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デジカメ市場「七重苦」、3月の売り上げ半減で生死を分ける「新型コロナ後」戦略

 デジカメ市場が七重苦にあえいでいる。3月の販売台数が前年比で50.0%と半減。販売金額は、48.3%と半減を上回る大幅な縮小に見舞われている。デジカメ市場は、もともとスマートホン(スマホ)の台頭による市場縮小に苦しんでいたが、10月の増税が追い打ちをかけていた。加えて、折からの新型コロナウイルス感染症拡大の影響が降りかかっている。スマホの台頭、増税と二つの要素に加え、大規模イベントの中止や延期、サプライチェーンの障害、外出自粛、身近なイベントの中止・延期、販売店一時閉店が加わり、マイナス要因が7つも積み重なっている。

「六重苦」で大幅マイナスに見舞われたデジカメ市場

 3月の販売の落ち込みは、レンズ一体型のコンパクトカメラが前年比50.9%と半減だったのに比べ、レンズ交換型のミラーレスや一眼レフの方が48.3%で半減以上と打撃が大きい。3月時点の台数シェア40.4%でトップシェアのキヤノンは、前年比で45.6%と大幅減で大苦戦だ。2位ソニーも同様。ニコンも厳しい。販売台数で35.7%と、実に7割近くも縮小している。

 ただし、多くは低価格コンパクト縮小の影響で、販売金額の前年比で50.1%に踏みとどまっている。主要メーカーで唯一販売台数が前年を上回ったのが富士フイルム。3月時点でも111.8%と好調。しかし、ニコンと逆で、ミラーレスモデルの価格下落によるもので、金額の前年比では93.8%と前年を割れている。

 比較的堅調なパソコンやテレビに比べ、大打撃を受けているカメラ。始まりは、見本市の「CP+」の中止だ。横浜の春の風物詩ともいえるアジア最大規模のカメラ見本市CP+は2月27日から3月1日まで開催する予定だった。その後、ドイツ・ケルンで5月に開催予定の世界最大級の見本市「フォトキナ」も中止が決まった。しかも、次回開催は2022年だという。

 大きなイベントは、もう一つある。東京五輪だ。1年延期が決まった。カメラのフラッグシップモデルは、「オリンピックイヤー」を目標に開発・発売されるのが恒例。報道写真の最先端で活躍する様子をアピールするためだ。今回もキヤノン、ニコンが発表した。五輪そのものが延期されれば、アピールの機会もお預けだ。
 
CP+中止で閑散として人気のないパシフィコ横浜

 身近なイベントも中止や延期が相次いでいる。入学式、卒業式、花見に春の行楽……。新生活需要も加わり、3月はカメラにとって12月や9月に次ぐ需要期だ。今年は、その山が見事に消えた。生産体制にも影響が出ている。中国からの部品供給が打撃を受けているためだ。トップシェアメーカーキヤノンは、3月に九州工場の操業を止めるなどで対応。緊急事態宣言を受けて、カメラ用半導体工場の操業停止も発表した。

 販売店の休業も広がりつつある。ビックカメラノジマヤマダ電機などでは、ショッピングモールに出店している店舗を中心に休業が広がっている。外出の自粛要請で、この時期、絶好の被写体ともいえる満開の桜の撮影もままならなかった。とても写真を楽しむ気分になれない、そういった空気も広がっている。
 
カメラや家電の量販店でも一時閉店する店が増え始めた
(ビックカメラ ラゾーナ川崎店)

 2018年秋以降、スマホに対抗するカメラ業界の大きな動きは、いわゆるフルサイズミラーレスと呼ばれる高級路線の推進だった。ソニーが市場をつくり、キヤノンやニコンが新たなレンズマウントを引っ提げ相次いで参入。盛り上がるかに見えた。

 しかし、世界的な新型コロナ感染拡大の影響で、状況は一変。景気後退局面に入り、一眼レフやミラーレスでの、フルサイズ化に伴う高級路線の拡大は難しくなってきた。レンズ交換型に占めるフルサイズモデルの販売金額構成比は昨年7月時点で26.8%だったのに比べ、この3月に20.1%と6ポイント以上も縮小している。新型コロナが過ぎ去った後、どこに活路を見出すのか。カメラ業界は今、正念場を迎えている。(BCN・道越一郎)

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