昨年2月に東芝映像ソリューション(TVS)を買収したハイセンスは2月19日、4Kテレビのフラグシップモデル2機種を発表した。展開するのは、有機ELテレビの「55E8000」、ULEDテレビの「55U7E/65U7E」。注目を集めたのが価格で、「55E8000」が税別23万円前後、「65U7E」が18万円前後、「55U7E」が15万円前後。コスパの良さが売りの同社ではあるが、フラグシップ機でのこの値付けには発表会の現場でも衝撃が走った。

フラグシップ機でも安い! ハイセンスが2月19日に有機ELと液晶テレビの2モデルを発表

 驚いたのは単純に価格が安いからではない。発表された2モデルともにフラグシップ機として国内メーカー各社に引けを取らないレベルに十分仕上がっていると感じたからだ。その核となっているのが、ハイセンスと東芝映像ソリューションが共同開発したという高性能映像エンジン「レグザエンジンNEO Plus」だ。さまざまな高画質化技術を備えており、機能紹介をした営業部の岩内順也部長も「国内メーカー各社の画質にもまったく引けを取らない。日本基準の画質だ」と胸を張る。
 
東芝映像ソリューションと共同開発した「レグザエンジンNEO Plus」を搭載。
“日本基準画質”をアピールする

 全国の家電量販店やECショップからPOSデータを集計している「BCNランキング」によると、液晶テレビ全体におけるハイセンスの販売台数シェア(2019年1月)は10.6%で、国内メーカー4社に次ぐ第5位につけている。これを4K/8Kまで絞り込むとシェアは7.0%になる。つまり、4K/8Kテレビの市場ではまだコスパの良さが求められる4K以下の市場ほどは伸びきれていないということだ。(TVSはハイセンス傘下ではあるが、今回はハイセンスの自社ブランドのみを対象とした)。これは、ユーザーが4K/8Kテレビの市場で4K以下の市場より画質や機能など品質に重きを置いているということでもある。
 

 ハイセンス側でもその意識があったのだろう。今回の2機種の売り文句は「ハイセンスは、日本基準画質へ。」。国内のテレビ市場で確固たるブランド力を持つ「レグザ」の名を冠する高性能映像エンジンを前面に押し出すことで、コスパだけではないという新たなイメージ付けを試みようとしている。今回、国内市場初投入となる有機ELテレビは液晶テレビ以上に品質の訴求が求められるだろう。
 
左から有機ELテレビの「55E8000」、ULEDテレビの「55U7E」

 テレビは家電の中でも国内メーカーが盤石の地位を保ち続けてきた分野だが、周りを見渡せばスマートフォンなどの分野は海外メーカーが国内メーカーを完全に逆転している。「もし安いだけではない」という意識が市場に浸透したら……。ハイセンスはフラグシップ機の投入でテレビのフルラインアップが揃った。新たな戦略を展開するには絶好のタイミングだ。長年に渡って守られてきたテレビ市場の勢力図が塗り替えられることができるか。他社の動向も含めて、注目の1年になりそうだ。
(BCN・大蔵 大輔)