チラシの効果が分かりにくい――。家電量販の店舗取材などをすると、最近よく耳にすることだ。とくに新聞を紙で読む若い人が減っていることもあり、新聞折り込みチラシは、もっぱら年配層に絞った訴求がメインだという。スマートフォン(スマホ)やSNSでニュースをチェックする若い層をターゲットにした動画広告は、5G時代を見据えたとき、ますますニーズが高まりそうだ。

KAIZEN Platformの筑波次郎Head Of APAC

 KAIZEN Adという動画クリエイティブのプラットフォームを事業展開するKAIZEN Platformでアジア太平洋のAPACエリアを統括する筑波次郎氏は、「2020年までモバイルデータトラフィックの75%は動画になる」と語る。特に、4Gの100倍の通信速度となる5Gになると、ストリーミングで動画を視聴する際のストレスはなくなる。

 サイバーエージェントの調査によれば、17年に1374億円(前年比63%増)だった動画広告市場は、19年に約2300億円になり、22年に3000億円を突破するという。しかも、そのうちの圧倒的な比率を占めるのは、PCでなくスマホだ。
 

 KAIZEN Adでは、流通企業などによる特売チラシなどの素材を基にして制作する動画クリエイティブを、わずか5営業日で納品するというサービスを展開する。

 テンプレートに素材を入れただけで動画広告が仕上がるサービスはよくあるが、KAIZEN Adは世界に約1万人、うち国内に5000人のクリエーターのネットワークを形成しているのが特徴。機械的で単調になりがちなテンプレート方式とは異なり、人の直感に訴えるようなクオリティの高い動画広告を売りにする。

 しかも、発注本数にもよるが1本あたり5万円という製作費の安さも魅力だ。「うちは安い、早い、上手いが売り」と筑波氏は胸を張る。

 クリエーターによる制作にこだわっているのは、ネットの動画広告の特性として最初の数秒で見てもらわなくてはいけないからだ。ノートPCやタブレット端末の場合が最初の2.5秒、スマホの場合がさらに最初の1.7秒で惹きつけないと見てもらえないという。同じ動画でも、プッシュ型のテレビCMと異なるノウハウが必要となる。

 また、動画のフォーマットやサイズは多様化しており、スマホを縦にしたときや横にしたときのサイズ変更などにも対応しなければならない。企業が1社で自前のクリエーターを抱えて、専用の部署を設けて制作するとなると、とてもではないが投資費用の割に合わない。

 動画制作会社に外注したとしても、「数十万円や数百万円の費用をかけて、早くても仕上がるのは半年後。しかも作りっぱなし」と筑波氏は指摘する。

 KAIZEN Adなら、複数のクリエーターが動画広告を提案し、クライアント側では大まかな動画のイメージやターゲットなる配信先の絞り込みなどができる。さらに、GoogleやFacebookなどのプラットフォームを利用することで、効果測定をフィードバックしながら次の改善につなげることもできる。
 
KAIZEN Adのイメージ

 家電量販では、まだ折り込みチラシの文化が根強く、良くても自社のホームページにその週のチラシをPDFで見られるようにしている程度。ズームにしなければ見られないなど、使い勝手もユーザーライクになっていない。どれだけの顧客が、自ら量販店のチラシサイトにアクセスするのかという課題もある。

 KAIZEN Adには、流通企業をはじめ大手企業からの依頼が舞い込んでいるという。若い層にリーチして店舗に呼び込むには、こうした新しい動画広告テクノロジーを活用するのも有効なのではないか。(BCN・細田 立圭志)