2026.6.27 18:00
暮らしにプラス家電量販店の再編始まる? スマホ普及期の2012年と2027年の大きな違い
2012年5月、ビックカメラがかつての業界売上高1位の企業・コジマの買収を発表し、大いに話題となった。そして今年6月、現在売上高No.1のヤマダホールディングス(ヤマダHD)とエディオンが、対等を前提条件とする経営統合に向けた協議・検討を進めることで合意したと発表した。
今後、計画通りに進めば、2027年10月に連結売上高約2.5兆円の巨大グループが誕生する見込み。ヤマダHD傘下には住宅関連メーカーやリサイクル関連企業もあり、「くらしまるごと」戦略と利益率の高い「PB(プライベートブランド)」の拡充を推し進めるための経営統合だ。
今回は当サイトの過去記事を一部引用しながら、2012年とは様変わりした家電量販店を取り巻く環境の変化を振り返る。新たな業界再編の始まりか、単なる有力企業同士の統合で終わるか、今後の動向に注目だ。
業界地図が大きく塗り替わる見込み
(画像はイメージ)
[参考記事]続く家電量販業界の再編 枠を越えた新しい動きも
https://www.bcnretail.com/news/detail/120606_22937.html
米国で2007年に発表されたiPhoneは、日本には2008年に上陸。そのわずか2~3年前は従来型携帯電話(ケータイ)の全盛期で、楽曲を1曲単位で丸ごとダウンロードして再生できる「着うたフル」が人気を集めていた。
当初、iPhoneはソフトバンク独占販売だったため、国内端末メーカーもOSにAndroidを搭載したスマートフォン(スマホ)でAppleのiPhoneに対抗しようと試みていた。まだ日本語入力や機能などに難のあったiPhone、Androidスマホ、ケータイの三つ巴の競争期を経て、2011年のau、2013年のドコモのiPhone取り扱い開始以降、本格的にスマホの普及が始まった。
2009~2012年の家電量販店の動き
(2012年6月6日掲載『続く家電量販業界の再編 枠を越えた新しい動きも』より)
前回、家電量販店再編があった2012年頃は、家電量販店の目玉が液晶テレビからスマホに切り替わった時期だ。その頃、ヤマダ電機(現ヤマダHD)は、中堅ハウスメーカーのエス・バイ・エル(現ヤマダホームズ)を連結子会社化。以降も「大塚家具」や「ヒノキヤグループ」などを次々とグループに迎え、今は中間持ち株会社「ヤマダ住建ホールディングス」のもと、「くらしまるごと戦略」の中核となる「住建セグメント」を形成している。
一方、もともと複数の家電量販店の合併で誕生したエディオンは、設立10周年となる2012年10月に家電専門店「デオデオ」「エイデン」「ミドリ」「イシマル」直営店のストアブランドを「エディオン」に統一。サンキューが運営する「100満ボルト」も2025年4月に「エディオン」に店名を変更し、ようやくALL「エディオン」となった。ヤマダHDとの経営統合も、当面は店名を維持する方針を打ち出しているが、前例に倣い、将来的には共通の新ストア名に変わる可能性も残っている。
2012年10月1日に統一された「エディオン」のブランドマーク
(画像は2012年の発表時点)
総務省が5月19日に発表した「令和7年通信利用動向調査」によると、2025年の調査で初めてスマホとテレビの世帯保有率が逆転した(スマホ91.8%、テレビ90.1%)。また、インターネット利用者の割合は、13~69歳の各年齢階層で9割を上回り、インターネット利用機器としては「スマホ」と「PC」の差が年々広がっている。スマホ(74.3%)、PC(45.6%)とも、前年度に比べ微減となった一方、インターネットに接続できるテレビは31.1%と、過去最高を更新した。
主な情報通信機器の保有状況(世帯)と
年齢階層別インターネット利用状況・インターネット利用機器の状況
(「令和7年通信利用動向調査」より)
「くらしまるごと」戦略のイメージ
(ヤマダHDのウェブサイトより)
また、大型M&Aを続けるノジマの動きも注目だ。同社はキャリアショップ運営(端末販売)やITシステムに加え、ソニーのPC部門を母体とするVAIOを子会社化。さらに今年4月には、日立グローバルライフソリューションズが手がける家電事業を継承する新会社の発行済株式の80.1%を取得し、子会社化すると発表した。グループ内にメーカー機能を取り込むこうした独自の方針の成否は、今後の業界の行方を占う重要なポイントになるだろう。
ビックカメラと並ぶ「都市型カメラ量販店」として知られるヨドバシカメラは、今年6月30日に池袋に新規出店する。関東最大級となる大型店「ヨドバシカメラ マルチメディア池袋」は、自社不動産を生かした戦略が、この10年ですっかり定着してきた「コスパ・タイパ・SNS」の時代においても有効かどうかを占う試金石だ。
「ヨドバシカメラ マルチメディア池袋」は西武池袋本店と同じビルに出店。
百貨店+家電量販店で衣・食・住はもちろん、書籍やホビーまで幅広くカバーする
家電量販店各社に共通する課題は、店頭で確かめてECで購入するリアル店舗の「ショールーム化」や、物価高騰や環境意識の高まりを受けた「買い替えサイクルの長期化」だろう。かつてはテレビ、次にスマホという明確な成長ドライバーが存在したが、今は不透明だ。この違いこそが、2012年と2027年を分ける決定的な差といえるだろう。(BCN・嵯峨野 芙美)
写真ギャラリー
今後、計画通りに進めば、2027年10月に連結売上高約2.5兆円の巨大グループが誕生する見込み。ヤマダHD傘下には住宅関連メーカーやリサイクル関連企業もあり、「くらしまるごと」戦略と利益率の高い「PB(プライベートブランド)」の拡充を推し進めるための経営統合だ。
今回は当サイトの過去記事を一部引用しながら、2012年とは様変わりした家電量販店を取り巻く環境の変化を振り返る。新たな業界再編の始まりか、単なる有力企業同士の統合で終わるか、今後の動向に注目だ。
(画像はイメージ)
スマホが主役に変わった2010年代前半が転換点
家電量販店の目玉商材は時代によって変わってきた。2000年代前半から半ばにかけては、PCと固定ブロードバンド回線(ADSL)、デジタルカメラ、iPod(携帯オーディオプレーヤー)、電子辞書などが話題になり、2007年頃から本格化した「地デジ特需」や大型スポーツイベント効果で液晶テレビが飛ぶように売れた。地上アナログ放送が終了し、東日本大震災の被災3県を除き、デジタル放送に移行した「地デジ」元年は2011年である。[参考記事]続く家電量販業界の再編 枠を越えた新しい動きも
https://www.bcnretail.com/news/detail/120606_22937.html
米国で2007年に発表されたiPhoneは、日本には2008年に上陸。そのわずか2~3年前は従来型携帯電話(ケータイ)の全盛期で、楽曲を1曲単位で丸ごとダウンロードして再生できる「着うたフル」が人気を集めていた。
当初、iPhoneはソフトバンク独占販売だったため、国内端末メーカーもOSにAndroidを搭載したスマートフォン(スマホ)でAppleのiPhoneに対抗しようと試みていた。まだ日本語入力や機能などに難のあったiPhone、Androidスマホ、ケータイの三つ巴の競争期を経て、2011年のau、2013年のドコモのiPhone取り扱い開始以降、本格的にスマホの普及が始まった。
(2012年6月6日掲載『続く家電量販業界の再編 枠を越えた新しい動きも』より)
前回、家電量販店再編があった2012年頃は、家電量販店の目玉が液晶テレビからスマホに切り替わった時期だ。その頃、ヤマダ電機(現ヤマダHD)は、中堅ハウスメーカーのエス・バイ・エル(現ヤマダホームズ)を連結子会社化。以降も「大塚家具」や「ヒノキヤグループ」などを次々とグループに迎え、今は中間持ち株会社「ヤマダ住建ホールディングス」のもと、「くらしまるごと戦略」の中核となる「住建セグメント」を形成している。
一方、もともと複数の家電量販店の合併で誕生したエディオンは、設立10周年となる2012年10月に家電専門店「デオデオ」「エイデン」「ミドリ」「イシマル」直営店のストアブランドを「エディオン」に統一。サンキューが運営する「100満ボルト」も2025年4月に「エディオン」に店名を変更し、ようやくALL「エディオン」となった。ヤマダHDとの経営統合も、当面は店名を維持する方針を打ち出しているが、前例に倣い、将来的には共通の新ストア名に変わる可能性も残っている。
(画像は2012年の発表時点)
総務省が5月19日に発表した「令和7年通信利用動向調査」によると、2025年の調査で初めてスマホとテレビの世帯保有率が逆転した(スマホ91.8%、テレビ90.1%)。また、インターネット利用者の割合は、13~69歳の各年齢階層で9割を上回り、インターネット利用機器としては「スマホ」と「PC」の差が年々広がっている。スマホ(74.3%)、PC(45.6%)とも、前年度に比べ微減となった一方、インターネットに接続できるテレビは31.1%と、過去最高を更新した。
年齢階層別インターネット利用状況・インターネット利用機器の状況
(「令和7年通信利用動向調査」より)
求められる「次のヒット商品」
もし、今回の2社の経営統合を機に家電量販店の再編が始まるなら、誰もが知っている、スマホの次のヒット商品が不可欠だろう。数年前は次の重点分野としてHEMS(ホーム エネルギー マネジメント システム)や太陽光発電、EV(電気自動車)などが挙げられていた。ヤマダHDの「くらしまるごと」戦略やエディオンのリフォーム事業強化はそれを見越したものだと思われる。しかし、生成AIの普及による電力需要の増加や物価高騰などを背景に、国内でのEVの普及には懐疑的な見方も強まっている。
(ヤマダHDのウェブサイトより)
また、大型M&Aを続けるノジマの動きも注目だ。同社はキャリアショップ運営(端末販売)やITシステムに加え、ソニーのPC部門を母体とするVAIOを子会社化。さらに今年4月には、日立グローバルライフソリューションズが手がける家電事業を継承する新会社の発行済株式の80.1%を取得し、子会社化すると発表した。グループ内にメーカー機能を取り込むこうした独自の方針の成否は、今後の業界の行方を占う重要なポイントになるだろう。
ビックカメラと並ぶ「都市型カメラ量販店」として知られるヨドバシカメラは、今年6月30日に池袋に新規出店する。関東最大級となる大型店「ヨドバシカメラ マルチメディア池袋」は、自社不動産を生かした戦略が、この10年ですっかり定着してきた「コスパ・タイパ・SNS」の時代においても有効かどうかを占う試金石だ。
百貨店+家電量販店で衣・食・住はもちろん、書籍やホビーまで幅広くカバーする
家電量販店各社に共通する課題は、店頭で確かめてECで購入するリアル店舗の「ショールーム化」や、物価高騰や環境意識の高まりを受けた「買い替えサイクルの長期化」だろう。かつてはテレビ、次にスマホという明確な成長ドライバーが存在したが、今は不透明だ。この違いこそが、2012年と2027年を分ける決定的な差といえるだろう。(BCN・嵯峨野 芙美)
あわせて読みたい
ビックカメラ、トップ販売員が企画する新ブランド「ビックアイデ...
ビックカメラは2月25日、新オリジナルブランド「ビックアイデア」を始動する発表会を開催した。従前のオリジナルブランドであるORIGINAL BAS...
西も東も家電量販店 2026年は「池袋」が熱い!
ビックカメラは2026年3月14日に、池袋西口に誕生する新たな複合ビル「IT tower TOKYO」(東京都豊島区)の2~4階に「ライフスタイルと家電の...
注目の記事
「待てば安くなる」時代は終わった? 止まらない価格上昇に揺れるノートPC市場、在庫争奪戦の気配も
ヤマダHDとエディオン、経営統合に合意 東京本社の持株会社を2027年10月に設立へ
社名変更 上新電機から「Joshin」へ 2026年4月1日から
ノジマ、白物家電の日立グローバルライフソリューションズを子会社化
ビックカメラ、コジマを子会社化へ、業界2位の家電量販店に
外部リンク
エディオン=https://www.edion.co.jp/
ヤマダホールディングス=https://www.yamada-holdings.jp/
ヤマダデンキ=https://www.yamada-denki.jp/
RECOMMEND おすすめの記事
くらしを彩る
エアコンの電気代が高すぎる!今日からできる冷房・暖房の節電術。電気代高騰に負けない賢い使い方のコツ
売れてるもの
骨伝導イヤホン 調べたら6月の販売数No.1は意外なメーカーの製品だった!【BCNランキング】
家電とIT
スマホを置いたら自動で冷却 イヤホンも充電できる冷却クーラー サンワサプライから登場
PR
EcoFlowのポータブル電源+ポータブルエアコンでアウトドアの楽しさ爆上がり! 特別クーポンでEcoFlow製品をお得に購入しよう
くらしを彩る
家電の電気代を一覧でチェック 冷蔵庫・洗濯機・エアコンなどのコストを徹底比較
売れてるもの
値下げ効果でソニー「WF-1000XM6」が浮上、26年6月に売れた完全ワイヤレスイヤホンTOP10