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高くても売れる交換レンズのワケ、存在感一層高まるサードパーティー【道越一郎のカットエッジ】

 今、交換レンズが売れている。レンズ交換型カメラの売り上げも右肩上がりで回復してきているが、それを上回る勢いでレンズが売れているのだ。なぜか。昨今、撮影機器のお株は、すっかりスマートフォン(スマホ)に奪われた感がある。多くの人は写真や動画をスマホで撮るのが普通だ。それでも、あえてカメラを使うなら、スマホでは得られない撮影体験をしたいと思うのは人情。そこで活躍するのが交換レンズ、というわけだ。レンズを交換しながらの撮影は、まさにカメラならでは。スマホでちゃちゃっと取るより、ごついカメラを取り出して大げさなレンズを装着し、しかも交換しながら撮ると、撮れた写真の質はさておき、スマホで撮るのとは全く違う体験ができる。コロナ禍が終息して、イベントや行楽での撮影需要も復活。カメラの出番が増えたことも、レンズ活況につながっている。

交換レンズでこの10月に最も売れた、
シグマの18-50mm F2.8 DC DN

 交換レンズがどれくらい売れているか、BCNが集計したデータでみると、この1年で販売本数が前年同月を下回ったのは、昨年12月の1回だけ。販売金額が前年を下回ったのは、直近で2020年の10月までさかのぼる。さらに平均単価も上昇基調。販売は丸2年にわたって着実に伸び続けている。足元でも本数、金額ともほぼ二桁増の水準が続いている。新型コロナ感染症が拡大した初年の2020年10月と比べると、販売本数では24.1%増えた。税抜き平均単価は6万6500円から9万100円と35.5%上昇。その結果、販売金額は69.8%も増えた。テレビを筆頭に、デジタル家電全般が前年割れ基調の中、全く別の動きをしている。

 このところ特に販売本数シェアが上昇しているのが、シグマとタムロンといったメーカーが手掛けるサードパーティー製レンズだ。現在、交換レンズ全体の販売本数でサードパーティー製が3割から4割を占めており、存在感が高まっている。この10月でも販売本数シェアで純正組を抑えて1位と2位を占めた。1位はシグマで、販売本数シェアは18.9%。2位はタムロンで17.8%だった。やや差が開いて3位に、ようやく純正のソニーが14.5%で登場。以下4位ニコン14.2%、5位キヤノン12.9%で続く。レンズ別で最も売れたのが、シグマの18-50mm F2.8 DC DN Contemporary(FUJIFILM X)。富士フイルムのXマウント用標準ズームレンズで、小型軽量で写りがいいと評判だ。税抜き平均単価が5万6700円。レンズ全体の平均単価よりかなり安いが、そもそもボディーがなければ単体では何もできない交換レンズ。5万円超という価格は決して安くない。交換レンズはやはり、ほかの製品と違う独特の世界なのだ。
 

 レンズのマウント別で販売本数が最も多いのが、ソニーのミラーレスカメラ用のEマウントレンズ。10月現在で36.6%を占める。次いでニコンのZマウント用レンズで14.2%。ミラーレスカメラでトップシェアを走るソニーは、マウント情報を積極的に公開。サードパーティーの参入を認めている。他社がレンズを販売することで自社製レンズの売り上げを奪う恐れはある。しかし、レンズの開発には金と時間がかかる。ラインアップの一部をサードパーティーが担うことで、品ぞろえを短期間で拡充することができる。レンズの選択肢の多さは、カメラの魅力の一つ。ソニー製カメラの売り上げ増にも貢献する。ニコンもソニーに倣い、徐々にマウント情報を開示し始めており、サードパーティーの参入も増えてきた。レンズ市場の活況は、こうしたサードパーティーの貢献が大きいといえるだろう。(BCN・道越一郎)