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三脚・一脚で2019年シェア1位、ベルボンの事業譲渡に見るカメラビジネスの厳しさ

 ベルボンは7月31日をもって、ベルボン製品や取り扱いブランド製品の修理サポートを終了。8月1日に、新たな修理受付窓口となるハクバ写真産業がベルボンのカメラ用三脚の企画・設計・開発事業を譲り受けると発表し、8月3日からベルボン製品などの修理受付を開始した。

2019年発売のトラベル三脚「UTC-53 II AS」、
今年1月~7月によく売れたファミリー三脚「M45」

 全国の主要家電量販店ネットショップPOSデータを集計した「BCNランキング」によると、ベルボン三脚・一脚カテゴリで、直近の2020年6月はメーカー別販売台数2位につける有力メーカー。19年年間ではシェア17.5%を占め、上位3社の接戦を制してトップに輝いた。年間1位は、12年の集計開始以来、15年、16年に続き3回目。19年発売のトラベル三脚「UTC-53 II AS」「UT-3AR」などがヒットしたためで、こうした高い企画力や製品開発力があったからこそ、同業他社による事業譲受が成立したと考えられる。
 
ここ1年半ほど、ハクバ写真産業、Vitec Group、ベルボン、
スリックの上位4社でシェア6割近くを占め、19年は上位3社が僅差で争う大接戦だった

 ベルボンの公式Twitterアカウントは、8月3日に「今後はハクバさんの力を借りつつベルボン製品を展開していきますので、どうぞよろしくお願い致します」とコメント。ブランド終了ではなく、ハクバ写真産業とベルボンは、それぞれの顧客基盤、事業ノウハウなどを融合し、カメラ用品の企画・設計・開発・製造を共同で検討していき、ベルボンの販売網やサポート体制も引き継がれるという。
 
国産の三脚メーカーとして50年以上にわたって三脚をつくり続けてきたベルボン

 ベルボンは、過去にカメラと写真映像の総合展示会「CP+」に出展し、カメラ向け、スマートフォン向けの多彩な三脚を展示していた。しかし、CP+2020は開催中止となり、CP+2021は開催日程こそ決定しているものの、密集した状態で、実際に触って触れるコーナーの多いイベントの特性上、またもや中止になる可能性は高い。ベルボンの事業譲渡、オリンパスのイメージング事業の分社化・事業譲渡は、上位メーカーですら「現状維持」では厳しいと判断せざるを得ない、カメラ関連ビジネスの厳しさがうかがえる。(BCN・嵯峨野 芙美)


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。