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駆け込んで正解 最新スマートフォン購入 分離プラン義務化前に

 5年前の2014年2月半ば~3月半ば、どこでも大勢の人だかりができていた家電量販店やキャリアショップの様子を覚えているだろうか? 店頭には「MNP一括●円、家族4人で最大★★万円キャッシュバック」といった文字が踊り、携帯電話番号はそのままに、他のキャリアに乗り換えるMNPの手間を惜しまない人だけが、よりオトクに最新スマートフォンを手に入れることができた。

2014年当時、2月に入って、ドコモが「iPhone 5s」のキャッシュバック金額を増額すると、
他の2キャリアも追随し、競争に拍車がかかった

 明言されてはいないものの、総務省がスマートフォンなどの「端末販売の適正化」に向けて動き出したきっかけは、この14年春商戦の過剰なキャッシュバック合戦にあると筆者は考えている。家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」によると、3月のスマートフォンの販売台数は、12年~14年の3年でみると14年が最多。15年~18年では18年が最も多い。

 土日4日間を含む、19年3月1日~13日の販売台数は前年同期比110.0%。昨年より今年は3月の土日・祝日の日数が1日多いので、このまま好調な売れ行きが続けば、高水準だった18年、14年に並びそうだ。
 

 今年に入り、多く売れている機種はAppleの「iPhone XR」と「iPhone 8」の新旧2機種。旧機種で十分と考えるなら、2月27日から通常より毎月1500円割り引く料金プラン「docomo with」の対象機種に加わった「iPhone 7」も候補に入るだろう。「docomo with」は、ドコモが「分離プラン」を導入する前後に終了する見通しで、しばらく同じ端末を使い続けるつもりなら、Androidスマホを中心とした「docomo with」対象機種から選ぶとトクする計算だ。
 
「docomo with」の対象端末に加わった16年9月発売の「iPhone 7」

 「モバイルサービス等の適正化に向けた緊急提言(案)」、パブリックコメントを経て、スマートフォンの端末代と通信料金を分ける「分離プラン」の義務化や販売代理店に対する届出制度の創設などを盛り込んだ「電気通信事業法の一部を改正する法律案」が3月5日に閣議決定した。今年の夏から秋と見られる改正法案の施行日が決まると、「最後のチャンス」と見た、スマホや経済ニュースに詳しい層の駆け込み購入は加速するとみられる。

 だが、「駆け込み」は購入時期の前倒しに過ぎず、毎回、どの分野でも反動減に見舞われている。また、店頭の過度の混雑は待ち時間の増大につながり、金銭面のオトクさが疲労感に相殺されてしまう。
 
キャリアが提供するサービス内容が広がる一方、接客時間や待ち時間の長時間化が問題になっている

 例年、スマホが最も多く売れる時期は3月。混雑や待ち時間に対する許容度は人それぞれだろうが、5年前の学割キャンペーン&キャッシュバック祭りで買いそびれた人は、今春こそ、店頭で少し待たされることになっても、盛り上がりに乗ってはどうだろうか? 待ち時間をゼロにしたい場合は、自宅でじっくり選べる、各キャリアのオンラインショップも選択肢に加えたい。(BCN・嵯峨野 芙美)