2018年は猛暑でエアコン特需に沸いた家電量販店。19年はどうなるのか。顧客の消費行動がモノからコトへ変わる中、各社は「家電」だけの枠組みにとらわれない構造改革を進めている。11年3月のエコポイント終了や11年7月の地デジへの完全移行から8年。ちょうど当時購入したエアコンや冷蔵庫、テレビが買い替えサイクルに突入している。19年10月の消費増税の駆け込み需要も視野に入れた難しい舵取りが求められている。

猛暑でエアコンが過去最高の売れ行きだった2018年

エアコン出荷が過去最高に

 郊外型家電量販店を展開するケーズホールディングス(ケーズHD)の平本忠社長は、18年10月に入ってからもエアコンが売れ続けた理由について「エアコンは各部屋に取り付けられているので、一家で何回も買い替えが起きている。また、7月や8月に設置できなかったお客様が、9月や10月になってからも購入している」と、世帯当たりのエアコンの購入頻度が増えていると分析する。

 18年の家電業界を振り返ると、エアコンを筆頭に高付加価値の白物家電の買い替え需要が市場をけん引。また、これまで足を引っ張ってきたテレビも11年7月のアナログ停波から、ようやく買い替えサイクルに入って好調に推移した。

 18年度上期(4~9月)のエアコンの国内出荷台数は、データが確認できる1972年以降で過去最高を記録した。日本電機工業会(JEMA)が発表した4~11月の年度累計データは701万台(前年同期比108.2%)だった。1月~11月の暦年累計では902万4000台(107.9%)となり、17年の905万台超えは確実となった。

 実際にケーズHDの19年3月期の上期決算でも、売上高3454億円(102.7%)のうち、エアコンは652億円で113.6%の2桁アップ。売上高構成比は、前年同期より1.8ポイントアップの18.9%となり、約2割をエアコンで稼いだ。経常利益は184億1400万円(1.9%増)の増収増益だった。
 

 エディオンも売上高は3523億6000万円(105.3%)、経常利益は110億7000万円(115.2%)の増収増益。ノジマもエアコンや冷蔵庫、洗濯機が好調に推移し、売上高が2460億1200万円(105.1%)、経常利益が105億5800万円(132.2%)の増収増益で、通期業績予想を上方修正するほどだった。
 
 

夏商戦がピークで現場は混乱か

 では、19年の消費増税はどうなるか。過去のデータを振り返ると、全国の主要家電量販店・ネットショップのPOSデータを集計した「BCNランキング」では、14年4月の消費増税のときの家電販売金額の前年同月比推移は、内閣府が発表したデータとほぼ同じだった。
 

 BCNランキングはデジタル家電やPC関連などのPOSデータ集計による販売金額であるのに対し、内閣府のデータは主要家電5品目の販売金額という違いはあるが、傾向はほぼ一致した。

 だとすると、19年の消費増税の駆け込み需要は約半年前から起きることが予想される。早ければ19年の4月ごろから動き出すということだ。家電量販の現場からは「10万円の買い物で1万円の税金が、消費者に与える印象は大きい。家電製品は食品のような軽減税率の対象でもないので駆け込みは抑えきれないだろう」(関西の家電量販本部バイヤー)とか、「19年も猛暑になれば、6、7月の夏商戦は増税前の駆け込みと重なって現場が混乱するだろう」(関西の家電流通担当者)といった心配の声が挙がる。

 こうした需要の急激な変動を抑えようと、政府は増税後から東京五輪までの9カ月間に、現金を使わずにクレジットカードや電子マネー、QRコードなどでキャッシュレス決済すれば、増税分の2%を上回る5%のポイント還元を検討している。

 18年12月にヤフーとソフトバンクが出資するスマホ決済サービス「PayPay」の「100億円あげちゃうキャンペーン」で一躍脚光を浴びたキャッシュレス決済。その後もLINE Payなどが参入して、ポイント還元競争が激化した。

 だが、PayPayはわずか10日間で終了したこともあり、「都市部のビックカメラだけが潤って、郊外の消費者まで波及しなかったのではないか」と、ある郊外型家電量販バイヤーはキャッシュレス決済に対して冷めた目で見ている。

 20年1月はWindows 7サポート終了が控えており、PCベンダーからは「PCの買い替え需要が消費増税前に前倒しで発生するのではないか」との声もある。猛暑のエアコン、消費増税前のテレビと冷蔵庫、PCという、4つの商品の駆け込み需要が、今年の夏商戦に集中するかもしれない。そんな中、業界最大手のヤマダ電機はどうするのか。次回触れよう。
(BCN・細田 立圭志)