パナソニック、マイナス70℃を最長18日間保持できる「真空断熱ボックス」を開発

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2021/01/21 17:00

 パナソニックは1月21日、ワクチンなどの医薬品の安定輸送に求められる、ドライアイスなどの保冷剤を使ってマイナス70℃以下の状態を最長18日間保持できる真空断熱ボックス「VIXELL(ビクセル)」を開発したと発表した。

パナソニックの真空断熱板(VIP)技術を応用した「VIXELL」

 2020年度末から製薬会社や流通業者などへサンプル提供を開始し、早期の商品化を目指す。

 VIXELLは、パナソニックの冷蔵庫の省エネ化を実現してきた断熱性能を高める真空断熱板(VIP=Vacum Insultation Panel)の技術やノウハウを応用した。

 一般的な断熱ボックスは、VIPを貼り合わせて断熱層を形成するため、パネルの継ぎ目から冷気漏れが課題だったが、今回、VIPでは実現できなかった、箱型の立体形状に一体成型する独自加工で継ぎ目をなくし、冷気漏れの課題を解決した。
 
冷気漏れの課題を解決した

 また、57リットルタイプでは断熱材に発泡ウレタンとグラスウールを使うことで、従来開発品よりも保冷能力を約30%向上させた。

 VIXELLで温度を維持する仕組みは、ボックス内に蓄熱ユニットを設置して、蓄熱ユニットの内外に保冷剤を充填するというもの。蓄熱ユニットや保冷剤を変えれば、マイナス70℃以下のドライアイス温度帯やマイナス20℃以下、2~8℃の温度帯など、多様な温度設定にも対応できる。
 
マイナス70℃を最長18日間保持できる

 また、断熱材の表面を被うプラスチック製シートは、ドライアイスなどを保冷剤として使うと輸送中の落下や振動でシートが破損するおそれがあるが、VIXELLでは、衝撃吸収構造を採用することで、ボックス内のシートの破損を軽減。ドライアイス温度帯でも、安定した輸送を可能にした。