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最新鋭のPCが生まれる現場に技術者魂を見た! 富士通クライアントコンピューティングのR&Dセンター潜入取材レポート

 テレワークやオンライン学習などの新たなトレンドを追い風に、PC市場は活況だ。多くのメーカーが競い合う中、ノートとデスクトップの両方で高い販売台数シェアを獲得しているのが、富士通クライアントコンピューティング(FCCL)だ。最近では国内メーカーならではの高い品質だけでなく、“世界最軽量”などの尖った要素も魅力になっている。競争力の高い製品が生まれる環境とはどのようなものなのか。同社の開発拠点である神奈川県川崎市のR&Dセンターを取材し、その秘密を探った。

神奈川県川崎市にあるFCCLのR&Dセンター

高品質を支える万全の試験体制とプロフェッショナル

 R&Dセンターは、開発の拠点となる実験室や執務室などで構成されている。新製品のアイデア発案から開発、品質管理まで一貫した工程がワンストップでスピーディーに行えることが強みとなっている。出来上がったプロトタイプをすぐさま設計検証に回し、そのフィードバックをもとにブラッシュアップさせる。その繰り返しがFCCLブランドのプライドともいえる「高機能・高品質」を支えている。
 
実験室はさまざまなセクションに分かれているが、
スピーディーに横の連携ができるようになっている

 実験室で行われる試験は多岐に及んでいる。振動試験、落下試験、表示部開閉試験、天板・液晶圧迫試験など、あらゆる角度から徹底的に高水準の品質を満たしているか、試験が行われる。印象的だったのが、独自のプログラムを走らせたPCに静電気を加える試験だ。
 
PCに静電気を加えて、不具合がないか確認する

 試験では静電気発生装置でPCのあらゆる箇所に静電気を加える。PC上ではさまざまなソフトウェアが動作しており、障害が出れば即座にどこに問題は生じたか判明するというわけだ。問題が発生した場合は原因を分析し、電流を逃すような工夫を施すなどして対処する。隅から隅まで試験するため、全行程を完了するまでに相当の時間を要する地道な作業なのだという。
 
どこに不具合が生じたのか、独自のプログラムで確認できるようになっている

 音声室で行われているマイク性能の試験も興味深かった。見学時にここで行われていたのは、音声アシスタントのテストだ。全方位に設置されたスピーカーからさまざまな声や内容でPCに呼びかけ、きちんと反応するかをチェックするというもので、「サイレント」「音楽が流れている状況」「ノイズ」の3シチュエーションで音の出る角度を変えて合計6パターン(各15分実施)で感度を確認する。こうした比較的新しい機能にも、品質を保証するための試験がしっかりと用意されているのだ。
 
音声室で行われているマイク性能の試験

洗練されたボディに宿る、技術者の数々のこだわり

 最近、新しいコンセプトを掲げて進化を遂げているデスクトップは、見た目はもちろん、普段は見えない部分にも数々のこだわりがある。例えば、FMV「ESPRIMO FH-G/E3」は動画編集やゲーミングをパワフルにこなせるよう、GPUとしてAMD Radeon(TM)RX5300Mグラフィックスを搭載。これまでのオールインワンタイプとは一味違う魅力を備えている。ただ搭載するだけでは冷却は不十分で、十分なパフォーマンスが出せないため、ファンをダブルで搭載するなど熱対策も万全に施されている。計算されつくした設計で本体サイズは薄型のまま、というのもポイントだ。
 
GPUを搭載しているのでオールインワンタイプながら、
高負荷なゲーミングもパワフルに処理する
 
CPU用とGPU用のファンを搭載している

 液晶ディスプレイの解像度は4K。そして、写真・動画編集をこなすユーザーの声を受けて、「非光沢」を採用している。付属のキーボードマウスは使用しないときには本体の下に収納できるように設計されており、設置面積は狭く、省スペースであることにもこだわっている。
 
付属のキーボードやマウスは本体下に収納できる設計

 赤外線カメラを搭載しながら、極狭縁である上部のベゼルにも隠れた工夫がある。物理的に搭載できるスペースが制限されるということもあるが、それだけではなくカメラモジュールが放出する熱をどうするか、という課題がある。FCCLはカメラモジュールを金属板と接続してユニット化し、熱を逃がす方法でこれを解決。トライ&エラーの積み重ねで、性能を犠牲にすることなく、理想のデザインを実現した。
 
カメラを搭載するユニットは形状工夫した金属板に
熱を逃がす構造にすることで小型化に成功した

 売れ筋モデルであるFMV「ESPRIMO FHシリーズ」(23.8型ワイド液晶搭載モデル)は、2020年10月の新モデルから「瞬感起動」という名称のサインイン機能を実装。これは、ユーザーがPCの前に座ると自動でスリープ状態が解除され、即座に使い始められるというものだ。現在の最新PCの多くは顔認証でログインが完了する「Windows Hello」に対応しているが、スリープ状態のPCの画面をつけるためには、どうしてもPCに触れるワンアクションが発生する。しかし、瞬感起動はその動作が不要でゼロアクションで起動することができる。
 
新たに「瞬感起動」を実装したFMV「ESPRIMO FHシリーズ」
(23.8型ワイド液晶搭載モデル)
 
 
PCの前に座った瞬間にノーアクションで起動する

 このありそうでなかった便利機能を実現しているのは、Windows Helloを実現する「赤外線カメラ」と組み合わせて活躍する「人感センサー」だ。赤外線カメラが本体上部に備わっているのに対して、人感センサーは下部に搭載。ユーザーが着席する前に人感センサーがユーザーを認識してスリープを解除。Windows Helloが起動してすばやく顔認証をパスし、サインイン済みの画面が点灯するという仕掛けになっている。こうした技術の組み合わせによる新しいソリューションの開発は、まさにFCCLならではといえるだろう。

技術者魂は万国共通! 若手社員の声

 FCCLでは、幅広い国籍の人材を受け入れている。マレーシア出身のコンシューマ事業本部コンシューマ事業部第二技術部のリー・リーティン氏もその一人だ。5週間のインターンを経て、FCCLへの就職を決め、現在は2年目ながら製品の根幹となる技術の開発を担当している。
 
コンシューマ事業本部 コンシューマ事業部 第二技術部の
リー・リーティン氏

 もともと興味を持っていた分野と仕事の領域が重なっていたことからインターンに参加したというリー氏は、当時感じたFCCLの開発環境を「シンプルかつスタイリッシュ」と表現した。配属されていた部署の空気感が肌に合ったことも就職の決め手となったそうだ。

 入社してからは社会人としての基礎をしっかりと身に着けるための研修が行われることに驚いたという。日本では一般的だが、海外ではそのまま配属部署で働き始めるケースが多いという。慣れない環境で働き始めるにあたって、とても心強かったとリー氏は話す。

 現在は多岐に渡るプロダクトの開発に携わっているが、先ほど紹介した「瞬感起動」にも関わるところの「人感センサー」技術開発も担当した。「インテル搭載機か、AMD搭載機か、という違いだけでも異なる挙動が出ることもある。原因を分析して解決する、細かい作業の繰り返しだった」と苦労を語るが、話す様子はどこか楽し気だ。国は違えどもプロダクトにかける情熱は共通。FCCLの開発現場に流れる技術者魂を感じた。(BCN・大蔵大輔)

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