東芝がテレビ事業を手がける完全子会社・東芝映像ソリューション(TVS)の株式の95%を、中国ハイセンスグループに譲渡すると発表したのは、2017年11月14日。これまで具体的な事業計画について触れられてこなかったが、3月16日の日本経済新聞が「3年以内に黒字化を目指す」という中国ハイセンスの周厚健董事長の言葉を報じた。ここ数年、国内のテレビ市場で認知を広げているハイセンスは、これまでの競合であるREGZAに何を期待するのか。実売データの推移から戦略を分析した。

 家電量販店・ネットショップの実売データを集計する「BCNランキング」から抽出した直近3年の液晶テレビ全体の販売台数シェアによると、東芝が10%台で浮き沈みしているのに対して、ハイセンスはじわじわとシェアを上げ、17年12月に初めて10%を突破。2月にはついに東芝を上回った。
 
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 これをさらに解像度の「4K以下」と「4K以上」に区分して比較してみる。まず、4K以下では、ハイセンスが東芝を上回った16年3月以降で、両社は抜きつ抜かれつを繰り返す展開。しかし、17年12月以降はハイセンスが東芝と差を広げ、18年2月は約6ポイント差がついた。
 
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 次に4K以上では、16年6月に参入したハイセンスが、右肩上がりで数字を伸ばしているが、まだ4K以下ほどのシェアは獲得できていない。東芝は4K以下と同様に上下動を繰り返しているものの、12~20%のレンジで4K以下よりも高いシェアを保っている。18年2月は約9ポイント差で東芝がリードしている。
 
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 周董事長はTVSのブランド力・技術力と合わせて、ハイセンスとの補完関係を重視する。たしかに国内市場では「ハイセンス=格安」というイメージが根強く、高単価モデルでは国内メーカーに水をあけられている。しかし、12月にはワールドワイドで展開するULEDテレビを発売し、ハイエンドシフトの姿勢は鮮明だ。販売台数シェアの推移が物語るように、REGZAブランドのもつパワーは最盛期よりは落ちるものの、いまだ健在。ハイセンスはこの価値をいかに利用し、高めていくのか。老舗と黒船のシナジーを業界が注視している。(BCN・大蔵 大輔)


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。