新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大が世界規模で広がっており、経済活動にも多大な影響を及ぼしつつある。Twitter上で、不動産仲介業者やリフォーム関連業者と自称する複数の人物は、いま使っているトイレを壊さないよう呼びかけていた。トイレ本体の交換修理が不可能になっているからだ。新築・リフォーム用のエコキュートも全国的に品薄という。

 国土交通省は、こうした事態を受け、本来は今年3月末日までだった「次世代住宅ポイント」のポイント発行申請期限の3カ月延長を発表。しかし、積極的に情報公開しているメーカーは少なく、販売店や工事関連業者のほうが消費者への注意喚起に積極的な印象だ。

TOTO・パナソニック・LIXILが順次公開

 TOTOは他社に先駆け、2月18日に「納期に関するお知らせ」を掲載。住宅設備の納期遅延問題が知られるきっかけとなった。「ネオレスト」をはじめ、最初からほぼ全てのトイレが対象となっており、ウォシュレット シートタイプ、暖房便座・普通便座は全機種が対象。さらに、更新のたびに対象商品が追加されている。
 
TOTOの告知(2020年3月12日時点)

 パナソニックは2月25日に「商品供給に関する案内」を掲載。最新の3月5日更新分によると、トイレは2月19日から、エコキュートは3月4日から新規受注を停止している。リフォームでは圧倒的なシェアをもつビルトイン食洗機(NP品番)も2月20日から新規受注を停止。食洗機は「共働き家庭の三種の神器」の一つといわれ、長引くと、家事の自動化・省力化のトレンドに水を差しかねない。
 
パナソニックの告知(2020年3月5日更新)

 LIXILもまたウェブサイトで、協力会社からの部品供給に遅延が生じているため、トイレをはじめ、対象カテゴリーで、通常より納品まで時間がかかると案内している。なお、ショールームは時間を短縮して営業しており、リフォームの相談や発注は可能だ。
 
LIXILの告知(2020年3月6日時点)

薄利多売が不可能に 家電量販店はショールーム化が進む?

 編集部では2月半ばの時点で、カテゴリーによっては3月に入ると店頭在庫がなくなり、あとは予約販売になると予想する複数の家電量販店関係者の声を聞いている。住宅設備に加え今後、洗濯機や冷蔵庫、電動アシスト自転車といった新生活家電や、OSサポート終了で駆け込みが起きたノートPCなども品薄となりそうだ。
 
大手5社のうち、パナソニック以外は対応状況を発表していないエコキュート。
販売中の製品はほとんど納期未定で、今はひたすらサプライチェーンの復旧を待つしかなさそうだ

 ここ数年、IoTを利用した「スマートホーム」の提案を通じ、住宅設備と家電は境界線がなくなりつつあった。また、ヨドバシカメラ、ケーズデンキを除く主要家電量販店は、単価の高いリフォームの拡販に力を入れている。納期遅延や出荷数の減少がこのまま続くと、家電量販店やホームセンターでは従来の薄利多売ができなくなり、経営上の打撃となるはずだ。その場で買えないため、店舗のショールーム化も進む。タイミングこそずれてはいるが、いま、重なり合う二つの業界の危機が始まりつつあるのではないだろうか。(BCN・嵯峨野 芙美)