3月15日に開催予定だった「RAGE Shadowverse 2020 Spring GRAND FINALS」は、新型コロナウイルスの影響で無観客試合での開催になった。動画配信はいつも通り行われていた一方で、新たな試みとして、VR空間で試合を観戦できる「V-RAGE」β版をリリース。新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するためにイベントの自粛が続く中、リアルに近い体験をオンライン上で再現することを目指す。

VR空間でeスポーツ大会を観戦する試み「V-RAGE」β版

 V-RAGEは、eスポーツイベント「RAGE」の会場を模したVR空間で、eスポーツの観戦ができるサービス。クラスター社のバーチャルプラットフォーム「Cluster」を使用している。Cluster自体は2017年から稼働しており、個人から企業までさまざまなユーザーが利用している。たとえば、Vtuberのライブイベントや企業のオンライン会議、友人の集いなど、VR空間でさまざまな形のコミュニティが形成されている。2019年には約200回のイベントが開催されており、認知度も拡大中だ。

 Clusterは、スマートフォン(スマホ、Android9.0以上/iOS13.0以上)版とPC版、VR版の3種類が用意されていいる。スマホ版とPC版は、アバターを操作することで、バーチャル空間での活動ができる仕様。チャットやスタンプなどでコミュニケーションを取ることができるが、メインはイベントの観戦。見た目は『マインクラフト』内でイベント会場を作り、そこに参加している雰囲気だ。
 
会場自体がVR空間に存在し、中に入ってからイベントに参加できる
 
会場内にはイベント会場と同じく大型スクリーンを設置したり、試合の様子を観戦したりできる

 VR版はPCを使用する「VIVE」や「Oculus Rift」などハイエンドVRゴーグルを使用する。スタンドアローンのVRゴーグルやPSVRには対応していない。ただ、PSVRに関しては2020年内に対応の予定だ。ハンドコントローラーを使用すれば、サイリウムを自在に振れるなど、PC版やスマホ版よりも多彩な行動を取ることが可能。何よりもバーチャル空間への没入感が高く、まさにイベント会場で視聴している感覚を得ることができる。

 V-RAGEは最大1万人の同時接続を可能とする巨大イベントで、Clusterとして最大規模のイベントになる。最大50人入れるサーバーを最大200個用意して対応する。各サーバーのアバターの動きを見たり、チャットで会話することが可能。さらに、個別のサーバーを立てて知り合い同士でURLを共有すれば、知り合いだけの空間を作れる。まだ実装されていないが、共有サーバーのみ音声チャットが可能になる予定だという。
 
スマホやPCでも体験可能だが、より没入感を得たいのであればVRがオススメ

 V-RAGEで行われるRAGE Shadowverse 2020 Spring GRAND FINALSでは、会場に大きなディスプレイが設置してあり、試合の様子を観ることができる。これは実際に会場で観戦する感覚と似ている。当日は、YouTuberの「もこう」さんと「つるおか(かものはし)」さんによるステージ上での応援実況や漫才コンビ「ミルクボーイ」による漫才も披露された。
 
「もこう」氏と「つるおか(かものはし)」氏もアバターとしてVR空間内に登場。
試合と応援実況を同時に観られるのはVRならでは

 ミルクボーイの漫才は多くの参加者に観て貰えるよう、通常よりもサイズを大きくして表示。ほかにも、物理的な制約を無視した派手な演出を行えるのがバーチャルならではの魅力だ。リアルでは建物内での活動は消防法などの規定によりできることが少なくなるうえ、屋外であればまた違った規制も発生する。その点バーチャルであれば、室内で花火を上げようが、紙吹雪が舞おうが問題ないわけだ。

 すべてのイベントがバーチャルに置き換わるとはまだ考えられないが、現場の会場と動画配信に加え、バーチャル空間での観戦が新たな選択肢になるのかもしれない。(ライター・岡安 学)