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<2017・冬エアコン>人の感覚に訴えるシャープの「プラズマクラスターエアコン」

特集

2017/12/21 19:00

 シャープが2018年1月25日に発売するルームエアコンの最上位モデル「プラズマクラスターエアコン Xシリーズ」は、キーデバイスとして同社の白物家電に横断的に搭載する空気浄化技術「プラズマクラスター」をさらに進化させた「プラズマクラスターNEXT」を搭載。従来の除菌や消臭、保湿といった空気浄化機能から、「ストレスがたまりにくい」「集中が維持しやすい」といった人の感覚に訴えるエアコンにした。


シャープの「プラズマクラスターエアコン Xシリーズ」と
健康・環境システム事業本部の中島光雄副事業本部長 兼 空調・PCI事業部長

 「NEXTには、次世代や先進的という意味を込めた。空気が気持ちいいと感じる人の感性を科学的に実証し、今までにない新たな効果、効能を実現した」と、プラズマクラスター技術の責任者であるシャープの健康・環境システム事業本部の中島光雄副事業本部長 兼 空調・PCI事業部長は、これまでとは異なる次元に進化した「プラズマクラスターNEXT」への自信を示す。

 2000年から商品に搭載したプラズマクラスターのイオン発生デバイスは今年で18年目で、一貫してイオン濃度の高める技術を推進してきた。シャープではイオン濃度を測定する基準として、エアコンを窓際に設置したときの部屋中央の床から1.2mの高さで、1cm3あたりのプラスとマイナスイオンのそれぞれの個数と定めている。

 「あくまでも実際の部屋で効果が得られないと意味がないので、エアコンの吹き出し口などではなく、部屋中央の空間における測定にこだわっている。そのためエアコンの能力やタイプごとに微妙にチューニングを変えている」と中島空調・PCI事業部長はプラズマクラスターのこだわりについて明かす。
 

イオン濃度の独自測定基準

 「プラズマクラスター7000」では1cm3あたり7000個以上、「プラズマクラスター25000」では2万5000個以上と進化させてきて、10世代目となる今回の「プラズマクラスターNEXT」では約2倍となる5万個の増加に成功した。イオン発生電極部のレイアウトを最適化し、電極部に壁を設けてイオンを大量に発生させて、遠くまで届けるように気流を見直すなど、いくつもの改善によって実現した。
 

「プラズマクラスターNEXT」は10世代目となるデバイス

 イオン濃度が高まった結果、単なる空気の浄化とは異なり、「空気がすっきりしている」「さわやかな空気を感じる」「気持ちいい空気」といった人の感覚が得られるようになるという。ただ、人によって感じ方が異なるこうした感覚を訴求するには、科学的に実証したエビデンスが必要となる。

 そこでシャープと共同で実証したのが、慶応義塾大学理工学部システムデザイン工学科の満倉靖恵准教授だ。人間の無意識領域のデータをリアルタイムでグラフ化して可視化する「感性アナライザ」という評価キットを大人20名、小学5、6年生の子ども19名の被験者に使って、ストレスの度合いや集中度合いの変化を試験したのだ。
 

慶応義塾大学理工学部システムデザイン工学科の満倉靖恵准教授

 結果的に、プラズマクラスターイオンなしの環境と、プラズマクラスターNEXTありの環境とを比較したときに、後者のほうがストレス度合いは下がり、計算問題を解くときの集中度合いは高まったという検証結果が得られた。シャープでは、ストレス社会における「癒し空間」の演出や、話題になっている「リビング学習」で集中力を維持しやすい環境づくりなどをからめる形で店頭で訴求していく。
 

「感性アナライザ」の実演デモ

 ほかにもトピックスとして、シャープのAIoTクラウドサービス「COCORO AIR」と連携したAI(人工知能)対応エアコンとして、Xシリーズの全機種に無線LANを搭載したことがある。この冬、三菱も「霧ヶ峰 FZシリーズ」と「Zシリーズ」でAI技術「ムーブアイmirA.I.(ミライ)」を搭載した。

 三菱がエアコン本体に搭載した赤外線センサの機械学習で、人よりも先読みして部屋を快適にするのに対し、シャープはクラウドのネットワークを通じて部屋の状況をモニタリングしたり、加湿空気清浄機と連動して運転するなど、両社のAIの方向性に違いがみられる点も注目したいポイントだ。(BCN・細田 立圭志)