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企業におけるリスキリング施策の実態を調査、意外な結果に

時事ネタ

2026/01/29 17:30

 パーソルイノベーション Reskilling Camp Companyが展開する、リスキリング支援サービス「Reskilling Camp(リスキリング キャンプ)」は、全国の企業に勤務する人を対象に、所属企業の「リスキリング施策」に関する定点調査を2025年12月に実施した。12回目となる今回は、リスキリング施策に関する「2026年度の実施予定と展望」についても調査し、その結果を発表した。

2025年12月版調査 初めて5割超に到達

 まず、所属企業における直近1年のリスキリング施策の実施状況について尋ねたところ、今回の調査では「実施した」との回答が52.6%となり、前年の41.8%を10.8pt上回り、初めて5割を超える結果となった。

 企業規模別では、「大企業・大企業グループ会社」での実施率は65.5%となり、前年調査の63.0%から2.5pt上昇している。「中小・スタートアップ企業」での実施率は、前年は合算で31.9%だったのに対し、今回の調査では区分を分けて集計した結果、「中小企業」で44.6%、「スタートアップ企業」で42.9%となり、いずれも4割を超えた。

 業種別に見ると、「製造業」では「実施した」との回答が69.3%となり、「通信・情報サービス業」の34.6%や、その他の56.1%と比較して最も高い結果となった。また、「製造業」は前年の55.8%から13.5pt上昇しており、業種内でも取り組みが進んでいることがうかがえる。

 また、ミドルシニア層(40代以上)のリスキリング実施率を見ると、年代が上がるにつれて低下する傾向が見られた。一方で、40代では実施率が高く、女性は79.4%、男性は54.0%が「実施している」と回答している。50代以降では、実施率が相対的に伸び悩む傾向も見られ、本業や生活環境の変化などにより、学びの進め方が多様化している可能性が示唆された。

 所属企業が取り組むリスキリング施策で重視するスキルを尋ねたところ、今回の調査では「AI活用(ChatGPT等)」が36.1%で最多となり、次いで「データ活用(31.1%)」、「セキュリティー(29.6%)」が続いた。さらに、「アプリケーション活用」と「クラウド活用」が同率で上位(トップ5)に入り、AI活用を起点に、データ・セキュリティーといった基盤スキルまで含めて強化する動きがうかがえる。

 前年調査では「データ活用(36.8%)」「セキュリティー(36.4%)」「ITプロジェクトマネジメント(32.7%)」が上位を占めていたのに対し、今回は生成AIの業務活用への関心が大きく高まり、優先順位が変化していることがわかった。

 所属企業の規模別では、大企業で「AI活用(ChatGPT等)」が46.7%ととくに高く、「データ活用」も40.6%と高い割合となり、関心の高さがうかがえる結果となった。

 業種別では、製造業で「AI活用(ChatGPT等)(39.1%)」が最も高かったほか、「アプリケーション活用(33.9%)」、「デザイン思考(33.9%)」、「ビジネス構想(33.0%)」がトップ5に含まれた。現場の業務改善に直結するツール活用に加え、業務やプロセスを見直す視点や企画立案に関わるスキルも同時に重視されている点が特徴的で、AI活用が単なる業務効率化にとどまらず、事業や業務の変革に向けた取り組みへと広がっている様子がうかがえる。こうした結果から、業種・規模を問わず、AIを起点に基盤スキルから上流工程までを一体で強化する重要性がさらに高まっていると考えられる。

 2026年度に所属企業がリスキリングを実施予定と回答した人を対象に、今後1年間のリスキリングへの投資(時間・費用など)について尋ねたところ、「大幅に増やす」「やや増やす」と回答した企業は77.2%と、全体の7割を超え、2026年度に向けてリスキリングへの投資を前向きに拡大する企業が多数派であることがうかがえる。

 企業規模別では、「大企業・大企業グループ会社」に所属する人の回答は「大幅に増やす(32.9%)」、「やや増やす(40.1%)」と、積極的に投資を拡大する姿勢が顕著となり、人材戦略や中長期的な競争力強化の観点から、計画的かつまとまった投資に踏み切る企業が多いことが示された。

 一方、「中小企業」に所属する人の回答では「やや増やす(71.5%)」が最多となり、「大幅に増やす」は12.3%にとどまった。リスキリングの重要性は認識しつつも、投資規模は抑えながら段階的に取り組みを進める姿勢が主流であることが示唆された。

 「スタートアップ企業」に所属する人の回答では、「現状と同程度に維持する(28.6%)」が一定割合を占める一方、「やや増やす(57.1%)」「大幅に増やす(7.1%)」となっており、事業フェーズや人員構成に応じて投資判断が分かれている状況がうかがえる。

 業種別でみると、「製造業」に所属する人の回答では「やや増やす(60.9%)」が最も高く、「大幅に増やす(17.3%)」と合わせて増額が中心となった。

 また、所属企業のリスキリング施策の年間予算を尋ねたところ、「1千万円以上~3千万円未満(24.9%)」が最も多く、次いで「500万円以上~1千万円未満(23.4%)」、「3千万円以上~1億円未満(13.3%)」が続いた。上位は数千万円規模の予算帯に集中しており、多くの企業が、まずは実行可能な規模で取り組みを進め、効果検証を行いながら段階的に投資を拡大していくという傾向が見て取れる。

 パーソルイノベーション Reskilling Camp Company代表の柿内秀賢氏は、「今回の調査から、多くの企業はすでに、リスキリングを『実施するかどうか』ではなく、『どのテーマに、どの規模で投資するか』というフェーズに移行していることが推察される。とくに、『所属企業がリスキリング施策を実施している』と回答した人が初めて5割を超えたことに加え、7割超の人が『所属企業が2026年度に向けてリスキリング施策への投資拡大を予定している』と回答している点は、リスキリングが一過性の取り組みではなく、中長期の人材戦略として定着していることを示唆しているのではないか。また、生成AIの普及を受けて、多くの企業が方針を見直しており、AI活用を起点に、データやセキュリティーなどの基盤スキルを含めた再設計が進んでいることも非常に興味深い。私たちはこの変化を、『AIを前提に、自分の仕事の価値を上げるスキルを組み直す』フェーズ=『AIリスキリング2.0』と捉えている。2026年はまさに、その本格化の年になると考えている。今後も『Reskilling Camp』を通じて、企業規模や事業特性に応じた“実行可能なリスキリング”の設計と推進を、『AIリスキリング2.0』時代の人材戦略として支援していく」とコメントしている。