円安や部材価格の高騰により電子機器の値上がりが続いている。PlayStation 5やNintendo Switchの値上げもあり、消費者の間でも価格上昇は現実的な問題として認識されつつある。さらにPCはこうした要因に加え、次世代のスタンダードと目されている「AI PC」への移行に伴うベース価格の上昇もあり、消費者にとっては買い替えどきが難しい状況が続いている。
ノートPCの買いどきはいつになるのか。
直近の実売データをもとに分析してみた
家電量販店やオンラインショップの実売データを集計した「BCNランキング」によると、完成品であるノートPCに先行するかたちで、PCパーツ、とりわけメモリの価格の上昇が鮮明だ。メモリの税別平均単価(以下、平均単価)は、2025年5月の9001円から2026年5月には4万2967円へと約4.8倍に上昇。規格別でも、DDR4、DDR5、DDR3いずれも上昇しており、特定の規格に限らない動きとなっている。
なかでもDDR4は、2025年5月の5520円から、2026年5月には1万9662円へと約3.6倍に上昇。DDR5も同じく1万8023円から6万3649円へと約3.5倍になった。旧規格のDDR3も2044円から4404円へと約2.2倍に上がっており、2025年秋以降、特に価格上昇が顕著だ。
月ごとの平均単価推移を見ると、2025年10月時点では1万2284円だったが、11月には2万838円、12月には3万2871円へと一気に跳ね上がった。その後も高止まりが続き、2026年4月以降は4万円台を超えている。
メモリはPCの快適性を左右する主要部材の一つであり、昨今のノートPCでは16GBメモリを標準搭載するモデルも増えている。PCを構成するパーツは、CPU、記憶装置(SSD・HDD)、バッテリー、キーボード、無線モジュールなど、他にもあるが、単体のメモリ価格がこれだけ大きく動いていることは、今後のノートPC価格を考えるうえで無視できないシグナルといえるだろう。
「BCNランキング」で、ノートPCの平均単価の推移を見ると、2023年5月は12万1919円だった。その後、月ごとの上下はあるものの、2025年以降は13万円台に乗る月が増え、2026年3月には13万9520円と、今回の集計期間で最も高い水準を記録した。直近の2026年5月も13万8644円と、3年前の2023年5月と比べると約13.7%上昇している。
年初から5月までの前年同期比でも、上昇傾向は確認できる。2025年1~5月の平均単価は13万2121円だったのに対し、2026年1~5月は13万6308円。前年同期比で約3%の上昇だ。メモリほど急激ではないものの、ノートPC本体の価格もじわじわと切り上がっている。
最新機能やAI関連アプリの搭載などを重視するなら、最新モデルを選ぶ理由は十分にあるが、価格を重視するユーザーにとっては、在庫が残っている2026年春モデルや前世代モデルが狙い目といえる。現実的には、「新しいモデルほど必ず割高」という単純な話ではなく、スペック向上や機能追加を含めた総合的な価値を見る必要がある。
では、ノートPCはいつ買い替えるべきなのか。結論からいえば、近いうちに購入予定があるなら、2026年春モデルやそれ以前のモデルの在庫が残っているうちに検討を始めたい。
例年、春モデルは新生活需要を経て、夏から秋にかけて在庫が絞られていく。秋以降は年末商戦や次のモデルチェンジを見据えた動きも出てくるため、人気構成や人気カラーから順に選択肢が少なくなりやすい。価格がこなれた在庫を狙うなら、秋までが一つの目安になるだろう。
今年はすでに在庫争奪戦の気配もある。2025年はWindows 10のサポート終了を受け、PC市場は活況だった。通常であれば2026年はその反動減が出てもおかしくないが、「BCNランキング」によると、ノートPCの販売数量前年同月比は、2026年1月127.8%、3月103.9%、4月104.9%と前年を上回っていた。2月は88.5%、5月は95.7%と前年を下回ったものの、1~5月累計でも、2026年は前年同期比104.6%とプラスを維持している。つまり、Windows 10サポート終了による駆け込み需要が一巡したあとも、ノートPC市場は大きく崩れていないことがうかがえる。
こうした状況では、安くて条件の良い在庫から先に動く。たとえば、16GBメモリ、512GB SSD、Office搭載、軽量モデル、人気カラー、テンキー付きの大画面モデルなど、わかりやすく選ばれやすい構成は品薄になりやすい。以前なら「もう少し待てば安くなるかもしれない」という先延ばしの判断は正解だった。しかし、昨今のPC市場では、その判断が裏目に出る可能性もある。待っている間に価格が下がるのではなく、欲しかった構成の在庫がなくなり、予算を上げなければならない展開も考えられるからだ。もちろん、急いで不要なPCを買う必要はない。ただ、人気のある在庫を狙うなら、なおのこと「善は急げ」となる場面は増えそうだ。
ただし、現在使っているPCのOSがWindows 10なら、話は別だ。前述の通り、Windows 10のサポートは2025年10月14日に終了しており、通常利用におけるセキュリティ更新プログラムや機能更新、テクニカルサポートは提供されていない。PCそのものは使い続けられるが、安全に使い続けられるかは別問題だ。
Windows 10は2025年10月14日にサポートを終了し、
セキュリティリスクが高まっている
サポートが終了したOSを使い続ける最大のリスクは、セキュリティだ。新たな脆弱性が見つかっても、通常のセキュリティ更新が提供されないため、ウイルスやマルウェア、不正アクセスの危険性が高まる。インターネット検索やメール、ネットショッピング、オンラインバンキング、クラウドサービスなどを日常的に使うPCであれば、なおさら注意が必要だ。
また、セキュリティソフトを入れていれば十分というわけでもない。OSそのものの脆弱性を突かれる攻撃に対しては、セキュリティソフトだけでは守りきれないケースがある。さらに、今後はアプリや周辺機器、クラウドサービス側がWindows 10を動作保証の対象外にしていく可能性もある。動作はしていても、徐々に使い勝手や信頼性が損なわれていくことも考えられる。
Windows 11へ無償アップグレードできるPCであれば、まずはアップグレード可否を確認したい。ただし、Windows 10世代のPCの中には、CPUやTPM、メモリ、ストレージなどの要件を満たさず、Windows 11へ正式対応できない機種もある。その場合は、買い替えが現実的な選択肢になる。
特に、購入から5年以上経過したノートPCでは、OSだけでなくバッテリーの劣化、ストレージ容量不足、メモリ不足、起動やブラウザ動作の遅さなど、複数の不満が重なっていることも多い。Windows 10サポート終了は、そうした不満を見直すきっかけでもある。
PC価格の先行きには不確定要素がある。しかし、Windows 10搭載PCを使い続けるリスクはすでに現実のものになっている。価格の上昇を警戒しつつ、安全性や快適性も考えるなら、早めに買い替えを検討する意味は大きい。
価格の先行きは不透明だが、セキュリティと快適性を考えれば先送りのリスクは大きい。新旧モデルの価格差と在庫状況を比較しながら、自分にとって最適なタイミングでの購入を検討することが重要だ。(OFFICE BIKKURA・小倉 笑助)
直近の実売データをもとに分析してみた
家電量販店やオンラインショップの実売データを集計した「BCNランキング」によると、完成品であるノートPCに先行するかたちで、PCパーツ、とりわけメモリの価格の上昇が鮮明だ。メモリの税別平均単価(以下、平均単価)は、2025年5月の9001円から2026年5月には4万2967円へと約4.8倍に上昇。規格別でも、DDR4、DDR5、DDR3いずれも上昇しており、特定の規格に限らない動きとなっている。

なかでもDDR4は、2025年5月の5520円から、2026年5月には1万9662円へと約3.6倍に上昇。DDR5も同じく1万8023円から6万3649円へと約3.5倍になった。旧規格のDDR3も2044円から4404円へと約2.2倍に上がっており、2025年秋以降、特に価格上昇が顕著だ。
月ごとの平均単価推移を見ると、2025年10月時点では1万2284円だったが、11月には2万838円、12月には3万2871円へと一気に跳ね上がった。その後も高止まりが続き、2026年4月以降は4万円台を超えている。
メモリはPCの快適性を左右する主要部材の一つであり、昨今のノートPCでは16GBメモリを標準搭載するモデルも増えている。PCを構成するパーツは、CPU、記憶装置(SSD・HDD)、バッテリー、キーボード、無線モジュールなど、他にもあるが、単体のメモリ価格がこれだけ大きく動いていることは、今後のノートPC価格を考えるうえで無視できないシグナルといえるだろう。
じわじわと上がるノートPC単価 2026年夏モデルも高価格帯に
従来、PCは発売から時間の経過とともに価格が下がり、型落ちモデルを安価に購入できるのが一般的だった。しかし現在は「待てば安くなる」とは言い切れない状況だ。「BCNランキング」で、ノートPCの平均単価の推移を見ると、2023年5月は12万1919円だった。その後、月ごとの上下はあるものの、2025年以降は13万円台に乗る月が増え、2026年3月には13万9520円と、今回の集計期間で最も高い水準を記録した。直近の2026年5月も13万8644円と、3年前の2023年5月と比べると約13.7%上昇している。

年初から5月までの前年同期比でも、上昇傾向は確認できる。2025年1~5月の平均単価は13万2121円だったのに対し、2026年1~5月は13万6308円。前年同期比で約3%の上昇だ。メモリほど急激ではないものの、ノートPC本体の価格もじわじわと切り上がっている。
いつPCを買い替えるべき? 人気のある在庫から品薄に
すでに2026年夏モデルがPCメーカー各社から発表されているが、関係者からは「店頭価格の大幅な上昇は避けられないだろう」という声が聞かれる。これまで部材ほどのインパクトはなかった価格上昇がいよいよ本格的にPCにも反映されようとしている。最新機能やAI関連アプリの搭載などを重視するなら、最新モデルを選ぶ理由は十分にあるが、価格を重視するユーザーにとっては、在庫が残っている2026年春モデルや前世代モデルが狙い目といえる。現実的には、「新しいモデルほど必ず割高」という単純な話ではなく、スペック向上や機能追加を含めた総合的な価値を見る必要がある。
では、ノートPCはいつ買い替えるべきなのか。結論からいえば、近いうちに購入予定があるなら、2026年春モデルやそれ以前のモデルの在庫が残っているうちに検討を始めたい。
例年、春モデルは新生活需要を経て、夏から秋にかけて在庫が絞られていく。秋以降は年末商戦や次のモデルチェンジを見据えた動きも出てくるため、人気構成や人気カラーから順に選択肢が少なくなりやすい。価格がこなれた在庫を狙うなら、秋までが一つの目安になるだろう。
今年はすでに在庫争奪戦の気配もある。2025年はWindows 10のサポート終了を受け、PC市場は活況だった。通常であれば2026年はその反動減が出てもおかしくないが、「BCNランキング」によると、ノートPCの販売数量前年同月比は、2026年1月127.8%、3月103.9%、4月104.9%と前年を上回っていた。2月は88.5%、5月は95.7%と前年を下回ったものの、1~5月累計でも、2026年は前年同期比104.6%とプラスを維持している。つまり、Windows 10サポート終了による駆け込み需要が一巡したあとも、ノートPC市場は大きく崩れていないことがうかがえる。

こうした状況では、安くて条件の良い在庫から先に動く。たとえば、16GBメモリ、512GB SSD、Office搭載、軽量モデル、人気カラー、テンキー付きの大画面モデルなど、わかりやすく選ばれやすい構成は品薄になりやすい。以前なら「もう少し待てば安くなるかもしれない」という先延ばしの判断は正解だった。しかし、昨今のPC市場では、その判断が裏目に出る可能性もある。待っている間に価格が下がるのではなく、欲しかった構成の在庫がなくなり、予算を上げなければならない展開も考えられるからだ。もちろん、急いで不要なPCを買う必要はない。ただ、人気のある在庫を狙うなら、なおのこと「善は急げ」となる場面は増えそうだ。
所有PCがWindows 10なら、確実に早期の買い替えがおすすめ
今秋以降にノートPC価格がさらに上昇するかどうかは、為替、部材価格、メーカーの価格戦略、販売店の在庫状況などに左右されるため、確実とはいえない。価格が落ち着く可能性もゼロではないし、メーカーや販売店などのキャンペーンによって一時的に買いやすくなるタイミングもあるだろう。ただし、現在使っているPCのOSがWindows 10なら、話は別だ。前述の通り、Windows 10のサポートは2025年10月14日に終了しており、通常利用におけるセキュリティ更新プログラムや機能更新、テクニカルサポートは提供されていない。PCそのものは使い続けられるが、安全に使い続けられるかは別問題だ。
セキュリティリスクが高まっている
サポートが終了したOSを使い続ける最大のリスクは、セキュリティだ。新たな脆弱性が見つかっても、通常のセキュリティ更新が提供されないため、ウイルスやマルウェア、不正アクセスの危険性が高まる。インターネット検索やメール、ネットショッピング、オンラインバンキング、クラウドサービスなどを日常的に使うPCであれば、なおさら注意が必要だ。
また、セキュリティソフトを入れていれば十分というわけでもない。OSそのものの脆弱性を突かれる攻撃に対しては、セキュリティソフトだけでは守りきれないケースがある。さらに、今後はアプリや周辺機器、クラウドサービス側がWindows 10を動作保証の対象外にしていく可能性もある。動作はしていても、徐々に使い勝手や信頼性が損なわれていくことも考えられる。
Windows 11へ無償アップグレードできるPCであれば、まずはアップグレード可否を確認したい。ただし、Windows 10世代のPCの中には、CPUやTPM、メモリ、ストレージなどの要件を満たさず、Windows 11へ正式対応できない機種もある。その場合は、買い替えが現実的な選択肢になる。
特に、購入から5年以上経過したノートPCでは、OSだけでなくバッテリーの劣化、ストレージ容量不足、メモリ不足、起動やブラウザ動作の遅さなど、複数の不満が重なっていることも多い。Windows 10サポート終了は、そうした不満を見直すきっかけでもある。
PC価格の先行きには不確定要素がある。しかし、Windows 10搭載PCを使い続けるリスクはすでに現実のものになっている。価格の上昇を警戒しつつ、安全性や快適性も考えるなら、早めに買い替えを検討する意味は大きい。
価格の先行きは不透明だが、セキュリティと快適性を考えれば先送りのリスクは大きい。新旧モデルの価格差と在庫状況を比較しながら、自分にとって最適なタイミングでの購入を検討することが重要だ。(OFFICE BIKKURA・小倉 笑助)






