10年前の2008年7月11日は、iPhoneの国内初代モデル「iPhone 3G」の発売日。この年の夏は非常に暑く、個人的にはとても印象に残っている。目の前の作業に忙殺され、暑い最中、朝から行列に並び、入手困難なiPhoneを一足早く手に入れたユーザーの使える/使えないという感想や、さまざまな媒体で繰り広げられた「売れる/売れない」の議論は、これまでのケータイとあまりにも違うこともあり、正直なところ、遠い別世界のように感じられた。

08年7月11日のビックカメラ有楽町店でのiPhone発売イベントの様子。
冒頭の挨拶で孫正義社長は、「ケータイ業界の新しい時代の幕開けである」と宣言した

【2008年7月に掲載した記事】
・<特集>iPhone、私はこう思う
https://www.bcnretail.com/market/detail/080703_12107.html
・<特集>iPhoneへの期待―ソフトバンクや販売店はこう見る
https://www.bcnretail.com/market/detail/080715_12111.html
・<特集>iPhoneは黒船?―競合メーカーの担当者はこう見る
https://www.bcnretail.com/market/detail/080709_12109.html
・iPhone販売・予約状況最新情報~~売り場からの声
https://www.bcnretail.com/market/detail/080715_12112.html
・<レビュー>iPhone 3Gと暮らして1週間、使い倒してわかったこと
https://www.bcnretail.com/news/detail/080718_11304p1.html

10年間のiPhoneの歩みをざっくりと振り返る

 日本の携帯電話市場は、10年6月の発売から1年以上にわたって売れ続けた「iPhone 4」のヒットが転機になった。ソフトバンクが09年2月から始めていた「iPhone for everybody キャンペーン」が当たり、実質0円という安さでコスパの高い端末として、iPhoneが学生や若い世代に選ばれるようになったのだ。ただ、当時は、メインの携帯電話との2台持ちも多かった。11年にKDDI(au)、13年にドコモと取り扱いキャリアが増え、従来型ケータイからのアドレス帳の引き継ぎが可能になると、iPhoneだけを使うユーザーが増えていく。

 家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」によると、08年以降、Appleは、スマートフォンのメーカー別年間販売台数1位を10年連続で獲得している。もちろん今年も、2位以下を大きく引き離してトップだ。例年通りなら、秋に発売になる新モデルの発売時期が翌年にずれ込むなど、よほどのマイナスの要因がない限り、11年連続トップの獲得はほぼ確実だろう。

【過去記事】
・iPhone 3Gから3GS/4まで、iPhoneのこれまでの売れ行きを振り返る(2011年9月)
https://www.bcnretail.com/news/detail/110908_20906.html
・日本で最も売れたスマートフォンは「iPhone 5」 歴代最速の販売ペース(2013年8月)
https://www.bcnretail.com/news/detail/130806_26038.html
・歴代iPhone販売台数トップは「iPhone 6」、右肩上がりのピークは過ぎたか(2016年8月)
https://www.bcnretail.com/market/detail/20160805_11580.html

 17年秋発売の「iPhone 8」の名称は、「iPhone 7s」とはならなかった。「iPhone 6s」が不調に終わったため、「4s」「5s」「6s」の3回、6年にわたって続けていた「プラスs」の名付けは止めたようだ。新たに顔認証に対応した「iPhone X」はiPhoneとしてはまったく新しいデザインだが、Androidスマホでは先行して似たようなデザインはあり、ハードとしての進化はほぼ行き着いた感は否めない。
 
17年発売の最新機種「iPhone X」と「iPhone 8/8 Plus」

 2年前の夏には、スマホゲーム「ポケモンGO」がヒットし、「ポケモンGO」のスムーズなプレイのためにケータイからスマホ、古いOSのスマホから最新スマホに乗り換えるユーザーが続出した。結局、ハードの普及の決め手は、話題性とコンテンツなのだ。日本国内で今のiPhone人気は、友人と同じものを使いたい学生の横のつながりと、電話・メールに代わるコミュニケーションプラットフォームとして広がった「LINE」によるところも大きい。

 スマホが従来型ケータイの販売台数を逆転し、新規に販売された携帯電話の5割を超え、本格的に普及し始めたのは、「地上アナログ放送終了・地デジ完全移行」で騒がれた11年夏。「iPhone 4」やサムスンの「GALAXY S II SC-02C」が売れていた頃だ。その時点から数えると、まだ7年しか経っていないが、Androidを含め、ここまでスマホが一般的になり、スマホ向けアプリを利用したさまざまなサービスが広がるとは、08年の時点では誰も予想していなかっただろう。確かにiPhoneは、消費のトレンドや決済、物流などを変える「黒船」だったようだ。(BCN・嵯峨野 芙美)


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。