第4のキャリアとして、10月に自前回線による携帯電話サービスがスタートした楽天モバイル。現在は、東京23区・名古屋市・大阪市・神戸市で計5000人の無料契約者に限定し先行サービスを行っている。その5000人の1人として、日々楽天モバイル回線をテスト的に使ってみているが、完全とは言えないが今のところ「大健闘している」印象だ。


 同社広報によると、基地局の敷設状況は10月末時点で2300局。3月末までの敷設目標3432局に対し、67%の進捗率だ。これを12月には3000局まで増やし、目標の9割近くまで敷設できる見込みだという。11月7日に開いた楽天の第3四半期決算説明会で三木谷浩史会長兼社長は、「基地局の整備は前倒しで進んでいる」と話しており、3月末を待たずして目標数を達成できそうな勢いだ。

 楽天モバイルの自前回線は、電話網で世界初の完全仮想化クラウドネイティブネットワークを採用するという「挑戦」で成り立っている。そのため、当初は必ず大規模なネットワーク障害が起こるのではないかと考えていた。ところが、まだ5000人という小規模なテスト段階ながら、今のところネットワークに起因する大規模な障害は起こっていないようだ。

 本格サービス開始後、実際に数万人、数十万人とユーザーが増えた際にきちんと動作するかは未知数だが、同社では仮想環境上での負荷テストなどを通じて十分に準備している模様。ネットワークは順調にスタートしたと見ていいだろう。決算説明会で三木谷会長兼社長は、「最も難しいところはクリアした。あとは基地局を建てるのみ」と話した。

 楽天モバイル回線を使っての感想として、回線そのものの品質はそれほど悪くない。日常的な行動範囲では、データ、通話とも普通に使える感覚だ。明らかに楽天モバイルの基地局から電波が届かない場所に関しては、すぐにau回線に切り替わるため、ストレスも少ない。地下鉄内ではau回線。高速のトンネルの中も即座にauに切り替わった。羽田空港付近のトンネルでは、楽天モバイル回線で使用できるエリアもあった。

 しかし、圏内であっても建物の中に関しては、極端に電波が弱くなったり、圏外になったりすることも少なくない。このあたりは今後の課題だ。「屋外の基地局同様に建物内の基地局整備も進めている」(楽天モバイル広報)として、屋内の「穴」をふさぐ作業も行ってはいるようだ。
 
屋外ではつながるところが多いが、屋内では電波が弱くなり、アンテナ1~2本ということも珍しくない

 もう一つの問題は、au回線から楽天モバイル回線に切り替わるタイミング。現状では、通話が必ず切れてしまい、とても使い勝手が悪い。これに関しては、au側で来春にも対応する予定だ。データ通信時はしばらく通信が途絶えるだけで、YouTubeなどを見ている状況でデータがバッファリングされていることもあり、途切れずに視聴することも可能だった。

 楽天モバイル自前回線の圏外である北海道・旭川で使用してみたところ、終始au回線につながるため、データ通信・通話とも快適に利用できた。しかし、気になるのは、こうしたローミング時の費用負担だ。auが公表している「楽天モバイル向けローミングサービス契約約款」によると、ローミング料金として、利用者に対し1パケット(128バイト)ごとに通話とSMSで税別0.007561円、データ通信で同じく0.0000596円を課金すると明記されている。

 つまり、データ通信ではローミング1GB当たりおよそ500円の課金をすることになっているわけだ。楽天モバイルの本格サービス開始後、このローミング費用をユーザーが負担することになるのではないか。楽天モバイル広報では、「あくまでも会社同士の契約の話であり、こうしたローミング費用をユーザーに直接負担していただく考えは今のところない」としている。

 前回掲載した「楽天モバイルのチャットサポートが落語風お笑い状態、回線はまずまずなのに」で指摘した問題点だが、いくつかは改善された。最も大きな改善点は、NTTドコモの回線に電話をかけた際、留守番電話に切り替わる時に回線が切れてしまう問題だ。現在では、普通に使えるようになっている。

 また、金輪際開かないのではないかと思われたチャットサポートの「オンライン相談(メッセージ相談)」だが、ようやく「my楽天モバイルアプリ」からスムースに開けるようになった。
 
楽天の第3四半期決算説明会で「最も難しいところはクリアした。
あとは基地局を建てるのみ」と話す三木谷浩史会長兼社長

 一方、前回からあまり改善が見られないのが、やはりチャットサポートだ。アプリから開けるようにはなったが、まだ返答まで2~3時間を要することが多い。また、サポート電話にかけると冒頭に「公式アプリでは、時間を気にせずお問い合わせができます。ショートメッセージでご案内を送信します」と案内され、指示に従って詳細をSMSで案内を送るよう求めても、そのSMSは一向に送られてこない。これらは改善されていない。

 通常のSMSの送受信はできているので、システム上の問題と思われる。このあたりの対応は、とてもちぐはぐだ。一方、サポート電話のかかりやすさは大幅に改善しており、とてもつながりやすくなっている。

 携帯電話キャリアに楽天モバイルが参入する最大の効果は料金だ。既存3社の複雑怪奇で割高な料金体系に風穴を開け、新しい風を吹き込んでくれるものと期待されているものの、料金体系はまだ発表できていない。

 三木谷会長兼社長は、「できるだけ早急に本格サービスを開始したい」としながらも、時期については明言を避けた。「最も難しいところはクリアした」後、どんな料金体系でいつ本格サービスを開始するのか。早くその全貌を見たい。(BCN・道越一郎)