昨年秋に始まったフルサイズミラーレス一眼の戦い。1年あまりが経過した現段階では、ソニーが圧勝している。昨年9月、ニコンがZ7を発売したのを皮切りに、ニコンはZマウント、キヤノンはRFマウント、パナソニック、シグマ、ライカの3社はLマウントで市場に参入。フルサイズミラーレスの先駆者ソニーに挑んだ。しかし、キヤノン、ニコンは、すでに一眼レフで展開するフルサイズモデルとの食い合いを警戒しつつの参戦だったこともあり、見事に返り討ちに遭った形だ。ミラーレスと一眼レフのフルサイズモデルを合算しても、伸びているのは結局ソニーだけ、という結果になった。


 2018年11月から2019年10月までの1年間で、レンズ交換型全体の販売台数・金額の前年同期比を比較したところ、一眼レフとミラーレスを合わせたフルサイズカメラ全体で、ソニーは台数前年比118.9%、金額117.3%と2桁成長を維持している。追いかけるキヤノンは台数こそ106.6%と前年を上回ったが、金額では92.8%と前年割れ、ニコンに至っては台数・金額とも2桁割れに終わっている。ソニーに挑んだ2社ともに、急速に縮小するフルサイズ一眼レフをフルサイズミラーレスの投入でカバーできなかった。この結果、フルサイズカメラのメーカーシェアも、一眼レフが強いキヤノンから、ほぼミラーレスだけで戦うソニーが1位の座を奪い取った。
 

 さらに深刻なのは、販売台数の9割を占めるフルサイズ未満の市場。ここでも上位3社で伸びたのはソニーだけで、キヤノンもニコンも軒並み2桁マイナスの状態だ。市場全体が急速にミラーレスモデルにシフトしつつある中、レンズ交換型のトップ2を走るキヤノンとニコンに赤信号がともっている。レンズ交換型カメラ全体のメーカーシェアでは、キヤノンが41.7%とダントツのポジションを維持しているものの、縮小傾向に歯止めがかからず、安泰とは言い難い。2位ニコンは、16.9%とキヤノンに大きく水をあけられているばかりか、3位ソニーが15.8%とすぐ後ろに迫っている。
 

 キヤノン、ニコンの敗因はやはりミラーレスへの切り替えの遅さ。なまじ一眼レフで大きなシェアを握っているだけに、判断が遅れた。ミラーレス一眼で先行するソニーはカメラ本体のラインアップだけでなく、レンズも豊富にそろえて盤石の体制を築いた。ウォークマンというブランドがありながら、当時MD(MiniDisc)の販売が好調だったため、デジタルオーディオへのシフトに失敗。アップルのiPodに携帯オーディオプレーヤーのシェアをごっそり奪われたのがソニー。カメラでは同じ轍を踏まなかった。(BCN・道越一郎)