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好調4Kプロジェクタ、キーワードはモバイル、スマート、ゲーミング

データ

2022/11/13 18:30

 4Kプロジェクタ市場が伸びている。この10月、販売前年比は台数で125.7%、金額で135.6%と拡大。平均単価も昨年10月比で12.8%上昇して18万9800円と好調だ。全国の2300店舗の家電量販店やオンラインショップの実売を集計するBCNランキングで明らかになった。


 プロジェクタ市場全体では、この10月、販売金額こそ前年比で117.9%と2桁増を記録したものの、販売台数では84.8%と2桁割れに苦しんでいる。しかし、4Kプロジェクタに限れば活況だ。プロジェクタ市場全体に占める4Kプロジェクタの販売台数構成比は、2020年10月では、わずか3.3%。昨年10月時点でも9.1%と1桁台にとどまっていた。しかし、この10月時点では、14.6%を記録。6月以降2桁台で推移しており、市場でも一定の存在感を示すようになってきた。

 好調の要因の一つに新規参入メーカーの奮闘がある。中国・四川省の成都市に本社を構えるCHENGDU XGIMI TECHNOLOGY(ジミー・テクノロジー)はその筆頭だ。中国のプロジェクタ市場では大きなシェアを持つ同社は、2020年4月、日本市場に参入。持ち運べる映画館というキャッチフレーズで発売した「MoGo Pro」を筆頭に、小型で解像度の高いモデルをリリースし続け、シェアを拡大してきた。独特な直方体の縦型形状も従来の製品と異なりユニークだ。

 ジミー・テクノロジーは日本市場でもメーカーシェアを着実に広げ、4Kプロジェクタでは年間を通じてほぼトップシェアを維持している。この10月は40.3%を記録。ライバル、エプソンの29.3%、BenQジャパンの14.8%を大きく引き離して独走中だ。機種別の販売台数シェアでも、ジミー・テクノロジーの「XGIMI Halo+」が19.0%でトップ。13.6%で2位の「HORIZON Pro」も同社の製品で、10月は1、2フィニッシュを決めた。1位のXGIMI Halo+は、税抜き平均単価が9万3700円と、全体の平均単価に比べ半額以下。リーズナブルな価格も人気の要因だ。
ジミー・テクノロジーの「XGIMI Halo+」(左)とAnkerの「Nebula Cosmos Max D2150512」

 そのほか、プロジェクタ市場全体ではシェア2位のAnkerも、20年12月に4Kプロジェクタ市場に参入。メーカーシェアはまだ1桁台だが、Android TV 9.0搭載のスマートプロジェクタ「Nebula Cosmos Max D2150512」をひっさげ、新カテゴリーの開拓を狙う。プロジェクタ市場全体でトップシェアのエプソンは、ホームプロジェクタのdreamioとビジネスプロジェクタ2系統で展開。幅広いラインアップでシェアを稼ぎ、4Kプロジェクタでも存在感が高まってきた。BenQジャパンは低遅延を特徴とするゲーミングプロジェクタが人気。各社各様で新たな市場を獲得しようと躍起だ。テレワークの浸透で伸び悩むプロジェクタ市場だが、高解像度の4Kカテゴリーではまだまだ伸びしろがありそうだ。(BCN・道越一郎)