国内のスマートフォン市場でiPhoneの人気は圧倒的だ。全国の家電量販店やネットショップのPOSデータを集計する「BCNランキング」をもとに算出したスマートフォンの日次販売台数ランキングでは、常に過半数をiPhoneが占める。9月の新iPhone発売以降は「iPhone 8」がキャリア別に1~3位を独占する状態が続いている。しかし、“12月4日”にその不動のランキングに変化が起こった。11月30日に発売したファーウェイの「HUAWEI Mate 20 Pro(Mate 20 Pro)」が「iPhone 8」を抜き、1位にランクインしたのだ。

12月4日のスマートフォン販売台数ランキング(日次)でファーウェイの「HUAWEI Mate 20 Pro」が1位を獲得!

 実は今年に入って、ファーウェイのスマホが日次の販売台数でiPhoneを上回ることは数回あった。5月にキャリアとMVNOで、6月にSIMフリーで発売した「HUAWEI P20 lite(以下、P20 lite)」がコスパの良さと販路の広さを武器に支持を広げ、1位を獲得していた。同機種は現在でもベスト10内を維持しており、Android OSでは長らくNo.1スマホとして君臨している。

 しかし、今回の「Mate 20 Pro」の場合、少し事情が異なる。「P20 lite」がミドルクラスの価格帯かつキャリア・MVNO・SIMフリー展開とアプローチできるターゲットが広かったのに対して、「Mate 20 Pro」は平均単価が10万円を超えるハイエンドクラスであり、現段階ではSIMフリーでしか取り扱っていない(12月中旬以降はソフトバンクでも販売予定)。
 
11月30日に発売した「HUAWEI Mate 20 Pro」は定価11万1180円で高級スマホに該当。しかも現在の販路はSIMフリーに限定されている

 では、なぜハイエンドクラスの高級モデルである「Mate 20 Pro」が1位を獲得できたのか。その謎は発売日の11月30日~12月4日の販売台数指数の推移をみると明らかになってくる。11月30日の販売台数を「1」とした場合、12月1日は「0.53」、12月2日は「1.01」、12月3日は「0.40」と横ばいに推移しているが、12月4日には「1.95」と一気に倍増しているのだ。
 
発売日11月30日~12月4日の販売台数指数の推移

 12月4日といえば、いま巷で話題のスマホ決済サービス「PayPay」の「100億円あげちゃうキャンペーン」がスタートした日と重なる。同キャンペーンは、期間中にPayPayで支払いをすると、支払額の20%がPayPayボーナスで還元されるほか、2.5%の確率(Yahoo!プレミアム会員は5%、ソフトバンク/ワイモバイルのスマホユーザーは10%)で支払額の全額がPayPayボーナスで還元されるというものだ。
 
12月4日に開始したスマホ決済サービス「PayPay」の「100億円あげちゃうキャンペーン」は各所で話題に

 大手家電量販店が軒並みPayPay利用可能店舗に名を連ねていることもあり、高額な家電商品をこの機会に安く(あわよくば無料で)購入しようと、初日にはレジに長蛇の列ができた。普段は割引がほとんどないApple製品が人気を集めているそうだが、「Mate 20 Pro」もPayPayで購入しておくべき条件を揃えている。
 
PayPay利用可能店舗の一覧。多くの大手家電量販店が対応しており、高級家電は絶好の狙い目になっている

 まず、新製品なのでしばらくは割引が期待できないということ。現段階で定価もしくはそれに近い価格から20%が還元されるとなれば、お得感は強い。さらに同機種は発売を記念して1万円分の商品券が手に入るキャンペーンも実施しているので、新製品の中でもとりわけ破格だ。

 定価の11万1180円というのもちょうど良い。PayPayの全額還元の1回当たりの上限額は10万円。つまり、10万円を少しオーバーするくらいが一番お得に買い物をできるということになる。家電量販店で一括購入できるSIMフリースマホの中で、10万円を超える機種というのがそこまで多くないことも「Mate 20 Pro」に人気が集中する理由になっている。

 PayPayのキャンペーン期間は還元額が100億円に達するか、2019年3月31日まで続く。12月4日に記録した爆発的な販売台数を維持するのは難しいかもしれないが、今回の「PayPay祭」が示すように、価格が足かせという状況を払拭し消費者の背中を押しことからも、上昇機運がしばらく続く可能性はある。先行して発売されている海外での評価が高く、もともと期待値の高かった「Mate 20 Pro」。年末商戦の本格化を前に思わぬ追い風が吹いた。(BCN・大蔵 大輔)