総務省の「モバイル市場の競争環境に関する研究会(モバイル研究会)」が11月26日にまとめた緊急提言では、ユーザーの利益を阻害する料金プランの抜本的な見直しとして、「端末購入を条件とする通信料金の割引の廃止(端末代金と通信料金の完全分離)」や「通信契約と紐づけされた4年縛りの抜本的な見直し」が提言された。


 “緊急提言”という響きは物々しいが、端末代金と通信料金がセットになっているが故に料金プランが複雑になっているという問題点そのものは、これまで議論されてきた内容と大きな変更が少なく、あらためて総務省の本気度をアピールしているような内容に映る。

 ただし、販売代理店による業務の適正化については、行政の関与をこれまで以上に強める踏み込んだ内容となった。具体的には、これまで販売代理店の指導は大手キャリアが行い、行政が十分に把握できなかった。特に、一次販売代理店の下の二次、三次の販売代理店は、キャリアであっても指導が十分に行き届いていないとする。

 提言では、行政が間接的ではなく直接的に代理店の存在を把握できるように、総務省の認可を必要とする「届出制の導入」を示した。販売店独自の過度な端末導入補助などの不適切な業務実態に対して、業務改善命令の規律の導入も視野に入れる。
 

 端末代金と通信料金の完全分離では、具体的な見直しイメージを示した。端末代金の金額に応じて通信料金の割引が変わる現状の複雑な料金プランを見直して、端末の種類や価格に関わらず通信サービス料金を一律で値下げするように求めている。

 また、問題点の一つとして、端末購入から一定期間で通信料金の割引が終了すると、その後は通信料金が上昇し、それを抑えるために必要以上に新規端末の買い替えを誘因していることをあげている。

 iPhone XRやiPhone XSの他、Googleが自社で開発したスマートフォン(スマホ)として日本で初めて発売したPixel 3など、端末価格が10万円以上する機種が増えている。これまでキャリアは、2年間の24回払いや4年間の48回払いを導入することで、端末代金の1カ月当たりの支払額を低く見えるようにし、それを毎月の通信料金の割引に当ててきた。しかし、割引が終了すると通信料金が値上がりする(元の値段に戻る)ため、実質的な通信料金は高止まりしたままとなる。

 端末と通信の料金が完全分離されるとどうなるのだろうか。端末代金は、通常の家電製品の購入となんら変わらない、一括払いか割賦払いのいずれかになるだろう。一括払いによるスマホの販売台数の激減を危惧する声もあるが、そもそも10万円以上するデジタルモバイル機器を2年ごとに買い替えさせるように誘因するような販売促進策に問題の本質があるのではないだろうか。

 ただ、ユーザーは端末代金のほか、別途通信料金を払う必要があるため、大手キャリアは通信料金を下げざるを得なくなるだろう。今よりもシンプルな構図になるし、同じデータ容量プランなのに、端末によって通信料金の割引が変わるといった不公平感もなくなるとみる。
 

 モバイル研究会では今後、12月にパブリックコメントの募集を行い、19年1月に緊急提言を取りまとめ、3月に情報通信審議会の特別委員会に中間報告をする。特別委員会の最終報告は9月、特別委員会の最終答申は12月というスケジュールを予定している。