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交換レンズでソニーが初めて年間シェアNo.1を獲得、ミラーレス化の進展で

 コロナ禍を跳ね返し、2022年に大きな巻き返しを見せたのが交換レンズだ。販売本数前年比は、106.9%とプラ転。販売金額では実に122.1%と2桁増まで回復してきた。20年に62.5%と大幅に落ち込み、21年も97.8%と前年割れが続いたところからの復活だ。前年の年間販売本数No.1メーカーを表彰するBCN AWARDの交換レンズ部門では23年、ソニーが初受賞するなど、メーカー間の力関係にも変化が生じている。全国の家電量販店やカメラ専門店、ネットショップなどの実売データを集計するBCNランキングで明らかになった。


 交換レンズ市場は、一眼レフ用とミラーレス一眼用の二つに分類できる。カメラボディの販売台数では、すでにミラーレス一眼が9割水準を占める主流だが、交換レンズの販売では、やや「ミラーレス化」が遅れている。まだ現役で活躍している一眼レフも少なくない。ユーザーは、現在実際に使用しているカメラに合うレンズを購入するからだ。とはいえ、ミラーレス一眼用交換レンズの販売本数構成比は20年の59.4%から、21年には68.1%、22年には77.3%と拡大。着実にミラーレス化が進んでいる。

 終息モードに入った一眼レフカメラとともに、一眼レフ用レンズの販売本数前年比は21年に78.3%、22年には77.1%と縮小が続いている。一方で、ミラーレス一眼用レンズは、21年でも111.4%と2桁増を記録したのに加え、22年は121.4%とさらに拡大した。こうした市場構造の変化はメーカーシェアにも影響。これまではキヤノンが13年連続で年間トップシェアを守り続けてきた。しかし、22年はソニーが年間シェア16.4%でトップの座を奪い、BCN AWARD 2023を受賞した。ソニーが22年に販売したレンズはほとんどがミラーレス一眼用のEマウントレンズ。構成比は95.1%を占める。一方シェア15.9%で2位に後退したキヤノン。ミラーレス一眼用レンズの構成比は57.8%にとどまっている。
 

 22年にシェアを拡大させたのがレンズメーカーのシグマとタムロンだ。年間シェアではシグマが14.5%で3位、タムロンが14.3%で4位と、0.2ポイントの僅差で激戦を繰り広げた。ソニー、キヤノンが販売本数でわずかに前年を割れたのをしり目に、シグマは126.3%、タムロンは136.2%と販売本数前年比が大幅増で好調だ。ミラーレス一眼用レンズの構成比もソニーに次いで高く、シグマが72.6%、タムロンは85.9%を占める。自社のカメラ用レンズしか販売できないカメラメーカーに比べ、レンズメーカーは、複数社のボディ向けレンズを販売できる。よりミラーレス化に対応しやすいという点で有利だ。

 レンズ交換型カメラは、幅広い交換レンズのラインアップもカメラの魅力のひとつ。カメラボディがミラーレス一眼に移行したからといって、一眼レフ用レンズの製造、販売をすぐにはやめられない。特に、長年一眼レフを中心にカメラビジネスを展開してきたキヤノンやニコンにとっては、一眼レフ用レンズをどんなかたちで終息させていくかは、とても大きな課題だ。交換レンズ市場は当面、一眼レフというレガシーを背負ったカメラメーカーと、ミラーレスに専念できるカメラメーカーやレンズメーカーの戦い、という構図が続くだろう。(BCN・道越一郎)