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製品リリースは週1回ペース!?アンカー・ジャパンの考える安全性とは?【どうなるモバブ】

 【どうなる?モバイルバッテリーのこれから・4】モバイルバッテリー絡みの事故が、話題に上ることが多くなった。政府も対策を進めているところで、今後は、事業者側に製品の回収義務が課されることになる。そこで、メーカー側は安全性に対してどのように考え、対処していくのか。本連載では、各社製品の特徴を踏まえながら、関係者に取材していく。今回取材したのは、モバイルバッテリーの話題では外すことができないだろう、アンカー・ジャパンだ(BCN・寺澤 克)。

執行役員 兼 カスタマーエクスペリエンス本部長の
井田真人さん

だいたい週1回で新製品 豊富なラインアップと開発スピードの速さ

 取材に対応してくれたのは、執行役員・カスタマーエクスペリエンス本部長を務める井田真人さん。モバイルバッテリーといえば「Anker」、と思い浮かべる人も多いのではないだろうか。製品を数多く手がけてきた同社は、どんな取り組みを行っているのか。話を聞いてみよう。

──Anker製品といえば、どんな特徴が?

井田さん(以下敬称略) できる限りシンプルに、というのが当社の製品の特徴かなと思います。特にモバイルバッテリーで言えば「小さくて容量が大きい」、これが日本のユーザーのニーズかと思いますので、ここを満たせるように製品開発しています。
 
例えば25000mAhの大容量バッテリーが人気だ
165Wと高出力でノートPCの充電もこなせる

──バリエーションも豊富ですよね。

井田 はい、そこはすごく意識しています。やっぱり、開発・展開のスピードは当社の強みの一つです。細かなバリエーション含め、週に1回ぐらいは新製品が出ている、そんなスピード感です。

──ちなみに今モバイルバッテリーは何製品ぐらいあるんですか?

井田 新しい製品が発売されたり、切り替わったりするタイミングにより製品数は変動しますが、今は約50製品(2026年2月現在)ラインアップしています。

──本社は中国ですが、製品開発については?

井田 ベースは本社チームが開発をしていますが、日本法人も開発提案をしており、一緒に開発をしている製品も多くあります。国内のニーズなどをしっかり取り入れてもらうようにしております。
 

塵の大きさどこまで許せる? 許容誤差はマイクロメートル単位 重要部品は管理を厳格に

──安全性に関する取り組みについて。製品の設計ではどんなところに力を入れていますか。

井田 まずは保護機能です。温度保護や過充電保護などのほか、過放電保護や短絡防止といった機能を網羅しています。また、バッテリーマネジメントシステムにより、設計全体で保護を働かせることができます。たとえ1つ機能が働かなくても、別の機能でカバーできるような二重、三重の安全対策が施されています。

──部品の選定や生産体制については?

井田 弊社は自社工場を持たない、いわゆる「ファブレス」ですが、だからこそ部材選定やサプライヤー側の生産体制の質と管理には力を入れています。

 バッテリーセルなど、清潔さや精密さが求められるものについては、製造工程を厳密に管理しています。例えば、クリーン度を測るために、空気中に浮遊する微粒子の量や個数を測定できるパーティクルカウンターを用いてダストのサイズや量を計測します。許容される塵の大きさはいくつか、といった明確な基準をAnker側で設けて、サプライヤーに徹底してもらっています。

 さらに、品質のばらつきを抑えるため、精密な部材においては、マイクロメートル単位で管理しています。そして、Anker側で現場管理システムを開発し、全ての提供サプライヤーに使用を義務付けているほか、各製品にはシリアルナンバーや二次元コードを付け、いつどこで製造されたのか、部品単位で追跡、一元管理できるようにしていますので、トラブルの際にも、迅速に対応できます。

──安全試験については?

井田 もちろん、日本の電気安全法(PSE)、国際基準のIEC62368-1といったものは通過していますが、開発段階の評価から、サプライヤーへの品質管理などを行っています。さらに、2025年には中国本社ですべての試験に対応できるラボ施設を設けました。日本法人でも、元素解析やX線検査など、各検査を国内実施できる体制を整えています。

カスタマーサービスは人数の少ない設立時から内製

──不具合が生じた場合の対応体制は?

井田 まず、不具合が生じた場合は、アンカー・ジャパン内で状況の確認ができる体制が整っています。品質保証部の技術職が発生した案件が個別事象なのか、他の製品にも波及する恐れがあるのか、さまざまな調査を行います。ケースバイケースですが、本社とも連携して対応することもありますね。

──ユーザーサポートの体制は?

井田 電話、メール、チャットなどカスタマーサポートは全部内製で行っています。内製であることは当社でも特にこだわっている点でして、日本法人設立当初から続いている取り組みです。

──それはどうしてですか?

井田 カスタマーから直接ご意見をいただける場でもあり、開発観点でも情報を吸い上げる場として考えているからです。また何か不具合が起きた時に、製品の改善が必要となると、スピード感が必要です。そうした時に、内製であれば、いち早く一次情報が得られるので、重要項目と位置付けています。
 

自社のオウンドメディアでの啓発から出前授業や回収にかかる実証実験 関連省庁とも取り組む

──啓発活動などの取り組みは?

井田 「Anker MagazineE」というオウンドメディアを運営しており、製品の情報や解説、安全な使い方などを掲載しています。その中でも力を入れているのがモバイルバッテリーの適切な廃棄方法です。
 
Anker Magazine

井田 さらに、適切な廃棄方法の啓発の一環として、経済産業省とのモバイルバッテリー回収の実証実験を実施しました。他社のモバイルバッテリーも対象としながら、埼玉県内の一部直営店「Anker Store」に回収ボックスを設置しました。

 国、自治体と連携しながら、具体的な回収手順やルートを検証できたのは大きな成果だと思います。

──アンカー・ジャパンさんはすでに下取りサービスは展開されているところですが、消費者の反応はいかがでしたか?

井田 「どこにどう持っていけばいいかわからない」との声をよく聞きました。直接、直営店「Anker Store」に持っていけば、引き取ってもらえるというのは、お客様にも好評いただけたのかなと思いますね。

──そのほかには何かありますか?

井田 環境省と協力して、モバイルバッテリーについて学んでもらう出前授業を中学校などで行っています。
 
出前授業のようす

 生徒さんの中にはモバイルバッテリーの使用についてすごく知識がある人もいますが、良く知らない人の方が多い。その中で、使い方であるとか、捨て方についてどう考えているのか、今後の展開に向けて勉強になったという声も多かったです。

 これからもこうした取り組みは続けていきたいと考えています。

回収・リサイクルのため自治体とも協力続ける より安全な製品も開発中

──今後の取り組みについて。

井田 回収が義務付けられることになりますが、当社では以前からモバイルバッテリーの下取りには取り組んできました。今後も啓発も含めた取り組みは続けていきます。

 ただ、その後のリサイクル方法、どのように回収するのか、そういったところは国や自治体とも連携して進めていく必要があると思いますので、引き続き、関係各所と協力しながら進めていきたいと思います。

──製品についてはどうでしょうか。安全性が高いとされる半固体・準個体といったバッテリーも登場していますが。

井田 もちろん、第一はユーザーに対して安全性が高い製品が生み出せるという点です。ですから、半固体・準個体も含めて、特定の方式に限らず安全性や実用性を総合的に検討を進めていきます。

井田 釘刺し試験の追加など規制強化が話題になっている強制製品認証制度(3C)への対応はもちろんですが、近い将来、新製品という形でより安全な製品を皆さまにお見せできればと考えています。

──ありがとうございました!
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