米国への中国・ファーウェイ製品の禁輸措置の問題が、スマートフォン(スマホ)のカメラ機能の要となるCMOSセンサーを供給するソニーに影響を及ぼさないのか――。5月21日に開催された会見で出た記者からの質問に、吉田憲一郎社長兼CEOは「取引先、規制、政策についてのコメントは差し控えさせていただく」とノーコメントの姿勢を示した。その一方で「現在、(ソニーの)米国の売上比率は23%、中国は9%。両国ともに重要な市場であることに間違いない」と語り、米中の貿易摩擦のエスカレートが、企業経営に及ぼす影響は小さくないことを示唆した。

米中の貿易摩擦についてコメントを求められたソニーの吉田憲一郎社長兼CEO

センサー売り上げの8割がスマホ向け

 スマホ用カメラや車の自動運転の「目」となるのはCMOSセンサーで、ソニーは世界シェアトップ(金額ベース)を誇る。今回の経営方針説明会でも、イメージング用途の世界No.1を堅持しつつ、車載などのセンシング用途でも世界No.1を目指すことが示された。

 19年3月期の半導体事業の売上高は8793億円で、ソニー全体の8兆6657億円の10%ほどの規模だが、セグメント別の売上高営業利益率はトップの音楽事業の28.8%に次ぐ16.4%の稼ぎ頭だ。ソニーの利益面に大きく貢献している。

 「半導体事業のほとんどがCMOSセンサー事業で、CMOSイメージセンサーの売り上げの8割がスマホ市場向け」(吉田社長)という状況からも、ファーウェイ問題はソニーにとって無視することはできない。
 
ソニーのCMOSイメージセンサーの売り上げの8割がスマホ市場向け

 ただ、吉田社長は、スマホに搭載されるカメラの多眼化や大判化によって今後もセンサー需要は拡大し、新しいToFセンサーの需要が立ち上がることに加えて、「CMOSセンサーは高感度や高ダイナミックレンジなどの基本性能が重要なアナログ半導体で設備が陳腐化しにくく、長期的な投資リターンは高い」と、長期の視点からも半導体事業は成長分野であることをアピールした。

 車載用センサーでも、積層構造の利点を生かしたエッジAIの搭載によるインテリジェント化など、事業領域の拡大が期待されている点を説明。18年~20年度までの累計設備投資金額も、イメージセンサー向けを中心に当初の1兆円の計画から、1.1~1.2兆円に増額したことを明らかにした。(BCN・細田 立圭志)