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【家電コンサル堀田泰希のリテールマーケティング Vol.5】 テレビ売り場の「レイアウト計画」

売るヒント

2018/02/23 12:35

 【家電コンサルのリテールマーケティング】 インストア・マーチャンダイジング(ISM)のフロア・マネジメントには、クロスMDのほかに「レイアウト計画」がある。小売業の店舗施策のひとつで、「動線長の最大化」や「スムーズな動線の流れ」をつくることによる店舗の売り上げ・利益の最大化を狙う。単にエンドの商品構成を変えるといった52週提案とは異なり、新店オープン時や改装時など、中長期の店舗戦略からも重要な施策だ。

<第5回>レイアウト計画のつくり方

 家電量販店の場合、レイアウト計画は本部戦略の一環であるためオープンから次の改装まで大きくレイアウトを変更するケースは少ない。そこで今回は、既存レイアウトの活用方法について考えてみたい。

 原則として「顧客は視野に入った商品の中から購入する」といわれているので、買ってもらいたい商品をどれだけ顧客の視野に入れるかが重要になる。

 一般的なワンフロアの家電量販店のレイアウトに顧客の通過率を落とし込んだ図を参考に、詳しく解説しよう。例えば、100人の顧客が入店すれば黄色地の主通路Aの通過率は50%以上なので、50人以上が通過する。これに対して壁面Bは、15人程度しか通過しないことを表す。
 

 ここでテレビ売り場のレイアウト計画について考えてみよう。2009年のエコポイントや11年の地デジ化同様、18年12月の4K実用放送の開始、19年10月の消費増税、20年の東京五輪などのタイミングで、テレビの買い替えが期待されているが、一般消費者の多くはまだ実感していないだろう。まだ認知が進んでいないため、テレビコーナーはBの壁面に設けられることが多い。通過率は15%程度で、目的買いの顧客が中心となる。

 ただ、こういった潜在需要が見込める商品は、出入り口のCのステージで天吊り看板やスタンドPOPで派手に演出して「おすすめベスト3」など複数台展示で訴求すれば、来店客の100%の視野に入れることができる。「そろそろ」という新しい発見や気づきを与えることで、Bの壁面コーナーの通過率は向上するのだ。

 簡単には変更できない既存のレイアウトを最大限に生かすには、ちょっとした工夫を日ごろから意識することが大切である。(堀田経営コンサルタント事務所・堀田泰希)


■Profile
堀田泰希
1962年生まれ。大手家電量販企業に幹部職として勤務。2007年11月、堀田経営コンサルティング事務所を個人創業。大手家電メーカー、専門メーカー、家電量販企業で実施している社内研修はその実戦的内容から評価が高い。