乾燥した米を新米に変える!?パナソニックの「おまかせ見極め炊き」を徹底解説

新製品

2021/04/08 19:00

 パナソニックが6月1日から発売するIoT対応スチーム&可変圧力IHジャー炊飯器「おどり炊き SR-VSX1シリーズ」は、買い置きして乾燥した米も、新米のようにおいしく炊き上げるというコンセプトで開発した「おまかせ見極め炊き」を新搭載。4月8日に開催した製品体験会から、その仕組みを解説しよう。

IoT対応スチーム&可変圧力IHジャー炊飯器
「おどり炊き SR-VSX1シリーズ」

買い置きが増えて米の乾燥が課題に

 パナソニックでは、コロナ禍で家庭における米の買い置きが増えている点に着目。約9割の家庭で、2週間以上かけて米を消費している実態が分かったという。買い置きして時間がたつと課題になるのが、米の乾燥だ。同社の調べによると、精米直後の米は含水率14%だが、2週間後には12%まで下がってしまう。
 

 一方で、家庭における米の保管場所の調査では、鮮度を保つために最適とされる「冷蔵庫」と回答した人は11%しかおらず、「キッチンのキャビネットや食器棚の中」(43.4%)、「キッチンに出している」(21.4%)、「流し台の下」(15.2%)という回答が多かった。もちろん、冷蔵庫の回答者数が少ないのには、「冷蔵庫に保管スペースがない」(38.1%)という理由がある。
 
精米後2週間で含水率は12%に

圧力センサーで米の乾燥を見極める

 そこで新搭載した、おまかせ見極め炊きでは、大火力IHと可変圧力、高温スチームの三つの加熱要素をコントロールしながら、新米と乾燥米を見極めて、それぞれに合ったバランスで炊き分けられるようにしたのだ。

 具体的には、本体に搭載した圧力センサーで、沸騰時の内釜の中の圧力の変化を0.1秒のリアルタイムで検知する。可変圧力炊飯では、沸騰時に1.0気圧から1.2気圧まで上げ、そこから一気に減圧する。1.0気圧以上にすることで、沸点が100℃以上の高温で炊飯ができるのと、減圧時に米をかき混ぜる「おどり炊き」をすることで炊きムラを抑えるという二つの効果が得られる。
 
沸騰時に蓋の調圧弁で圧力を可変させる「おどり炊き」

 この1.2気圧から1.0気圧に減圧するとき、水分量が多い新米だと減圧スピードは遅くなるが、水分量が少ない乾燥米は減圧スピードが速まるという特性があり、それを圧力センサーで見極めているというのだ。その後は、圧力の強弱や時間の長さを変えながら、新米や乾燥米にあわせた最適な沸騰をしていく。
 
新米と乾燥米の減圧スピードの違いに着目

 沸騰後の追い炊き工程では、米の状態に合わせてスチームの温度を変える。水分量が多い新米は250℃、水分量が少ない乾燥米は180℃といった具合だ。ここで投入するスチームは、過熱水蒸気といわれるもので、高温になるほど多くの余分な水分を飛ばすことができる。そのため、水分量が多い新米のほうが高い温度になっているのだ。潤いを与える蒸気とは違うことを記しておこう。
 
新米は250℃スチーム、乾燥米は180℃スチームを加える

炊飯プログラムをアップデート

 なお、おかませ見極め炊きでは、大火力IHと可変圧力、高温スチームの三つの要素のほかに、米の鮮度や銘柄、出来栄えに応じた炊き分けもできる。この点は、スマートフォンの「キッチンポケット」アプリと連携することで、製品を購入した後も、例えば、その年の米の出来栄えに合わせた炊飯プログラムにアップデートできる。
 
出来栄えに合わせてアップデートされる

 とりわけ米の出来栄えは、気象状況によって毎年変わる。その変動を炊飯プログラムに反映するほどのこだわりぶりだ。キッチンポケットではこうしたプログラムを、実食しながら日々改善している「ライスレディ」と呼ばれる炊飯科学のプロが問診することで、ユーザーの好みに合う銘柄米を提案してくれる「銘柄コンシェルジュ」も楽しめるようになっている。
 
ライスレディが問診して、あなたの好みの銘柄を提案

 「米は生鮮食品」という発想から生まれ、乾燥した米を新米のようなうまさで炊き上げることを狙って開発された、おかませ見極め炊きは、おうち時間が長くなり、自炊する家庭が増えているニーズに合致した機能といえるだろう。

 新製品は6月1日の発売で、実売想定価格はSR‐VSX101(炊飯容量0.09~1.0L)が11万5000円前後、SR-VSX181(同0.18~1.8L)が12万円前後となっている。(BCN・細田 立圭志)