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西武池袋・西武渋谷・そごう千葉にヨドバシカメラが出店? 「百貨店」再生に向けて今後に期待すること

オピニオン

2023/09/08 19:00

 昨年来続くそごう・西武の投資ファンドへの売却問題は、8月31日のそごう・西武労働組合のストライキ実施と、翌日の譲渡手続き完了のプレスリリースで判明した実質譲渡額の少なさから大いに話題となった。投資ファンドのFortress Investment Group(フォートレス)は「ヨドバシカメラ」「石井スポーツ」を運営するヨドバシホールディングス(ヨドバシHD)をビジネスパートナーとし、同社は池袋(西武池袋本店)・渋谷(西武渋谷店)・千葉(そごう千葉店)にヨドバシカメラを出店する意向だと報じられている。なかでも千葉については、全館改装のため8月31日をもって別館「そごう千葉店 ジュンヌ」が閉店しており、かなり早い段階で出店するのではないかと予想されている。

「そごう千葉店 ジュンヌ」の一時営業終了・全館リニューアルのお知らせ
(オーロラシティパーキング、スターバックスは営業中)

池袋駅東口で家電量販店3社が激突?

 2022年7月掲載記事<再開発進む「池袋」で大型家電量販店が激突? そごう・西武の売却報道でヨドバシカメラの名が急浮上>で指摘した通り、今後、ヨドバシカメラが西武池袋本店に新規出店した場合、池袋エリアでは家電量販店4社、西武池袋本店のある東口エリアに限ると3社が価格競争を繰り広げる可能性が高そうだ。そうなると、いま以上に他店対抗による値下げやサービス拡充が期待でき、JR・私鉄・地下鉄(東京メトロ)の計8路線が乗り入れる池袋駅を日常使いできる消費者にとってはプラスだ。
 
そごう・西武の売却騒動で注目を集める、
西武鉄道 池袋駅と一体化した西武池袋本店(記者撮影)

 こうしたそごう・西武の売却騒動の裏で、秋葉原にあるヨドバシカメラの旗艦店「ヨドバシAkiba」の3階に8月25日、薬・日用品を取り扱う「ヨドバシドラッグ」がオープン。駅前立地を生かし、ビックカメラと同様に、非家電分野を強化していく模様だ。

 またヨドバシカメラは、クラウドファンディング「Makuake」発の人気商品を販売する特設エリア「Makuake SHOP」を9月6日の新宿西口本店を皮切りに、全国7店舗(新宿以外では吉祥寺・仙台・横浜・京都・名古屋・博多)に順次展開し、既存のAkiba・梅田のショップは売場面積を拡大する。Makuake SHOPは、ECサイト「ヨドバシ・ドット・コム」でも展開しており、そごう・西武の経営不振の要因の一つとされる「地方店」に関し、ヨドバシHDは、出店先を都心部に絞り、地方在住者に対してはECでフォローするという姿勢を示している。
 
ヨドバシカメラ内の「Makuake SHOP」は
全国計9店舗展開へ

 一方、移転オープンした「ヨドバシカメラ マルチメディア仙台」を核とした「ヨドバシ仙台」にデッキで直結した「ヨドバシ仙台第2ビル」の3階には、東北エリア初出店となる大型スーパー「ロピア 仙台ヨドバシ店」が8月22日にオープン。地元新聞によると大いににぎわっているという。
 
「ヨドバシカメラ マルチメディア仙台」(ヨドバシ仙台第1ビル)と
ヨドバシ仙台第2ビルの位置図

 ロピアを傘下にもつOICグループは関東エリアで商業施設「ロピアモール」をいくつか手掛けており、2024年開業を目指し大阪市住之江区にロピアモールを新築する計画が明らかになっている。またロピアは、新座店(埼玉県)、福岡新宮店、仙台ヨドバシ店に続き、年内に北九州や名古屋にも出店予定で、ここ2年ほどで一躍、小売業界での存在感が高まっている。そのきっかけは京都駅直結の「京都ヨドバシ」への出店にあると考えられている。
 
東北初出店を果たした「ロピア」は今後、
北九州リバーウォーク・名古屋みなとにも出店予定。
百貨店「加古川ヤマトヤシキ」の地下階にも出店すると報じられた

 今も西武百貨店をまれに利用しているが、ヨドバシHDをビジネスパートナーとした投資ファンドが百貨店事業の立て直しを図ると聞くと、ヨドバシ出店とともに、ロピアやユニクロ、ダイソー、ABC-MARTといった企業が出店し、百貨店から「家電量販店+α」にがらりと変わるようなイメージが浮かぶ。家電量販店フロアも、おもちゃ・ゲームや「ヨドバシドラッグ」のような非家電分野が目立ちそうだ。もちろんあくまで予想であり、投資ファンド側からの正式発表はない。

 そごう・西武は9月1日から、セブン&アイ・ホールディングス(セブン&アイ)との資本関係はなくなり、同グループを離れたが、セブン&アイとそごう・西武が出資する「e.デパートマーケティング」によって「7iD」でログインする「西武・そごうアプリ」は継続して提供し、「西武東戸塚S.C.」を除く各店では、会計時に同アプリを提示するとセブンマイルがたまる。電子マネー「nanaco」への対応や、au PAY「グリーンライフポイント」キャンペーンへのエントリー(毎月)によるau PAY決済での「Pontaポイント2倍(付与上限500ポイント)」も継続する。資本関係は変わっても、当面はそごう・西武の各店舗に変化はなく、取り沙汰された3店舗へのヨドバシカメラの出店時期も未定だが、関連各社の今後の動向にますます注目だ。(BCN・嵯峨野 芙美)
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