【なぐもんGO・番外編】2019年の日本のeスポーツ市場はさらに活況になるだろう。1つの指針になるのは、Gzブレインの予測だ。同社によると、2019年の国内eスポーツ市場規模は59億7600万円だ。現在、収益の内訳はチームや大会へのスポンサー料や広告費といった「スポンサー」の割合が全体の75.6%を占める。従来のスポーツ興行で主な収益の「チケット」や「グッズ」「放映権」などは、大会数やファンの増加に伴って伸びるという。しかし、注意すべき点もある。

eスポーツコンテンツが大いに盛り上がった、18年9月開催の「東京ゲームショウ2018」

 「チケット」については、可能性が見えてきた。例えば、18年12月16日に開催されたPUBG公式オフライン大会「PJS Winter Invitational 2018」の有料チケットは1分で完売した。選手のプレーを目の前で見られたり、ファンミーティングに参加できたりするなど、選手と身近に接することができる仕組みが奏功したとされる。

 また、eスポーツへの注目が高まっていることから、芸能事務所の参入も相次いでいる。タレントがeスポーツに取り組む機会が増えたことで、ゲームには興味を持っていなかったものの、タレントのファンではある人がeスポーツを知るきっかけも増えている。その逆の、ゲームファンがタレントのファンになることもある。eスポーツに携わるタレントの増加に伴って、テレビにeスポーツが露出する機会も増していくので、19年はこの動きがさらに加速するかもしれない。
 
芸能人女子のeスポーツクイーン決定戦「e-Sports Queen League(eQリーグ)」のプレリーグが
18年4月から行われた。1stシーズンは19年1月~

 eスポーツが興業の一つとして期待されるようになれば、ホールや会議室といった“ハコ”を持つオーナーにとっても有益といえる。とりわけ来年は、茨城国体の文化プログラムで「都道府県対抗 eスポーツ大会」の決勝大会が実施される。予選は、各都道府県で開催されるので、“ハコ”のオーナーにとってはビジネスチャンス。eスポーツの試合のライブビューイングを実施する映画館も増えていきそうだ。

 大会を実施するには、設備を整える必要もある。例えば、eスポーツイベントの運営を多数手がけるRIZeSTは、設備のほかにも配信のノウハウを培っている。これから大会が増えれば、運営や設備、配信といった事業の需要も広がるはずだ。ただ、大会の数を増やすには、権利関係の処理がハードルになることも考えられる。
 
CEDEC2018の講演「e-sportsでなにかをしたい人たちへ」でグルーブシンクの松井悠代表取締役が示した
イベントや大会のガイドラインの例(RIOT GAMES)

 もしかすると、権利処理が簡単なゲームタイトルほど、大会が開かれるようになるかもしれない。ジャンプやロケット飛行ができる特殊な車を操作してサッカーを行うゲーム「ロケットリーグ」を手掛けるPsyonix, Inc.は、大会を開催するガイドラインを開示している。一方、任天堂は、「ネットワークサービスにおける任天堂の著作物の利用に関するガイドライン」で実況動画などを配信するルールを明確にしたが、大会の開催にはいまだに慎重だ。

 ただ、どのような事業を展開するにしても、ゲームソフトやゲーム内のアイテム、関連デバイス、グッズなどを購入することで、eスポーツ市場を根底で支えているファンに寄り添わなければ、市場は成り立たない。話題に乗るためだけに参入した企業が市場の資源を食い荒らさないよう、注意する必要はあるだろう。(BCN・南雲 亮平)