2010年10月14日発売の「iPhone 4s」以来、今年は、7年ぶりにiPhoneのモデルチェンジの時期が変わったといっていいだろう。同時に発表した3機種のうち、新デザインの「iPhone X(テン)」の発売時期は昨年より1か月以上遅くなり、おサイフが緩みがちなホリデーシーズンに近づいた。

「X」の発売初日の販売台数は「8」を大幅に上回る

 家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」で、「iPhone X」の日ごとの販売台数をみると、発売初日の11月3日は、祝日だったこともあり、過去2年間に発売されたiPhoneのなかで最も多かった。しかし、続く土日は伸びず、発売から3日間の販売台数は、9月22日に先行して発売した「iPhone 8」「iPhone 8 Plus」とあわせても、iPhoneシリーズ国内累計販売台数1位の「iPhone 6」と同時に発売した「iPhone 6 Plus」の合計の7割にとどまった。
 
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 発売初日に訪れた家電量販店員の話によると、「iPhone X」は想定以上に入荷が少なく、購入検討者には予約を薦めているそうだ。在庫処分中だった「iPhone 7/7 Plus」はほぼ完売し、現在、当日持ち帰りが可能なのは「iPhone 8/8 Plus」だけ。売れ行きが示す通り、今年の本命は、やはりApple自らが「スマートフォンの未来形」と位置づける「iPhone X」だった。
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全面ガラスのデザインに一新した「iPhone X」。世界同時発売日の11月3日は祝日で、
ネット上では「発売初日ゲット」の報告が相次いでいた(写真は、発売初日のApple Store 表参道の様子)

 「iPhone X」に限ったキャリア別販売台数シェアは、ドコモ21.3%、au34.9%、ソフトバンク43.8%。「iPhone 8/8 Plus」では、発売後5日間の時点と変わらず、auがトップを保っているが(詳細は<新iPhone、前年を下回る低調なスタート、キャリア別ではauが4割占める>を参照)、「iPhone X」は、iPhoneを独占販売していた期間の長いソフトバンクがauを抑え、トップに立っている。
 
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 ストレージ容量の人気は、意外にも拮抗しており、256GBが56.3%、64GBが43.7%だった。11月5日までの累計で「iPhone 8/8 Plus」と比べると、若干、「iPhone X」のほうが256GBの割合が高い。
 
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 「iPhone Xは当初は2018年に発売予定で、前倒しでリリースした」という裏話も海外の情報サイトから飛び出し、iPhoneファンの間では、多少の不満は目をつぶろうという雰囲気も出てきた。予約絡みのトラブル、分割払い時の与信審査、コア層の高齢化、Android TVでリビングに食い込むGoogle、カメラ機能で独Leicaと組むファーウェイといった競合企業の台頭、最新の「iOS 11」に対応していない人気アプリなど、さまざまな向かい風が吹くなか、従来のデザインを踏襲した「iPhone 8」をわずかに上回る「iPhone X」の初速は、今後の伸びが期待できる、まずまずの滑り出しといえるのではないだろうか。販売データからも、今年のiPhoneは「どれがベストか悩ましいラインアップ」といえそうだ。(BCN・嵯峨野 芙美)


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。