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歴史は100年以上 富士山測候所でも活躍?「異世界転生ヘッドホン」生み出した「ASHIDAVOX」の正体とは?

特集

2026/05/26 17:00

 【私の音を聴け!・01】有線イヤホン・ヘッドホンは、レトロブームも手伝って相変わらず根強い人気がある。そんな中で最近、一般消費者向けに製品展開を始めたのが業務用製品を長らく手掛けてきた「アシダ音響」だ。「ASHIDAVOX」のブランド名で展開中で、家電量販店だけでなく大手セレクトショップでも取り扱いが始まっている。そんなアシダ音響だが、そもそもどんな会社なのか。民生品を手掛けるに至った経緯から代表取締役社長の柳川久さんに聞いてみた(BCN・寺澤克)。

「ASHIDAVOX」ブランド展開の「アシダ音響」ってどんな会社?
社長に聞いてみた!

歴史は100年以上 「アシダ」の名は紙カタログの名残

──アシダ音響の歴史について教えてください。

柳川さん(以下敬称略) 当社は創立80年以上ということではあるんですが、もともとはアメリカからスピーカーを輸入・販売していた「アシダカンパニー」の流れを汲んでいるんです。だから、100年以上の歴史があるんですよ。
 
柳川久さん

──100年ですか。当時はまだ、音響製品を製作しているわけではなかったのですね。

柳川 はい。ちょうどNHKがラジオ放送を開始したころと同じくらい、といえばわかりやすいでしょうか。アシダカンパニーでは、私の祖父がスピーカーの技師として働いていました。ただ、第二次世界大戦の日米開戦で転機が訪れます。

 アメリカから輸入ができなくなってしまい、アシダカンパニーはいったん閉鎖となってしまうんです。しかし、「東京拡声器研究所」と名前を変え、国産スピーカーをつくることになりました。

 そして戦後、株式会社化して「アシダ音響」となったんです。

──そういえば、苗字は「柳川」なのに「アシダ」なんですね。

柳川 これは当時の紙のカタログ文化の名残ですね。

 ヤナガワだと頭文字は「Y」ですよね。これだと、アルファベット順に並んでいるカタログでは、後ろのページに名前が載る形になる。

 アシダの「A」なら、間違いなく前の方に来ます。会社の名前を少しでも多くの人に見てもらいたいとの思いから、社名も「アシダ」としています。

富士山頂でも問題なく動く 「音質本位・堅牢主義」モットーに業務用製品手掛ける

──戦後は、どのような製品を作っていったのですか?

柳川 スピーカーのまさに音を出す部分「スピーカーユニット」を製作していたのですが、そこからトランペット型のホーンスピーカーなども手掛けるようになりました。

──ホーンスピーカー?

柳川 例えば、信号機に取り付けられている「ピヨピヨ」と音を鳴らすアレです。あれがまさにホーンスピーカーです。

──なるほど。では、やはり業務用の製品を手掛けていたわけですね。

柳川 ええ。当社は、過酷な環境でも音が途切れない「音質本位・堅牢主義」を掲げてものづくりに取り組んできました。

 そうした点から、ついには、富士山頂の富士山測候所にも当社の製品が採用された例もあります。
 
富士山頂で使われていたホーンスピーカー

柳川 現在も納入させていただいているのは、警察無線に取り付けられている片耳のイヤホンです。実はこれ、50年以上も形が変わっていないロングセラーモデルなんですよ。当時のカタログと見比べてみてください。

──本当だ。昔と全然変わっていないですね。
 
55年前のカタログ
 
今でも形が変わっていないという NHKなど放送局でも実績豊富だ

柳川 そのほかにも、テレビやラジオ関係の業務用ヘッドホンなども納入しています。テレビプロデューサーの佐久間宣行さんがコーヒーのCMで着用していたのは「MT-3」というモデルです。カメラマンからプロデューサー、声優まで、さまざまな方が愛用しています。

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