主要家電量販店6社の2017年3月期決算まとめ

 内閣府が5月10日に発表した今年3月の景気動向指数は、2010年を100として、先行指数:105.5、一致指数:114.6、遅行指数:117.7となり、「改善を示している」と判断した。12年12月から続く景気拡大は52か月(4年4か月)に達し、地価高騰や消費ブームが巻き起こった「バブル景気」の51か月の長さを超えた。


 各種指標から、今後も景気拡張の可能性は高いとみられており、日経平均株価は1万9814円(2017年5月17日時点)と、2万円の大台超え目前にまで上昇している。そうしたなか、主要家電量販店の2017年3月期の決算が出揃った。

増収増益はケーズHDのみ 総務省による「スマホ実質0円販売終了」の打撃を受ける各社

 景気動向指数は改善しているとはいえ、消費者の財布の紐は固く、ビザ発給要件緩和に端を発した「インバウンド」特需の終了や、「メルカリ」などの個人間取引を含むEC市場の拡大を受け、リアル店舗を中心に展開する家電量販店や百貨店を取り巻く環境は、厳しさを増している。
 

「実質0円」販売の終了は、家電量販店にはマイナスに響いた

 主要家電量6社の3月期決算で、増収増益となったのは今年3月に創業70周年を迎えたケーズホールディングスのみ。冷蔵庫やエアコンなど、もともと同社が強かった白物家電の買い替え需要の高まりや単価アップに支えられ、3期連続で増収増益を達成した。
 

 一方、ノジマやエディオンなど、スマートフォンをはじめとしたモバイル関連の構成比率が高かった企業ほど、総務省による「スマートフォンの端末購入補助の適正化に関するガイドライン」の影響を受けて、売上減となった。業界全体の売上伸長のため、液晶テレビ、スマートフォンに続くヒット商品の登場が待たれる。(BCN・嵯峨野 芙美)
※『BCN RETAIL REVIEW』2017年6月号から転載