<Discussion>スマホ/タブレットとの差別化

特集

2016/09/26 10:00

 国内外の10社がBCNで議論した「PCメーカー座談会」では、三つのテーマごと分かれて「ラウンドテーブル」を開催。Bグループでは「スマホ/タブレットとの差別化」というテーマで東芝クライアントソリューション、日本エイサー、VAIOの3社が語り合った。

 

スマホがPCの下位モデル? PCの優位性・性能の高さを伝える

 スマホ/タブレットが普及したことで、PCが売れにくくなった、という声を聞いて久しい。スマホ/タブレットはPCに置き換わるものなのだろうか。各社の意見を聞いた。

 PCはラインアップ数が多く、その中でもライトユーザー向けの下位モデルが、スマホ/タブレットに浸食されている。具体的な使用用途は、ネットサーフィン、メール、SNSなどだ。最近はスマホで家計簿をつける主婦も増えている。

 では、スマホ/タブレットでは置き換えられないPCならではの優位性とは何か。例えば、画面の大きさやキーボードによる入力のしやすさ、音質・画質の良さなどがあがる。特にスペック、パワー面については各社とも強調し、高性能CPUによる処理の速さ、大容量のメモリやストレージなどが、スマホ/タブレットにはできないヘビーな使用環境にも耐えられる。こうした性能の高さ、パワーがビジネスシーン、学習、ゲームやVR、動画編集などに生かされる。このPCの強みである、スマホ/タブレット以上のことができる具体的な体験を、消費者に伝えていくべきだという内容でまとまった。
 

左から東芝クライアントソリューション 荻野孝広国内事業統括部 国内B2C営業本部 B2Cマーケティング部部長、日本エイサー 楊 博光プロダクトセールス&マーケティング本部 ジェネラルマネージャー、VAIO 花里隆志 執行役員
 

スマホが創作の“扉”を開きPCが創作の“環境”を提供する

 一方で、スマホ/タブレットを競合と見るのではなく、PC市場にポジティブな影響を与えている側面もある。コンピューティングに触れる機会を多くの人に広げている点だ。例にあがったのがYouTube。スマホを入口にYouTubeに触れた子どもたちが、もっと大きな画面で高精細な映像を見たい、自分で撮影して動画を配信したいといったクリエイティブな関心を持つようになった。

 確かにスマホで映像の視聴はできるが、PCの方がより快適だし、動画の編集にはPCが不可欠である。このような気づきを、スマホ/タブレットが与えてくれた。

 今後もスマホ/タブレットが、PCへの気づきを消費者に与える続けるだろう。だが、そこで課題にあがるのが、PCが多機能すぎて提案の焦点がぼけることだ。書類の作成も、動画の編集もゲームも、何でもできるPCだが、それが故に、消費者がやりたいことにマッチしたモデルの提案が難しいという。

 今後、PC業界全体で、消費者がコンピュータにやらせたいと考えるに相応しいスペックを提案する必要がある。具体的には、動画を編集したいなら、CPU、メモリ、ストレージはどのぐらい必要なのか、VRを楽しめるPCのスペックはどの程度なのか。メーカー、シリーズだけではなく、細かくスペックが分かれたPCのなかから、消費者が最適な一台を見つけられるよう、PC業界が一丸となって議論していく必要があるとの見方で一致した。

<Discussion>
・コンシューマPCに求められていることとは
・売り場で求められる消費者へのアピールポイント
・スマホ/タブレットとの差別化
・家庭内におけるPCの役割とは何か?

<Windows PCメーカー10社に聞く 4つの疑問>
・(1)今、求められるPCの機能は何か
・(2)PCの価格差を消費者は理解できているか
・(3)消費者に足りなかったメッセージは
・(4)今後の販促支援と宣伝展開のキーコンセプトは

<家電販売店のPCバイヤーが考えるPCビジネスの将来>
・エディオン
・ビックカメラ
・ヨドバシカメラ
 
※『BCN RETAIL REVIEW』2016年10月号から転載