 仕組みからメリット、注意点までを初心者向けに紹介

コラム

2025/09/01 11:30

 故郷や応援したい自治体など、ふるさと納税は好きな自治体を選んで寄付できる制度です。とはいえ、「やり方がわからない」「どんなメリットがあるの?」などの疑問を抱えている方も多いでしょう。

 そこで本記事では、「今年こそ、ふるさと納税をやってみたい」と検討中の人に向けて、ふるさと納税のやり方や仕組みについて詳しく解説します。

 そのほか、ふるさと納税をやることで得られるメリットやチャレンジする際の注意点もお伝えします。これを機に、ぜひふるさと納税デビューを果たしてください。
 

ふるさと納税とは

 ここでは、ふるさと納税について、概要や仕組み、ふるさと納税をやることで得られるメリットについて詳しく解説します。

ふるさと納税の概要
ふるさと納税の仕組み
ふるさと納税のメリット


 それぞれのポイントを紹介していくので、ぜひ参考にしてください。
 

概要


 

 ふるさと納税とは、自分の生まれ育った故郷や、思い入れがあって応援したい自治体など、好きな自治体を選んで寄付できる制度のことです。

 復興支援やまちづくりなど、自治体が抱えるさまざまな課題に対して寄付金の使い道を指定でき、手続きをすれば、実質自己負担額2000円で応援したい地域の名産品や宿泊券などを返礼品として受け取ることができます。

 ふるさと納税は、2008年からスタートした制度ですが、2024年には利用者数が1000万人を突破。寄付した額に応じて所得税の還付や住民税の控除が受けられることもあり、現在では多くの人が利用しています。

 なお、2025年10月以降はふるさと納税ポータルサイト上でのポイント還元が廃止されることが決まっています。そのため「2025年にできるだけお得にふるさと納税をしたい」という場合は、9月までに手続きを済ませるのがおすすめです。
 

仕組み


 

 ふるさと納税では、本来は自分の住んでいる自治体に納税する税金を、任意で選んだ自治体に寄付することで、税金の還付・控除が受けられます。寄付額のうち2000円を超える部分について、所得税と住民税から原則として全額が控除される制度です。

 ポイントは、「税金を前払いしている」という点。たとえば、納税額が3万円の場合、2万8,000円の税金を先に納税することになります。控除上限額は、ふるさと納税をする方の所得や家族構成に応じて異なるため注意しましょう。

 なお、控除を受けるには、ふるさと納税をした翌年に、原則として確定申告が必要です。ただし「ふるさと納税ワンストップ特例制度」では、納税先の自治体数が5団体以内である場合、各自治体に申請することで確定申告が不要になります。ワンストップ特例制度の詳細については、「ワンストップ特例とは?」の項で解説するため、そちらも参考にしてください。
 

メリット

 

 ふるさと納税のメリットは、主に以下の4つです。

寄付金で控除を受けられる
返礼品がもらえる
寄付を通じて自治体を応援できる
クレジットカードのポイントを貯められる



寄付金で控除を受けられる
 ふるさと納税では、自己負担金2000円を除いた寄付金の全額分を「寄付金控除」として受けられるメリットがあります。つまり、実質負担2000円のみで返礼品を楽しめるのです。ただし、控除限度額は、収入や家族構成によって異なるため注意しましょう。控除限度額については、「限度額を調べる」の項で解説するため、参考にしてください。

返礼品がもらえる
 ふるさと納税では、寄付した各自治体からその土地の特産品などの返礼品がもらえます。返礼品は地域によって異なりますが、新鮮な海産物やブランド米、銘柄牛、食べ比べセット、電化製品などさまざまです。各自治体が設定した返礼品をもらえるのは、ふるさと納税の大きな魅力のひとつでしょう。

寄付を通して自治体を応援できる
 ふるさと納税では、生まれ故郷や好きな場所、災害復興を応援したい自治体などへ納税することで、自治体を応援できます。

 寄付金の用途についても、福祉支援や子育て支援など、応援したい分野に絞ることも可能です。思い入れがある町の観光業に対して応援を希望するのであれば、その分野を選んで寄付するといった方法もとれるでしょう。

なお、自分の住民票がある自治体への寄付もできますが、その場合は返礼品を受け取れないため、注意しておきましょう。

寄付でクレジットカードのポイントを貯められる
 ふるさと納税のポータルサイトによっては、クレジットカードを用いてふるさと納税の寄付をすることも可能です。クレジットカードを利用して寄付すれば、寄付額に応じたクレジットカードのポイントを獲得できます。返礼品を受け取れるだけでなく、各サイトから「ポイント」がもらえて、さらにお得になることもあるでしょう。

 なお、2025年の10月以降はふるさと納税ポータルサイト上でのポイント付与が廃止されることが決まっています。そのため、今後よりお得にふるさと納税をするには、クレジットカードのポイント還元を上手に活用することが大切です。
 

注意点


 ふるさと納税の注意点についても把握しておきたいところです。注意点には、以下の3つがあります。

節税にはならない
税金控除のための申請が必要
控除限度額を超過すると自己負担扱いになる


 それぞれの注意点について、詳しく見ていきましょう。
 

節税にはならない


 ネット上では「ふるさと納税をすることで節税になる」という情報を目にすることも多いですが、これは誤解を含んでいるため注意が必要です。

 確かにふるさと納税を利用すると、自己負担2000円を超えた寄付金額について、所得税の還付や住民税の控除を受けることができます。

 しかし、これはあくまでも今住んでいる地域の自治体に払うはずだった所得税や住民税を、別の地域に前払いしているだけに過ぎません。そのため、実際のところは節税にはなっていないのです。

 とはいえ、寄付額に応じた返礼品がもらえるのはふるさと納税の大きなメリットです。「2000円相当以上の返礼品をもらえれば実質プラスなる」という仕組みであることを覚えておきましょう。
 

税金控除のための申請が必要


 ふるさと納税による還付や控除を受けるためには、申請手続きが必要な点にも注意しましょう。

 まず、確定申告が必要な人の例としては、以下のような人が当てはまります。

6カ所以上の自治体にふるさと納税をした人
副業や副収入があるなどの事由で、そもそも確定申告が必要な人
期限内にワンストップ特例の申請書を提出しなかった人


 ただし、ワンストップ特例制度を使うと確定申告は不要です。条件を満たす人は手間を大幅に減らせるため、ワンストップ特例制度の利用を検討しましょう。
 

控除限度額を超過すると自己負担扱いになる


 ふるさと納税自体には寄付の上限額はありませんが、還付や控除を受けられる金額には上限があることにも注意が必要です。

 控除限度額の上限は、家族構成やローンの有無、年収などによって変動します。自分で算出する場合は手間がかかるため、「計算シミュレーションツール」を使って確認してみましょう。次項の「限度額を調べる」では、ふるさと納税をする人の給与収入と家族構成別に限度額目安を表にしていますので、ぜひ参考にしてください。

参考:総務省「よくわかる!ふるさと納税」

ふるさと納税のやり方

 ふるさと納税を利用する手順は、以下のとおりです。

1. 上限額を調べる
2. 寄付する自治体を選ぶ
3. 控除の手続きをする


 それぞれのステップごとに、詳しく見ていきましょう。
 

1. 上限額を調べる

 

 まずは、自身がふるさと納税で控除される限度額を把握しましょう。控除限度額は、ふるさと納税をする本人の給与収入や家族構成、その他控除額に応じて異なります。控除上限額を超えた分は自己負担分となるため、注意しましょう。

給与収入と家族構成別の限度額目安は以下のとおりです。
 
 

※住宅ローン控除や医療費控除等、他の控除を受けていない給与所得者のケースです
※年金収入のみの人や事業者の人、住宅ローン控除や医療費控除等、他の控除を受けている給与所得者の人の控除額上限は表とは異なります
※社会保険料控除額は、給与収入の15%と仮定しています
※「共働き」は、ふるさと納税をする本人が配偶者(特別)控除の適用を受けていないケースを指します(配偶者の給与収入が201万円超の場合)
※「夫婦」は、ふるさと納税をする人の配偶者に収入がないケースを指します
※「高校生」は「16歳から18歳の扶養親族」、「大学生」は「19歳から22歳の特定扶養親族」を指します


 なお、掲載している表は、あくまで目安です。具体的な計算は市区町村にお問い合わせください。

参考:総務省「ふるさと納税 税金の控除について」
 

2. 寄付する自治体を選ぶ

 

 寄付の限度額を把握したら、実際に寄付する自治体を選びましょう。インターネットで自治体のふるさと納税情報を検索すると、自治体や返礼品情報を得られます。自治体のふるさと納税情報を取りまとめたポータルサイトもあるため、そちらを利用してもいいでしょう。

 また、ふるさと納税を実施している多くの自治体では、寄付金の使い道を寄付者が選択できるようになっています。応援したい事業や分野などが決まっている場合は、寄付金の使い道から自治体を選ぶのもおすすめです。

 寄付したい自治体や返礼品が決まったら、自治体のホームページや、ポータルサイトから申し込みます。Web上での手続きが一般的ですが、自治体への電話や書類の郵送・持参での手続きも可能です。支払方法は自治体によって異なり、クレジットカードや銀行振込、現金持参などがあるので、利用しやすいものを選びましょう。

 なお、ポータルサイトからの申し込みについては、以下の記事でも詳しく解説しているので、あわせて参考にしてみてください。

ふるさと納税サイトを徹底比較 それぞれの特徴からおすすめのポータルサイトを紹介

 インターネットで申し込み・寄付をした場合は、後日寄付金受領証明書が郵送で送られてきます。寄付金受領証明書は寄付したことを証明する書類で、確定申告する場合に必要なため大切に保管しておきましょう。

 なお、ふるさと納税には期限がなく、一年中(1月1日~12月31日まで)申し込みが可能です。一年間に手続きしたふるさと納税の合計が、当年度の所得税の還付、翌年度の住民税の控除の対象となります。
 

3. 控除の手続きをする

 

 ふるさと納税を利用したあとは、寄付金控除の申請手続きも忘れてはいけません。

 ふるさと納税の寄付金控除の申請手続きには、「ワンストップ特例制度」と「確定申告」2つの方法があるので、必ずどちらかの手続きを行うようにしましょう。

 手続きには、寄付先の自治体から発行される寄付金受領証明書が必要です。ただし、ふるさと納税の専用の振込用紙や自治体から発行される納入通知書(納付書)で手続きした場合は、払込票控(振込用紙の半券)が確定申告をする際の寄付証明書類となる場合があるため、注意してください。

なお、申請手続きの期限は、ワンストップ特例と確定申告のどちらを利用したかによって以下のように異なります。

・確定申告の場合:翌年の3月15日まで(確定申告の期限と同じ)
・ワンストップ特例の場合:翌年の1月10日まで

ワンストップ特例とは?


 2015年4月1日からスタートしたワンストップ特例制度では、必要書類の郵送のみで寄附金控除の手続きができます。ふるさと納税をした後で各自治体へ申請すれば、確定申告をしなくても税控除を受けられる点がメリットです。

 ただし、ワンストップ特例を利用するためには、「寄付が5自治体以内である」「ふるさと納税を除いて確定申告をする必要がない給与所得者である」という条件を満たさなければなりません。

 制度の申請手順は、以下のとおりです。

1.必要書類(申請をする本人の確認ができる書類、申告特例申請書)を揃える
2.ふるさと納税をした自治体へ提出期限までに書類を郵送(申請期限:翌年1月10日)する


 確定申告の場合とは期限が異なるため、忘れずに対応するようにしましょう。

参考:総務省「ふるさと納税の流れ」

2026年10月から返礼品が少なくなる?

 ふるさと納税は「寄附額に応じて各自治体から返礼品がもらえる」という仕組みが魅力ですが、2026年10月以降は返礼品の提供基準がこれまで以上に厳しくなる予定です。

 これは総務省が制度の公平性を保つために行う見直しで、寄附額に対する返礼品の価値割合や地場産品として認められる基準がさらに細かく設定される見込みです。

 たとえば、寄附額に対して返礼品の価格が3割以下であることや、地域性が明確であることがより厳格にチェックされるため、従来のように高級品や人気商品が揃うラインアップは減少する可能性があります。

 寄附者にとっては「選べる楽しみが少なくなる」「魅力的な返礼品がなくなる」といったデメリットにつながるかもしれません。

 そのため、今後ふるさと納税を活用する際は、返礼品だけでなく、寄附金の使い道や自治体の取り組みに注目して選ぶことがより重要になっていくでしょう。

まとめ


 ふるさと納税は、応援したい自治体に寄付を行いながら返礼品を受け取れ、さらに税控除も受けられる魅力的な制度です。寄付の使い道を選べる点も大きな特徴で、返礼品に加えて地域貢献や復興支援の手段として活用できます。

 ただし「節税」ではなく「税金の前払い」であることや、控除を受けるには確定申告やワンストップ特例制度による申請が必要といった注意点もあります。

 また、控除上限額を超えると自己負担になるため、事前にシミュレーションで確認することも欠かせません。

 そのほか、2025年10月からはポイント還元が廃止され、2026年10月からは返礼品の基準が厳格化される予定のため、「魅力的な返礼品が少なくなるかもしれない」という変化も意識しておくとよいでしょう。

 これからふるさと納税を始める方は、制度の仕組みや最新ルールを理解したうえで、返礼品と地域への応援の両面から自分に合った寄付先を選び、賢く制度を活用してください。