「スマートホーム」「IoTホーム」などと銘打った一般家庭向けの新しいサービスが続々と登場している。一方、国が補助金を出して普及を進めているのは、家庭での消費エネルギー量をおおむね「0」とする省エネ・創エネの住まい「Net Zero Energy House:ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」(ZEH、ゼッチ)」で、その要件の一つに「Home Energy Management System(HEMS、ヘムス)」がある。ややこしいことに、スマートホームサービスで提供される機能に、オプション対応を含め「HEMS」の要素を含む場合と含まない場合があり、混乱しやすい。ここでは、パナソニックのスマートHEMS「AiSEG2」を一例に、家電と住宅設備の連携の現状についてまとめた。
「料理中で手が離せない時でも、声でお風呂の湯はりや、床暖房のオン・オフができる」と聞けば、スマートホームに俄然興味が湧くかもしれない。具体的には、「AiSEG2」とノーリツの9月発売のECHONET Lite AIFアダプター機能を搭載した無線LAN対応給湯器リモコン「RC-G001EW」と組み合わせると、音声を利用した遠隔操作が実現する。
一般会員企業164社、一般準会員企業37社で構成するエコーネットコンソーシアムは、家電や住宅設備を有効活用するために、政府が推奨する標準インターフェース「ECHONET Lite」と「ECHONET Lite AIF仕様」に関する資料を公開している。
「ECHONET Lite AIF仕様」のイメージ
2012年2月に策定した「ECHONET Lite」の反省点をもとに新たに策定した「ECHONET Lite AIF仕様」は、家電や住宅設備の種類ごとに、インターフェースだけでなく機能や振る舞いを定義したアプリケーション通信インターフェース。実機による相互接続試験と第三者認証制度によって異なるメーカーのHEMSコントローラと家電・住宅設備機器を簡単に接続でき、この規格の策定によって機器連携のハードルが下がったようだ。
ECHONET Lite AIFでつながったシステム連携の例
とはいえ、「ECHONET Lite AIF対応」では、一般には伝わりにくく、「スマートスピーカー連携」として、各社・各サービスとも特徴をアピールしていくだろう。スマートスピーカーの特徴の一つにはAIも含まれるが、AIの定義が曖昧なため、ますます分かりにくい。ソフトウェアアップデートで進化するデジタルと、以前は建築時のまま変化のなかった住まいの融合はまだ始まったばかりだ。(BCN・嵯峨野 芙美)