オンラインだけの開催でも健闘したカメラの祭典CP+2021

イベント

2021/03/14 18:30

 カメラの祭典CP+2021が2月28日、無事閉幕した。当初はパシフィコ横浜での展示とオンラインイベントを交えたハイブリッド開催の予定だったが、結局、12月の段階でフルオンラインに切り替えた。昨年11月頃から感染が再燃し始めた新型コロナウイルス感染症の影響だ。直前に中止せざるを得なかった昨年に比べれば、何とか開催できた点では一歩前進だ。しかし気になるのは、オンライン開催にしたことによるイベント力への影響だ。

オンラインで開催したCP+2021 会場、5万人余りが来場した

 近年の縮小著しいカメラ市場でも、CP+の来場者数は善戦してきた。最後にリアルで開催されたCP+2019では、4日間の会期中6万9615人が来場。前年比微増で過去最多を記録した。しかし今年は5万150人。前回比で28.0%減だ。2012年以来、大雪で1日休んだ14年を除いて、ずっと6万人超えを続けてきたが、今年は5万人台にとどまってしまった。この変化をどう評価すべきか。

 例えば、前回の2020で初のオンライン開催に切り替えたCEATECも、やはり大きくマイナスだった。見本市のジャンルはかなり異なるが、会期中の来場者数は前回比で40.7%減の8万5650人と大幅減。一方で出展数も54.8%減の356社と、こちらは半分以下に減ってしまった。やはりオンラインの見本市をリアル開催に匹敵する規模にするのは簡単ではないことがわかる。
 

 CP+2021の出展数は、なんと83.9%減。14年以来連続して100社を超え、前回は124社だったが、今回は20社と激減だ。ソニー、キヤノン、ニコンなど、主要カメラメーカーこそ勢ぞろいしたものの、アクションカメラのGoProやドローンのDJIなどは出展を見送った。さらに、三脚やバッグのヴァイテックやハクバ、アクセサリ老舗のエツミや浅沼商会なども出展しなかった。パシフィコ横浜で従来、大きなブースを構えていたメーカー各社は出展したが、比較的小さなブースながら会場を盛り立てていたアクセサリや用品、ストロボなどの周辺メーカーの出展が激減した、という構図だ。それでも来場者が5万人を維持できたと考えれば、今回のCP+は健闘したと言っていいだろう。
 
恒例「上級エンジニアによるパネルディスカッション」もYouTube Live で開催した
 
 イベントのコンテンツ自体は、各社が工夫を凝らし収録や生の動画が盛りだくさんで、急きょ、フルオンライン開催に切り替わったにしては、とても充実していた。しかも、アーカイブが3月一杯は公開されているため、見逃したコンテンツをあとからじっくり見ることができる。従来なら会場で同時多発的に行われ、とてもすべては見切れないトークショーなども、後からじっくりと見ることができるというのはいい。このあたりは、リアル開催が復活した後も継続してほしい。オンライン開催で得た知見も少なからずあるだろう。
 
実機で撮影を楽しめるのはCP+ならでは(CP+2019 ソニーブース)

 とはいえ、CP+は実機に触れたり撮影を楽しんだりする、リアル空間があってこそ成り立つ祭典であることに変わりはない。普段店頭では見かけないアクセサリやプロ向けのストロボシステムに出会ったり、ガラスケース越しに参考出品のカメラを覗き込んだり、業界のキーパーソンの話が直接聞いたりできるのはCP+ならでは。もう2年も待っている。次回こそ、リアル開催の条件が整うよう祈りたい。(BCN・道越一郎)