「IoT」は、多くの人にとっては縁のない、注文住宅のトレンドでもある。LIXILはIoTホームLink「Life Assist」を今年4月に発表。この「Life Assist」を導入すれば、中小規模の工務店でも、LIXIL製の建材や対応する各社の家電をつないで、まとめて簡単に操作できる「IoT住宅」を提案できる。またパナソニックは、「家」そのものが考え、進化していく、独自のくらしの統合プラットフォーム「HomeX」を発表し、住宅関連事業を強化する方針を示した。

建材・住宅業界もIoTに力を入れている
(LIXILのIoTホームLink「Life Assist」の接続イメージ)

 IoTとは別に、注文住宅は「高気密・高断熱」がトレンドになり、外皮性能、太陽光発電量、蓄電池容量など、家の性能をスペック(数値)で示せる要素が増えてきた。2020年に義務化される省エネルギー性の基準(改正省エネルギー基準)では、全国を以前より細かい8地域に分け、従来のQ値に代わる「UA値(0.46~0.87)」を採用。この基準に満たない既存の戸建住宅は資産価値が低減するといわれている。

 しかし、ハウスメーカーが提案する「IoT」は、今は単価アップのためのオプションの域を出ていないと感じる。リモコンを使わずに電源のオン/オフや鍵の開錠/施錠などの操作ができる音声制御は、Amazon EchoシリーズやGoogle Homeなどのスマートスピーカーと連携させなければ利用できず、HEMSなど、埋め込み型の製品以外は、後からでも導入できるからだ。
 
スマートスピーカーと対応機器だけなら、既存の住宅でも手軽に導入可能。Amazon Echoシリーズは、コミュニケーション機能が加わり、音声・ビデオ通話やペットや子どもの見守りにも活用できるようになった

 毎日の暮らしがより便利になり、仕事の生産性や家事効率の高まる「IoT住宅」や「スマートホーム」をプラニングするのは、ハウスメーカーや設計者ではなく、新しいものを試したいと思う居住者自身であるべきではないか。結局のところ、IoT住宅といっても、スマートスピーカーなどを置くスペースのゆとりと「コンセント」があれば十分だ。デジタル製品好きをターゲットにせず、従来の注文住宅を建てる層を向いている限り、なかなか普及は難しいだろう。(BCN・嵯峨野 芙美)