ヤフーは11月1日から、フリマプリ「PayPayフリマ」とオンラインショップ「PayPayモール」それぞれで、スマートフォン(スマホ)決済サービス「PayPay」を使うとPayPay残高などで会計金額の20%還元するキャンペーンを実施する。これまでは、実店舗を対象に実施していた20%還元キャンペーンだったが、今回、ECで実施する背景には3つの狙いがある。

11月1日からヤフーが実施する二つの大規模なPayPay還元キャンペーン

二つの大型キャンペーン

 10月28日に開催された記者会見で、ヤフーの小澤隆生取締役専務執行役員最高責任者(COO)は「昨年11月1日の熱狂を再び巻き起こしたい」として、PayPayモールで実施するキャンペーンを「PayPayモールで100億円相当あげちゃうキャンペーン」と名付けたという。
 
ヤフーの小澤隆生取締役専務執行役員最高責任者(COO)

 100億円あげちゃうキャンペーンは、2018年11月に発表、同年12月に実施され、最大10万円の還元が受けられるとして大いに話題になった施策だ。このキャンペーンのお蔭で、登場したばかりだったPayPayは急激に認知度を上げた。
 
100億円キャンペーン再来で熱狂を狙う

 今回のキャンペーンでは、期間中にPayPayモールでPayPay残高を利用して支払った場合、会計金額の最大25%をPayPay残高やTポイントで還元する。キャンペーンの特典自体は、会計金額9%相当のPayPayボーナスライトを付与するというもの。上限金額は1万円/月と、最近のキャンペーンとしては高い設定だ。付与総額は100億円。途中でも100億円を付与した段階で終了するとしている。

 もう一つは、PayPayフリマでPayPay残高を利用して支払うと、利用額の最大合計20%相当が戻ってくる「PayPayフリマの購入で最大20%戻ってくるキャンペーン」。同キャンペーンの特典は、会計金額9%相当のPayPayボーナスライト。付与上限は、1000円相当/回、3000円相当/月としている。

大規模キャンペーンをECで実施する三つの狙い

 これまで実店舗を対象に実施していた大型キャンペーンをECで実施する三つの狙いは、まず一つ目が、PayPayや10月17日にサービスを開始したPayPayモール、10月7日に開始したPayPayフリマの利用促進だ。どちらも、既存の他社サービスと事業内容が被ることから、“20%還元”という大規模なキャンペーンを打つことで、後発の不利を拭いながら知名度アップとユーザー増を狙っている。

 二つ目が、より正確にデータを収集するためだ。現在、コンビニなどの実店舗でPayPayを使って買い物をしても、PayPay側では「ユーザーが何を買ったのか」までは分からない。しかし、自社のECを使ってもらえば、どんな属性のユーザーがどこで何を買ったかを詳細にデータ化することができる。

 こうしたデータは、マーケティングやサービスの改善につながるほか、PayPayが現在進めている「スーパーアプリ」化計画にも役立つ。PayPayをさまざまなサービスのプラットフォーム化する計画で、将来的には宿泊施設の予約や交通手段の確保などがPayPay上で可能になるという。PayPayが詳細なデータを集められるようになれば、求められているサービスを探すヒントになりそうだ。

 最後の一つが、キャンペーンの度に発生するトラブルへの対策だ。実店舗で行ったキャンペーンの際、システムのトラブルや複雑なオペレーションによって実店舗に迷惑をかけてしまうことがあった。自社のオンラインショップで実施すれば、少なくともレジの混乱などで実店舗に迷惑をかける心配はない。また、これまでの経験からアクセス集中への対策も用意する。

オフラインからオンラインへ拡大

 今回のキャンペーンについて、小澤取締役は「PayPayは1年前のリリース以来、順調に成長してきた。ユーザー数が1500万人で、加盟店申し込み数が150万カ所。決済回数は、累計で1億7000万回を超えている。認知度もスマホ決済の中でNo.1。昨年12月のキャンペーンは、特に効果が大きかった。これまでは、実店舗での利用を強化してきた。今後は、オンラインでの利用も拡充していく」と狙いを語る。
 
今後はオンラインでのPayPay利用を拡充していきたい考え

 現在は、Yahoo!ショッピングやヤフオクなど同社の運営するサイト内でしかPayPayを利用できないが、将来的には利用できるサービスを拡充していく考えだ。

 前回の100億円あげちゃうキャンペーンは幅広いユーザーが対象だったが、今回の施策で最大の還元が受けられるのは、Yahoo!プレミアム会員でソフトバンクスマホユーザーのみ。ユーザーを囲い込む狙いもある。これにより、最大還元が受けられるのは限られたユーザーになるが、話題性はあり、知名度アップにはつながるはずだ。ただ、「アクセス集中でサイトもPayPayもダウン」などという事態は避けたいところだ。(BCN・南雲 亮平)