JBLが「聴く」から「創る」へ、ハーマンに聞くAI×Wi-Fiが切り拓くオーディオの未来

【主要メーカーに聞くワイヤレススピーカーの次世代サウンド・1】ワイヤレススピーカーは、家や車内、アウトドアなど利用シーンが多様化しています。プレミアムとコスパの二極化が進む中、「生成AIとWi-Fi化が次の主戦場になる」とJBLブランドを展開するハーマンインターナショナル(ハーマン)の濱田直樹・マーケティング部シニアマネージャーは説明します。ハーマンは何を見て、どこへ向かうでしょうか。話を聞きました。(BCN・佐相 彰彦)

濱田直樹
マーケティング部シニアマネージャー

市場の現在地 多様化する使い方と二極化

――ワイヤレススピーカー市場の「今」をどう見ていますか。

濱田シニアマネージャー(以下、敬称略) 用途の多様化がキーワードです。家では音楽だけでなく動画やSNSの音をワイヤレススピーカーで流し、車内へ持ち込むケースも増えました。長時間再生や防水などで、アウトドア需要も伸びています。同時にプレミアム帯とコスパ帯の二極化が加速しています。前者が体験価値で、後者が裾野拡大で市場を牽引します。

――そのような状況の中、売れている製品は?

濱田 2025年に発売した「JBL Flip 7」が、お陰様で販売が順調に推移しています。部屋で音楽を楽しむだけでなく、学校での必修化などを背景にダンス人口が増えており、屋外での練習に欠かせないアイテムにもなっています。
 
JBL Flip 7

過去から現在までで何が変わった?

――この数年での変化を振り返ると?

濱田 スマートフォンで音楽を聴く際、これまでは屋外を問わずワイヤレスイヤホンでしたが、コロナ期の在宅集中のころか耳の疲れを回避するために「スマホ+ワイヤレススピーカー」が回帰しつつあります。また、ワイヤレススピーカーによる共有の楽しさも再評価されていると判断しています。 

――ほかにも、どんな利用シーンが伸びていますか。

濱田 家事中でのキッチン、バス、ベッドルームでの視聴が一般化しつつあります。車内に持ち込んで重低音を補う使い方や、キャンプでメンバーと共有して音楽を楽しむケースも多くなっています。これはワイヤレススピーカーではないのですが、パーティーではマイク・ギター入力対応の「パーティースピーカー」が活躍しています。しかも、当社のパーティースピーカー「JBL PartyBox」は持ち運びできるモデルもあり、家でカラオケなどを楽しむというケースも出てきています。そういった意味では、家庭用とPA(パブリック・アドレス)の境がなくなっているといえます。
 
JBL PartyBox On-The-Go 2 ES

生成AIでスピーカーはどう変わる?

――今後、さらにワイヤレススピーカーが普及するためには、どのようなことがポイントになってきますか。

濱田 スピーカー本体にNPUを搭載し、不要なノイズを即時に学習・除去、ジャンルや環境に合わせてその場で最適化する“賢い端末”が標準になります。家庭ではWi Fiネットワークの“一員”として、部屋間の同期、テレビやスマートホーム連携に貢献する存在になるのではないでしょうか。

――Bluetoothが主流だといえますが、なぜ今Wi-Fiなのでしょうか。

濱田 高音質で安定し、マルチルーム再生や音声アシスタント連携による家中でどこでも操作できるからです。日本ではリビング中心の生活動線に合わせた音を楽しむデバイスがポイントになってきます。そういった意味ではワイヤレススピーカーに限らず、テレビ下のサウンドバーやWi-Fiスピーカーが要になっていきます。

――生成AIがスピーカー体験をさらに充実させることはありますか。

濱田 従来の再生機から、ユーザーの表現を支える道具へと進化します。楽器演奏やパフォーマンスにリアルタイムで反応し、音を生成・補強する「エッジAI」がカギになってくるといえます。NPUを内蔵してクラウドを介さず低遅延で処理することで、違和感のないライブ感を実現します。既存製品ではAIサウンドブーストなどの学習系を搭載していますが、今年はエッジAI対応モデルの投入を見据えています。Wi-Fi×AIで「再生」から「共創」。その最初の一歩を今年、お見せできるはずです。
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