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こいつ。レンズが動くぞ。ジンバル内蔵アクションカメラだ──【スゴイぞ深セン#03】

特集

2019/09/22 17:00

トイドローンや子ども向けカメラなどユニークな製品を手がけるZego

 兵器から玩具まで、今やドローンは新しい製品カテゴリーとしてすっかり定着した。広東省・深センは、世界一のドローンメーカーであるDJIを生み出したこともあり、ドローンを手がける会社が多い。トイドローンを中心に、ラジコンカーや子ども用のカメラなどを手がけるZego Electoronic Company(Zego)は深センに工場を構え、ユニーク製品を数多く手がけるアイデア企業だ。設立は2000年。設計・開発から製造まで一貫して自社で賄うのが特徴だ。

人形が飛ぶイメージのトイドローン。大きさの割に飛行時の安定感は抜群だ

 ショールームを訪れると、大小さまざまなトイドローンが出迎えた。それぞれ操縦は簡単で、子どもでもすぐに楽しめる性能の高さを誇る。人形に四つのプロペラを取り付けた小型のトイドローン「JETPACK」は、形状の面白さから人気があるという。ボタン一つで離着陸でき、自動で空中回転やホバリングすることもでき、見ているだけでも楽しい。

 さらに、詳細はまだ明かせないが、現在開発中の超小型ドローンの試作品も見せてもらった。これまでにない、なかなかインパクトのある製品になりそうだ。
 
アイデアさえあれば何でも作ると笑う
Zego Electoronic CompanyのJack Lam社長

 ドローンに搭載するカメラ開発の副産物として発展した技術が、カメラを安定させるためのジンバルだ。深センには、スマートフォンを取り付けるジンバルやジンバル付きのカメラなど、さまざまな製品を手がける企業も多い。ZEGOもジンバル付きカメラの開発を進めているといい、まだまだ荒削りなモックアップをいくつも見せてもらった。

 Jack Lam社長は、「これはまだテスト段階。実際には、もっと格好よくなる」と話す。さらに、「アイデアさえあれば、何でも作れる自信がある」と笑いながら話した。設計から生産まで一貫して手がける強みだ。間もなく登場する、彼らの新製品に期待したい。

ジンバル内蔵超小型アクションカメラをつくったドローンメーカー、AEE

 手のひらに載る超小型の自撮り用ドローン「Air Selfie」と言えば、日本で販売していたこともあり、知っている人は少なくないだろう。これをつくったのがShenzhen AEE Aviation Technology(AEE)だ。1999年設立のAEEは、個人向けドローンやアクションカムなどをはじめ、業務用ドローン、警察向けの録画機器なども手掛ける、中国でも有数のドローンメーカーだ。現在、55カ国以上で製品を販売している。深セン本社の他に独国と米国にも支社があり、今年、ラスベガスで開催された家電見本市CESにも出展した。
 
手のひらに載る超小型の自撮り用ドローン「Air Selfie」。
日本でも販売した

 個人向けドローンでは、超小型のAir Selfyシリーズをはじめ中型の「MACH」など、100ドルクラスの製品から350ドルクラスまでを幅広くラインアップする。現在、一番の売れ筋は、5月に発売した折りたたみ式でスマートフォンケース一体型の「Selfly」だ。

 HDカメラで自撮りができるほか、バッテリが着脱式で交換しながら遊べるのに加え、指定した人を追いかける追随モードや、ジェスチャーでコントロールする機能も備える。一方、今秋発売予定のAir Selfyシリーズ3号機「Air Selfy 3」は、カメラを二つ備え、よりセルフィー撮影の幅が広がる。
スマホケース一体型で折りたたみ式の自撮り向けドローン「Selfly」

 AEEも、ドローンのジンバル技術を応用した製品を販売している。その名も「LYFE MAGIC」。見た目はGoProそっくりだが、決定的に異なる最大の特徴は、この小さな本体の中にジンバルが仕込まれているという点だ。

 本体を手に持って動かしてみると、レンズが動く様子がよく分かる。3台の異なるカメラを振動させながら撮影したデモンストレーションを見たところ、手ぶれ補正機能のないアクションカメラより安定した映像が撮れるのはもちろん、電子手ぶれ補正がとても優れていると評判のGoPro HERO7 Blackよりも、はるかに手ぶれ補正効果が高い。
 
ジンバルを内蔵した小型のアクションカメラ「LYFE MAGIC」

 AEEのAndy Zhang社長は、「当社はコンシューマ向けからプロ向けまで広く取り扱っているが、コンシューマ向けについては、もっと小型の製品、あるいはもっと大型のドローンにもチャレンジしてみたい」と話す。本格的なセルフィーカメラとしてのAEEのドローンが日本市場に進出する日もそう遠くないだろう。(BCN・道越一郎)
 
コンシューマー向けに、もっと小型、あるいはもっと大型のドローンにチャレンジしてみたいと話す
AEEのAndy Zhang社長