【なぐもんGO・52】 コロナ禍により、消費動向に変化が表れている。外出自粛や休業要請は解除されつつあるが、解除前の緊急事態宣言下では、実店舗での買い物を控える動きが強くなり、インターネットで買い物をするケースが急増。家電量販大手のビックカメラは、4月の新規EC会員数が前年同月比で3倍に増えたという。

コロナ禍による消費動向の変化で4月の新規EC会員数が前年同月比3倍に増えたビックカメラ
(写真は池袋本店)

 新型コロナウイルスは、接触や飛沫で感染するとされている。宣言下、店舗では、検温や人と人との間隔をあけるフィジカルディスタンス(身体的距離の確保)が実施されるなど、感染対策の徹底が強く求められていた。臨時休業した店舗もある。消費者の心理としても、感染リスクを考えると、リアルで買い物をするのはためらわれた。

 一方で、不要不急ではないものの、無いと少し困るものや、あった方が断然楽という商品のニーズも消えたわけではない。記者もテレワークをするためにWi-Fiルーターを買い替えようと思ったが、店頭で商品を探すのはためらわれた。そんな時に活躍するのがECだ。

 ECはこれまで、自宅にいながら買い物ができるという「便利」や「手軽」という視点で語られることが多かった。しかし、今では「感染拡大防止」といった観点からも注目されており、厚生労働省が示す「新しい生活様式」でも推奨されている。

ネット通販の利用が急増

 全国の主要家電量販店・ネットショップのPOSデータを集計した「BCNランキング」によると、コロナ禍でリアルとネットの売り上げの差が開いていることがわかった。特に、外出自粛が要請されたゴールデンウィーク中(4月27日週)に顕著な変化がみられる。
 
2020年3月16日週~5月11日週までのデジタル家電市場全体 販売金額前年同期比

 前年は最大10連休だったことで、実店舗が大いににぎわった。しかし、今年は飛び石で休みだったことや、外出自粛期間だったこともあり、実店舗の販売金額は前年同期比17.6%減。片やネットは75.2%増と伸長した。ビックカメラの広報担当者も、「ECの利用方法に関する新規会員の問い合わせが増えている」と、新しくECで買い物をする人が増えていると説明する。
 
店頭では手指の消毒を呼び掛けている

 5月25日に緊急事態宣言が解除となり、街には人が増えつつある。ビックカメラは、引き続き店頭での手指消毒やレジの飛沫防止スクリーン、フィジカルディスタンスの確保など、感染拡大防止策を徹底している。売り場の消毒なども平常時より頻繁に行う。

 「ECの利用者は増えたが、実物を確かめたいというニーズも依然としてある。来店客ができるだけ安心して買い物できる環境づくりに注力している」(同担当者)と、店舗で実物を確かめる大切さを再確認している人もいるようだ。
 
レジにスクリーンやフィジカルディスタンス用の目印を設置している

 新型コロナは第2波、第3波が懸念されている。緊急事態宣言が解除されたからと言って、気を緩めるわけにはいかない。今後しばらくは、実店舗で買い物する機会は限られるだろう。これまでネット通販と縁遠かった人にとっても、使う機会が増えるため、家電量販店のEC会員数は今後、さらに増え続けるかもしれない。(BCN・南雲 亮平)


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。