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スマートホームのMatterとは AmazonやGoogleなどによる新規格をわかりやすく解説

コラム

2026/02/04 15:00

 スマートライトやロボット掃除機、スマートロックなど、家電のIoT化が進んだことで「声で操作できる」「外出先から確認できる」といった便利さは一気に広がりました。一方で、「メーカーが違うと連携できない」「アプリが増えて管理が大変」「買い替えたら使えなくなった」といった“スマートホームあるある”に悩む方も多いのではないでしょうか。

 そこで注目されているのが、Amazon・Google・Appleなどが対応を進める新しい共通規格「Matter(マター)」です。



 この記事では、Matterの基本から、生活の中でどんなメリットがあるのか、対応製品の見分け方、iPhone・Pixelでの使い始め方までわかりやすく解説します。「これからスマートホームを整えたい」「今ある機器をもっと便利に使いたい」という方は、ぜひ参考にしてみてください。
 

Matterとは



 Matterとは、スマートホーム機器同士をメーカーやプラットフォームの違いを超えてつなぐための共通規格です。これまでのスマートホームでは、「この照明はA社のアプリでしか操作できない」「スマートスピーカーを買い替えたら連携が外れた」といった問題が起こりがちでした。Matterは、こうした“規格のバラつき”を解消するために生まれた仕組みです。

 この規格を策定しているのは、Connectivity Standards Alliance(CSA)という業界団体で、現在はAmazonやGoogle、Appleをはじめ、数百社規模の企業が参加しています。歴史的には、2021年頃から本格的に登場し、当初は対応製品が限られていましたが、近年はスマートスピーカーや照明、プラグなど対応ジャンルが徐々に拡大しています。
 

Matterのメリット



 Matterが注目されている理由は、単に「新しい規格だから」ではありません。これまでスマートホームで感じやすかった不便さや不安を、仕組みそのものから解消しようとしている点にあります。

 ここでは、Matterを採用することで得られる代表的なメリットを、3つの視点から見ていきましょう。
 

規格統一


 Matter最大のメリットは、通信規格が統一されることです。従来のスマートホーム家電では、メーカーごとに対応規格やアプリが異なり、「照明はA社、エアコンはB社、スピーカーはC社」といった環境では、操作方法や設定がバラバラになりがちでした。

 その点、Matterでは共通のルールに沿って製品が作られるため、複数メーカーの機器を同じスマートホーム環境でまとめて使えるようになります。
たとえば、異なるメーカーのスマート照明とスマートプラグを、同じ音声操作や自動化ルールで制御することが可能です。

 これにより、機器選びの自由度が高まり、「このメーカーじゃないとダメ」という縛りが減っていくメリットもあります。
 

安全性


 家電のIoT化においては、日々の生活が便利になる一方、ハッキングや情報漏えいへの課題も指摘されてきました。Matterでは、こうした懸念に配慮し、セキュリティとプライバシーを重視した設計が採用されています。

 具体的には、通信の暗号化やデバイスごとの認証が標準仕様として組み込まれており、「誰が・どの機器にアクセスできるのか」を厳密に管理する仕組みが整えられています。また、クラウド依存を減らし、家庭内ネットワーク(ローカル)での制御を重視している点も特徴です。

 これにより、外部サーバーのトラブルや不正アクセスの影響を受けにくくなり、安心して日常生活に組み込めるスマートホームを実現しやすくなっています。「便利だけれど少し怖い」と感じていた人にとっても、導入のハードルが下がる設計といえるでしょう。
 

オープンソース


 Matterは、特定企業が独占しているものではなく、オープンソースとして公開されている規格です。この点は、将来性の面で大きなメリットといえます。なぜなら、オープンソースであることで、メーカーや開発者は共通の仕様をもとに製品やサービスを開発でき、対応機器の増加や改良のスピードが加速するからです。結果として、ユーザー側は選択肢が広がり、価格や機能面でも競争の恩恵を受けやすくなります。

 また、特定の企業方針に左右されにくいため、「サービス終了で突然使えなくなる」といったリスクが相対的に抑えられる点も魅力です。長く使うことが前提となる住まいの設備だからこそ、開かれた仕組みで進化していく規格であることは、大きな安心材料になるでしょう。
 

対応製品と既存製品の対応


 現在、Matterに対応している製品は少しずつ増えており、すでにスマートスピーカー・スマートフォン・テレビ・照明・スマートプラグなど、スマートホームの中核となるジャンルで採用が進んでいます。対応製品を見分ける際の目安となるのが、Matterのロゴです。
 
出典:Smart Home Device Solution - CSA-IOT


 製品パッケージや公式サイトにMatter対応の表記があれば、メーカーやプラットフォームが異なっても、共通規格として利用することが可能です。

 また、すでに使っているスマートホーム製品についても、ソフトウェアアップデートによってMatterに対応するケースがあります。

 すべての既存製品が対応できるわけではありませんが、比較的新しいモデルや主要メーカーの製品であれば、あとからMatter対応が追加されることもあります。そのため、買い替え前に公式情報やアップデート状況を一度確認しておくのがおすすめです。
 

Matterを活用するには



 Matterは「対応製品をそろえたら、すぐに使い始められる」点も大きな特徴です。

 従来のスマートホームのように、メーカーごとにアプリを入れたり、複雑な設定を行ったりする必要はありません。基本的には、対応するスマートフォン(またはスマートスピーカー)と、Matter対応デバイスが1台ずつあればOKです。

 ここでは、実際に多くの方が利用しているAppleのiPhoneと、Google Pixelを例に、Matterの基本的な使い始め方を見ていきましょう。
 

iPhoneの場合


 iPhoneでは、「ホーム」アプリを使ってMatter対応デバイスを簡単にセットアップできます。すでにiPhoneを日常的に使っている方であれば、新しいアプリを覚える必要がない点は大きなメリットです。

 基本的な流れは、次のようになります。

【iPhoneでのMatter設定方法】
・iPhoneを最新のOSにアップデートする
・Matter対応デバイスを電源につなぐ
・iPhoneの「ホーム」アプリを開く
・「アクセサリを追加」をタップする
・デバイスに表示されているQRコードをiPhoneで読み取る

 あとは画面の案内に従って進めるだけで、初期設定は完了します。Wi-Fi設定やアカウント連携を細かく行う必要がなく、数分程度で使い始めることが可能です。

 設定後は、照明のオン・オフや家電の操作をiPhoneから直接行えるほか、音声操作や自動化(時間帯や条件に応じた動作)にも対応します。複数メーカーのデバイスであっても、同じ「ホーム」アプリ内でまとめて管理できるため、「どのアプリで操作するか迷う」といったストレスが減るのも特徴です。
 

Pixelの場合


 Pixelスマートフォンでも、Matter対応デバイスが1台あれば、比較的簡単にスマートホームを体験できます。操作の中心となるのは Google の「Google Home」アプリです。すでにPixelを使っている方であれば、こちらも新しい操作を覚える必要はほとんどありません。

 基本的な手順は、以下の流れになります。

【Google PixelでのMatter設定方法】
・Pixelを最新のOSにアップデートする
・Google Homeアプリを最新版にしておく
・Matter対応デバイスの電源を入れる
・Google Homeアプリから「Matter 対応デバイス」を選択、もしくは画面に表示されたポップアップから「QRコードをスキャン」をタップ
・表示されたQRコードを読み取り、「同意する」をタップして完了

 なお、Google HomeとMatter対応デバイスを連携するには、最低でも以下のものが必要です。

・Googleアカウント
・家庭用Wi-Fiネットワーク
・IPv6を有効化したWi-Fiルーター
・Google Home向けのMatter対応ハブ
・Matter対応のスマートホームデバイス
・Android 8.1以降およびGoogle Play開発者サービスバージョン22.48.14以降を搭載したAndroidスマートフォンまたはタブレット

 Google Pixelの場合でも画面の案内通りに進めれば、複雑な設定を行わなくてもセットアップが完了します。設定後は、照明やプラグなどをGoogle Homeアプリ上で一元管理でき、音声操作や自動化ルールの作成も可能です。異なるメーカーの製品であっても、同じ操作感で扱える点は、Matterならではのメリットといえるでしょう。

 なお、Google Pixel端末の場合、Google Home以外のアプリからでもMatterの設定が可能です。詳しくは、Google Nestのヘルプページを参考にしてください。

参考:Google Home で Matter 対応デバイスをセットアップ、管理、操作する
 

Matterを利用する際の注意点



 Matterはスマートホームをより便利にしてくれる共通規格ですが、利用する前にいくつか注意しておきたいポイントもあります。

 まず、「Matter対応=すべての機能が共通で使えるわけではない」という点です。基本的なオン・オフ操作や自動化は問題なく行えますが、メーカー独自の細かな設定や高度な機能については、従来通り専用アプリが必要になるケースもあります。

 また、Matterはローカル通信を重視した設計ではあるものの、音声操作や外部連携ではクラウド通信が使われる場合もある点には注意が必要です。完全にインターネット不要というわけではないため、利用環境に応じて理解しておきましょう。

 これらを踏まえて導入すれば、Matterのメリットをより安心して生かすことができます。
 

まとめ


 Matterは、メーカーやプラットフォームごとに分かれていたスマートホームの仕組みを、共通のルールでつなぐための新しい規格です。

 規格が統一されることで、製品選びの自由度が高まり、設定や管理の手間も大きく減らせます。また、セキュリティやプライバシーに配慮した設計、オープンソースによる将来性の高さも、安心して使い続けられる理由のひとつです。

 すでにiPhoneやPixelを使っている方であれば、対応デバイスを1台追加するだけで、Matterの便利さを体験できます。これからスマートホームを始める方はもちろん、既存環境を見直したい方にとっても、Matterは今後の“標準”として注目しておきたい規格だといえるでしょう。