アップルからディスプレイ一体型のデスクトップPC「iMac」の新モデルが発売された。今やiMacは比較的安価に購入できるmacOS搭載のデスクトップPCとしてだけでなく、その高い基本性能がクリエイティブ業務に携わるプロフェッショナルからも支持されている。一段とパワーアップした新iMacをレビューしよう。

アップルのディスプレイ一体型デスクトップPC「iMac」の2019年新モデルを自宅で試してみた

サイズは5K/27インチと4K/21.5インチの2モデル展開

 今回借りてテストしたモデルは21.5インチの4K Retinaディスプレイを搭載するiMacだ。新しいiMacはインテルの3.6GHzクアッドコア第8世代Core i3プロセッサを搭載するモデルが税別で14万2800円から、3.0GHz 6コア第8世代Core i5プロセッサを搭載するモデルは16万4800円から購入できる。

 なお27インチの5K Retinaディスプレイを搭載する新iMacには三つの製品が出揃った。最上位モデルには3.6GHz 6コア第9世代のインテルCore i5プロセッサが搭載される。価格は25万3800円。

 商品パッケージにはキーボードとマウスも付属するので、買って箱から出せばすぐに使いはじめられるところがiMacの良いところだ。ディスプレイ一体型であることから機器の設置スペースも省ける。色んな面から見てコスパの良いデスクトップPCだと言える。
 
Bluetooth対応のワイヤレスタイプ「Magic Keyboard」が付属。
注文時にオプションでテンキー付のものに変更も可能
 
同梱されるMagic Mouse 2。こちらもオプションでMagic Trackpad 2に変更が可能

 今回のレビューに21.5インチのモデルを選んだ理由は、筆者が自宅で長らく24インチのiMacを使っていたので、近いサイズ感で買い替えなどを想定しながら比べるのであれば、打倒な大きさと考えたからだ。

 デザインがリニューアルされたiMacを自宅に置いてみる機会はこれが初めてだったため、意外にサイズがコンパクトだったことに意表を突かれた。背面がエッジ側に向かって緩やかにカーブするディスプレイは最薄部が約5mm。見た目にも軽やかだ。
 
2012年のモデルからiMacの背面は緩やかなカーブを設けたデザインに。
ディスプレイのエッジ最薄部は約5mm

 本件取材中にApple新宿に出かけた時に、27インチと21.5インチのiMacの実物を見比べてみたら、27インチのiMacもかなりスリムであることがわかった。もしかすると現在24インチのiMacを置いている場所でも十分に置けるような気がする。
 
筆者宅の24インチのiMac(左)と比べてみるとディスプレイ部の厚みが大きく変わったことがわかる

 映像コンテンツの視聴や、動画・写真の編集を頻繁に行う方であれば27インチの5K RetinaディスプレイのiMacを積極的に選ぶ価値がありそうだ。

 最新のiMacのデザインは画面が十分に広いのに圧迫感がなく、部屋の雰囲気に自然と溶け込んでくれる。整然と並ぶ端子部のほか、背面には余計な凹凸がない。
 
背面の端子部。ディスプレイにヒンジが固定されているところにある穴がスピーカーの開口部になる

 筆者も今回21.5インチのiMacを仕事机を壁側から窓側に移動して、背を窓に向けて置いてみたら、冒頭の画像のようにとても様になった。PCまわりのワークスペースが明るくなって大満足だ。

macOS搭載デスクトップ型スタンダード機が大幅に高速化

 新しい21.5インチのiMacが進化した大きなポイントのひとつがプロセッサだ。上位6コアプロセッサのiMacは従来機から処理速度が約60%高速化している。

 もうひとつ注目すべきポイントは、グラフィック処理性能が上がったこと。こちらは同じ上位6コアプロセッサのモデルにオプションとして用意されている「Radeon Pro Vega 20」のGPUをカスタマイズした場合、最大80%の処理高速化が見込める。

 ストレージも21.5インチの6コアプロセッサの上位機は、HDDの大容量とフラッシュストレージの高速パフォーマンスを併せ持つ1TBのFusion Driveが標準仕様だ。そして21.5インチのiMacはメインメモリの容量が8GB/16GB/32GBの3種類から選べる。

 今回筆者が借りてテストしたiMacはプロセッサが6コアの上位機をベースに、GPUはRadeon Pro 560X、RAMは8GB、ストレージは1TBのFusion Driveというカスタマイズの手を加えていない標準仕様のモデルだ。

Retinaディスプレイの映像が高精細。ゲームエンタテインメントにも期待が高まる

 新しいiMacのRetinaディスプレイは液晶のバックライトを白色LEDからRGB LEDに変更した。これにより自然な発色とコントラスト再現ができる。カバーする色域は従来のiMacではsRGBを基準としていたが、新しいiMacはデジタルシネマの規格であるDCI-P3に沿って広げられている。明るさは500nits。
 
フロントフェイスはベゼルの隅までブラックに統一。
ディスプレイのサイズ以上に没入感の高い映像体験を引き出す

 Netflixが配信する動画作品を視聴してみた。海外ドラマの人気作品「デアデビル」では炎の赤、空の青などに鮮やかなリアリティを感じる。人物の肌色も発色が素直で、透明感には目を見張るものがある。暗部のディティールもつぶれることなく立体的に引き立つので、陰影の豊かな映像が伝える迫力がシリアスなドラマ展開に緊張感を加えてくれた。
 
Netflixの映像コンテンツを楽しんでみた。パーソナルルームはもちろん、
一人暮らしのメインルームで映画やドラマを楽しむなら21.5インチでも十分に快適に視聴できる

 筆者はふだんリビングに設置した4K対応のスマートテレビでNetflixなどの動画配信サービスを利用しているが、iMacの映像も解像感や自然な色合いの再現力においては十分リアルに楽しめる。あとはディスプレイサイズの違いということになる。

 例えば一人暮らしを始めたばかりの新社会人の方であれば、ワンルームにiMacを置いてPCとして、そしてオンラインの映像コンテンツを楽しむためのメインディスプレイとしても活用できれば一石二鳥だと思う。

 そして秋にはアップルの新しいオンラインゲームサービス「Apple Arcade」が世界150か国以上で始まる。おそらく日本にも上陸することになるだろう。Macにも対応することが予告されているので、高精細なRetinaディスプレイを搭載する5K/4KのiMacで臨場感あふれるゲーム映像と一緒に楽しみたい。

 新しいiMacは筆者のようにテキストエディタで文字を書いて、時折カメラで撮影してきた写真をAdobe Photoshopで簡単に加工するぐらいの仕事を日常業務としているライターには十分すぎるほどハイスペックだった。

 現在、App StoreにはmacOSに最適化されたマイクロソフトのオフィス統合ソフトも揃っている。Office 365のWordやExcelに代表される定番ツールはWindows版のアプリケーションと変わらないほどサクサクと快適に動いてくれるが、ハイパワーな新iMacなら一段と動作が快適だ。
 
Office 365のExcelはレスポンスがとてもよく使いやすい

 またアップル純正のドキュメントエディタ「Pages」は、このほどようやくタテ書きテキストの編集に対応して使いやすくなった。ドキュメントエディタとして一段と使い勝手が良くなっていて、フリーで使える高機能なドキュメント編集用アプリケーションとして要注目だ。
 
iWorkのPagesも、新しいiMacの発売と同時期にユーザー待望の日本語縦書きに対応

 iOSとインターフェースの共通性が色んな所にある点もmacOSの魅力だ。例えばiCloudのユーザーアカウントから共有すれば、メールやメッセージ、メモに代表される定番アプリのデータをiPhoneとiMacとの間でリアルタイムに共有しながら、いつも最新の状態に保てる。

 今までにMacを使ったことがないという方でも、日頃からiPhoneを使い慣れていればあっけないほど簡単にMacの操作に馴染めるだろう。

 さらに高度な映像・音楽コンテンツの制作・編集作業を行う場合も、iMacは十分に快適な環境を提供してくれる。新しいiMacは多くの人々の生産性を高め、クリエイティビティを刺激するメインマシンになりそうだ。ゆったりとした大画面で映像やゲームなど、エンタテインメント系コンテンツを楽しむための家族共用のホームPCとしてもiMacは良い選択肢になると思う。(フリーライター・山本 敦)