楽天の矢澤執行役員が明かす、モール離れの「真相」

インタビュー

2017/06/23 18:00

 ECモールの日本最大手として拡大を続ける楽天市場。しかし、SNSやオウンドメディアの台頭で、モールを離れる出店店舗が増えているという報道があるなど、モールの存在意義は今、改めて問われている。当事者である楽天はこの問題をどのように捉えているのか。楽天市場の運営に10年以上携わっている執行役員 兼 ECカンパニーCRO&ディレクターの矢澤俊介氏にモールの現状を聞いた。

取材・文/大蔵 大輔、写真/大星 直輝

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モール離れは部分的 「数より質」を重視

―― SNSから情報を発信したり、自前のウェブサイトを構築したりすることでECモールでの出店を卒業する、いわゆる「モール離れ」という言葉をよく耳にするようになりました。楽天市場では現状をどのように捉えていますか。

 出店数が減っているということは、正直に申し上げてありません。大手のメーカー様・販売店様の出店は継続していますし、毎月の出店希望も非常に多くいただいています。もちろん直販を選択するお客様はゼロではありませんが、傾向といえるほどの数ではないです。

 「数を増やしたほうがよい」という議論もありますが、最重要視するのはお客様の安心・安全です。今後も「数より質」という方針は変わらないと思います。
 

「数より質」という現在の楽天市場の出店店舗戦略を語る矢澤執行役員

―― 4月にECサイトで大規模な詐欺被害が発生していることが話題になりました。楽天ではどのような対策で安全を担保しているのですか。

 楽天では新規出店・出店継続の審査基準を2016年から厳しくしました。出店者の数が増えていくことは重要ですが、数だけに固執したくはありません。ECが実店舗と同等の期待値をもつショッピングの手段に成長したことで、安心・安全を提供することはあたりまえになりつつあります。

開始から1年半 SPUの成果は?

―― 楽天のサービスを併用することでポイント付与が最大7倍になるSPUを開始して1年半が経過しました。

矢澤 お得感はもちろんですが、SPUにはお客様の買い物を後押しするという効果もあります。大きい買い物をするときには、誰でも決断力を必要としますよね。SPUならポイントを倍にするためのハードルをクリアすることで、達成感を味わいながら気持ちよく買い物ができます。SPUはまだまだ進化します。強化軸はポイント倍率だけではありません。お客様に「買い物してよかった」と思っていただける工夫も追求していきたいと考えています。
 

2016年1月以降、実施しているポイント付与が最大7倍になるSPUの仕組み

―― 制度として複雑という見方もあるかと思います。ユーザーに正しい理解を促すための施策はあるのでしょうか。

矢澤 シンプルなルールに改善する努力は重ねています。説明を読むまでもなくご理解いただけるように、ユーザーのモニタテストなども実施しています。楽天は経済圏ごとにカンパニー制度をとっていますが、各カンパニーの連携を模索するための会議も頻繁に行っています。社内ではクロスユーセージと呼んでいますが、サービスの併用率の向上は重要な指標に定めています。

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