【新連載・重みを増す「ネット対策」~今、起きていること】 日々の生活のなかでインターネットをどれだけ重視し、どれだけ時間を費やすかは、年代や個人による差が大きい。

 ニュースサイトの閲覧傾向から「インターネットはバカと暇人のもの」と評され、従来のPCに代わって、いつでもどこでも見られるスマートフォンでアクセスする割合が高まると、その傾向はますます顕著になった。同時に、多忙を極める人でも、スキマ時間にオンラインショッピングなどが利用できるようになり、一概に暇人だけのものとは言い切れなくなってきた。購入履歴やサイトの訪問履歴など、ユーザーの属性を見極めるためのログの重要性が高まっている。

 小売業の今後のあり方として、オンライン/リアル店舗を問わず、顧客との接点を増やし、総合的に展開するオムニチャネルが叫ばれているなか、本連載では、オンラインを中心に、気になるECサイトや新たな傾向を取り上げていきたい。ネットユーザーを味方につける「ネット対策」は、今や業種・業界を問わず、欠かせない。

 
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【連載第1回】定期購入

拡大するネット通販 それでも世帯利用率は3割弱

 経済産業省の調査によると、2015年の日本国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)の売上高は前年比7.6%増の13.8兆円。このうち、物販系は7兆2398億円で、EC化率は4.75%。市場規模は大きく伸びており、まだ拡大の余地はある。

 また、総務省の調査によると、二人以上の一般世帯で、月に一度以上オンラインショッピングを利用した世帯の割合は2012年に初めて2割を突破し、直近の16年10月は27.9%、ネットショッピングを利用する一世帯あたりの支出額は約3万円だった。
 
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 過去の調査結果から、年末年始は利用率、平均支出額ともに通常月より増える傾向にある。年末年始は全般的に消費が活発になり、普段はネット通販を利用していないが、年末だけ利用する人が少なからず存在していると推測されるからだ。この層が1年中、利用するようになるだけでも市場規模は飛躍的に拡大する。

「コスパ」偏重で伸びる定期購入 化粧品やサプリでは定番に

 サプリメントなどの健康食品や化粧品では、最近、1回の注文で、月1回など、指定のサイクル・個数で定期的に商品を届ける「定期購入」を全面に打ち出すオンラインショップが増えている。商品の特性上、初回お試しと、定期購入しか受け付けていない場合もある。

 定期購入は、メーカーや販売店にとっては、毎月、一定の売上見込みが立つため、売上予測や在庫管理の精度が高まり、消費者にとっては買い忘れや在庫切れの心配がなく手間が省けるというメリットがある、Win-Winの仕組みだ。1点あたりの単価も通常に比べ割安だが、たいていの場合、最低2回~4回の継続利用が条件になっており、一度だけ注文することはできない。

 途中で止められない、途中で在庫が切れても追加注文できないというデメリットがあっても、定期購入が伸びる最大の理由は、購入1回あたりの割安感にある。コストパフォーマンスを求める風潮は強く、単価が表示されていると、つい、安いほうを選びたくなる消費者心理を突いたサービスだ。

定期購入の競争軸を変える「Amazon Dash Button」

 Amazonは以前から、日用品などの「定期購入」を強くプッシュしている。2016年1月に一部サービス内容が改定され、使い勝手が悪くなったが、初回注文後、自由に配送頻度や個数を設定でき、価格は最大10%オフ、「おまとめ割引」適用時は最大15%オフと安い。
 
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アプリと連携し、日用品を簡単に買える「Amazon Dash Button」。
普及すると、新規ブランドの参入が難しくなる

 さらに、2016年12月には、物理ボタンを押して注文できる「Amazon Dash Button」を発表した。「Amazon Dash Button」は、定期購入の競争軸を「安さ」さから「利便性」に変える試みともいえる。オンラインショッピングを利用するネットユーザーの多様化の一端が、ここからも垣間見える。(BCN・嵯峨野 芙美)