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【家電コンサル堀田泰希のリテールマーケティング Vol.6】 「真ん中」を選ぶゴルディロックス効果

売るヒント

2018/03/26 19:01

 【家電コンサルのリテールマーケティング】 客単価と成約率をアップするために展示手法でよく使われるのが「松竹梅効果」。いわゆる3つの価格帯を用意した場合、真ん中を選ぶ人間の心理を突いている。日本でなじみ深い手法は、マーケティングでは「ゴルディロックス効果」と呼ばれる。

<第6回>ゴルディロックス効果を狙う

 ゴルディロックスとは、イギリス童話の「3匹の熊」に出てくる少女の名前で、物語ではお粥や椅子、ベッドを選んだ際、ちょうどいい「温かさ」「大きさ」「柔らかさ」を選んだことから、中間値(中間価格)が選択されやすい心理効果に付けられた名称である。

 家電量販店では「おすすめベスト3」として、多くの店舗で実施されている一般的手法だが、価格差の選択は経験則によることが多いため、効果を最大限に高めるためにゴルディロック効果を用いるといいだろう。
 

 まず、価格の高い商品(A)、中間の商品(B)、安い商品(C)の三つがあれば、販売台数比は「2:5:3」になると言われている。ただ、販売台数は価格差によって変動すると考えられ、例えばBとCの価格差があまりにも大きいとCの商品を選ぶケースが増加する。

 この価格差が、現状では経験則で決められることが多いのだが、価格比の「6:4:3」という比率を当てはめるといい。商品Bを6万9800円の価格で集中販売したい場合、「B÷4×6or3」の公式に当てはめればAとCの価格は簡単に導き出せるのだ。

 6万9800円÷4=1万7450円とすれば、Aの価格=1万7450円×6=10万4700円、Cの価格=1万7450円×3=5万2350円となる。この価格のAとCの商品を採用して展示すればいい。

 次に接客する際の説明の順番だが、AとBの価格差は大きいため、まずはAから提案することで「贅沢感」を増大させる。次にCを提案すると顧客は「物足りなさ」を感じ、最後にCと価格差の少ない中間価格の本命商品であるBを提案すれば顧客に「ちょうどいい」という印象を持ってもらえるため、A→C→Bの順番で提案すると効果的である。

 注意したいポイントは、欲張ってNo.5までの集合展示など、比較商品を多くしないようにすることだ。人が迷わずに選択できる数は最大5台までといわれているため、家電量販店の場合は今まで通り、ベスト3の訴求を行えばいいだろう。(堀田経営コンサルタント事務所・堀田泰希)


■Profile
堀田泰希
1962年生まれ。大手家電量販企業に幹部職として勤務。2007年11月、堀田経営コンサルティング事務所を個人創業。大手家電メーカー、専門メーカー、家電量販企業で実施している社内研修はその実戦的内容から評価が高い。