ソニーは5月19日、経営方針説明会を開催した。ネット配信予定時刻の16時00分から45分も遅れるという異例の開催となった。ソニーの吉田憲一郎社長兼CEOは質疑応答の冒頭で、「ソニーフィナンシャルホールディングス(ソニーFH)の完全子会社化について、投資家向け情報に時間を要したため」と遅れについて詫びた。

2021年4月1日にグループ本社「ソニーグループ」が発足する

新型コロナで「リモート」を強化

 会見では、2021年4月1日付でソニーの商号をソニーグループに変更して、グループ会社「ソニーグループ株式会社」を発足すると発表した。グループのシナジーや事業インキュベーション、事業ポートフォリオの管理などグループの本社機能に特化するため。

 ソニーの商号は、「ソニーの祖業であるエレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション(EP&S)分野が継承する」(吉田社長兼CEO)。具体的には、EP&S分野を束ねるために20年4月1日付で設立したばかりの中間持株会社ソニーエレクトロニクスや、その傘下の事業会社、プラットフォーム組織を一体化して、ソニーとして商号を継承する予定だ。
 
ソニーの吉田憲一郎社長兼CEO

 新生ソニーの詳細は、第1四半期決算後の8月ごろに説明会を開催するという。吉田社長兼CEOは、「ソニーの祖業のエレクトロニクス事業がずっと追求してきたものは、リアリティとリアルタイムだった。今後はこれに遠隔やリモートを極めていくことが加わる」と、今後のソニーの存在意義が新型コロナによって変わることを示唆した。
 

「人々の価値観が大きく変わる」

 特に、「ウィズ(with)コロナの今後は人々の価値観が大きく変わり、より本質で、本当に大切なものは何かを考えるようになる。最終的には、人に近づいていくと考えている。人の心を動かす(音楽、映画、ゲーム)、人をつなげる(ネットワーク)、人を安心で支える(金融)を軸に、ウィズコロナの時代に成長していきたい」とし、新型コロナの影響で生活様式や価値観が大きく転換すると語った。

 例えば、新型コロナ後の世界では電車や飛行機で移動したり、人同士が集まったりすることが難しくなると想定。「ライブや映画製作そのもののが遠隔化する。中でも、ユーザーの購買行動は急速にネットへシフトしていることがコロナ危機で加速されたメガトレンドだ。購買行動の遠隔やリモート化も広がる」として、それをソニーグループが持つテクノロジーで実現していくという。

 今回、ソニーFHの完全子会社化で金融事業にもスポットを当てた。65%の持株を100%に引き上げることで、これまで流出していた400億~500億円の純利益を21年以降に取り込めることで事業の安定化が図れる。また、今後のソニーグループの投資戦略にも活用していく考えを示した。

 ソニーFHの子会社化について吉田社長兼CEOは、金融事業がDTC(Direct to Consumer)サービス事業としてコア事業であることと、グローバルで地政学的なリスクがある中で国内に約700万人のエンドユーザーの保険や金融を支える安定的な事業であることと、少数株主の持ち分が100%になることで長期的な企業価値につながることの三つを掲げた。