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月額100円から導入できる! シャチハタがリリースした本気の電子印鑑サービスが凄かった

レビュー

2021/01/01 18:00

【木村ヒデノリのTech Magic #037】 リモートワークも相まって印鑑の運用がターニングポイントを迎えている。そんななか、印鑑のリーディングカンパニーであるシャチハタが新たなサービスをリリースした。シャチハタはこれまでも「パソコン決済Cloud」というサービスを展開してきたが、11月24日に「ShachihataCloud(シャチハタクラウド)」としてリニューアル。印鑑メーカーが提案する電子印鑑サービスがどのくらい業務効率を上げてくれるか検証していきたい。

シャチハタが展開する電子印鑑サービス
「ShachihataCloud(シャチハタクラウド)」の実力は?

日本独自の慣習、実は法的効力の無い印鑑

 まずは印鑑の法的効力について触れておきたい。実は印鑑、電子印鑑にかかわらず押印自体に法的効力はない。押印という行為はあくまで確認や承認の意思を証拠として残すためのもので、それ自体が契約になるわけではないのだ。つまり契約書に押印が無くとも署名があれば法的には成立している。ただし、押印があると「承認した」という2重の証拠となり書面の信頼性は上がる、というわけだ。

 e-文書法の施行により、契約に関しても電子的に処理するサービスが出始めた。しかし、これらには認印的な電子印鑑機能しか備わっておらず別の形で契約の有効性を担保している。シャチハタクラウドはこれとは逆のアプローチで、押印していたこれまでのワークフローをそのまま電子的に処理することをコンセプトにしている。押印を電子的に、ということよりも、承認プロセスを丸ごと電子化する、ということに注力したのが非常に良いと感じた。
 
社外も含め、今までの承認フローを踏襲しながら電子化しているのが秀逸。
コンセプトはBPS(ビジネスプロセスそのまんま)と名付けられている

年齢を問わず使えるインターフェースと中小企業が導入しやすい価格

 ユーザーインターフェースはリニューアル前も使いやすかったが、シャチハタクラウドになってより直感的に使えるようになった。ファイルもPDF、Word、Excelをドラッグドロップでアップロードでき、押印までは2ステップで完了する。自分の印面は入力された苗字から自動生成されるのだが、どれも本物の印鑑とくらべて遜色がない。このあたりは今まで多くの認印を作ってきたシャチハタならではと言えるだろう。
 
UIはシンプルで、初めてでも直感的に使えるように工夫されている
 
印面は三種のフォントから選べ、日付入りの印鑑を選ぶこともできる

 価格は印鑑一つにつき何と100円からで、初期費用もかからない。押印する人数が増えると導入費用が嵩むこともあるが、中小企業では導入しやすい価格設定と言える。契約は10個単位で、請求のスパンは年単位。例えば小規模な事業所で、角印を数名で共有しつつ各自が氏名印を持つことを想定すると、7名~10名で承認フローを組んでいる事業者は年間1万2000円で電子化できることになる。

 より高度な信頼性を求めるのであれば、ビジネスプランを選べばいい。ビジネスプランでは「複合的な認証で本人性を高める」「電子署名を付与して原本性を高める」「タイムスタンプを付与して存在証明を担保する」といった電子処理の弱点をカバーする機能が備えられている。これらの機能を利用するとしても月額3000円から導入できるという価格設定にはシャチハタの本気度が窺えた。
 
共通印も一つとカウントされるため、10個の契約でも上記の場合は7人での運用となる
 
ビジネスプランにはより信頼性を高める機能が盛り込まれているが、
小さな事業者であればスタンダードプランでも十分活用できる内容

ブラウザからアプリのように操作できるから環境を選ばず使える

 ビジネスプランにはネイティブアプリも用意されているが、ブラウザのインターフェースも作り込まれていて不便ではない。WordやExcelで作ったファイルをアップロードすると通常文言の編集ができなくなってしまうが、テキストツールを使うことで日付や名前、条件などを追記することができる。いちいち入力してからアップロードする必要がなくとても便利だ。
 
テキスト追加ツールを使うとアップロード後でも追記が可能、
フォントの種類やサイズも変更できる
 
ネイティブアプリでは申請や確認フローが全てできるほか、
未読の通知をしてくれるなどさらに便利になっている

トライアルではタイムスタンプなどを除いた全ての機能が試せる

 導入検討をする場合も、30日間トライアルとしてほぼ全ての機能が試せるようになっている。私が理事を務める管理組合でも導入を考えており、このトライアルから試験運用を開始した。トライアルではタイムスタンプなどの機能は試せないものの、ビジネスプランにのみ含まれるネイティブアプリは試用することができる。やはり実際使ってみないと現在のワークフローに合わせられるのか判断しかねるので、30日間試してみられる仕様は非常に好感が持てた。

 使ってみると回覧のフローに社外メンバーを含められたり、順序を都度変えられたりとかなり自由度が高い。回覧を申請した後のフローもシンプルで、閲覧者は確認して押印、次に回すだけ。なるべくシンプルに、現実の作業に忠実に、と作られていることが試用するとさらに実感できるだろう。
 
回覧の順序やコメントの付加、
社外メンバーを含めるなど承認フローが1度で完結するのが良い

 率直に言って、試用した瞬間に導入を決めるくらい作り込まれたサービスで驚いた。ウェブサービスに明るくなさそうなシャチハタだが、BPS(ビジネスプロセスそのまんま)というコンセプトは本物だった。筆者の組織の場合、団地という特性もあって年配の理事も多いのだが、これなら使えるだろうと即導入となった。印鑑電子化の恩恵は、時間短縮や効率化という形ですぐに出ると思うので、尻込みせずにトライアルを試して欲しい(念のため書いておくが、シャチハタからの案件ではないので悪しからず)。(ROSETTA・木村ヒデノリ)


■Profile

木村ヒデノリ 
ROSETTA株式会社CEO/Art Director、スマートホームbento(ベントー)ブランドディレクター、IoTエバンジェリスト。

普段からさまざまな最新機器やガジェットを買っては仕事や生活の効率化・自動化を模索する生粋のライフハッカー。2018年には築50年の団地をホームハックして家事をほとんど自動化した未来団地「bento」をリリースして大きな反響を呼ぶ。普段は勤務する妻のかわりに、自動化した家で1歳半の娘の育児と家事を担当するワーパパでもある。

【新きむら家】
https://www.youtube.com/rekimuras
記事と連動した動画でより詳しい内容、動画でしかお伝えできない部分を紹介しています。