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【家電コンサル堀田泰希のリテールマーケティング Vol.3】 シングル需要の「単価アップ」手法

売るヒント

2017/12/22 19:00

 【家電コンサルのリテールマーケティング】 年明けからシングル需要に向けた売り場づくりが始まる。今回はシングル向け商品販売の単価アップのポイントを説明しよう。

<第3回>シングル需要の「単価アップ」手法

 人間の心理として「自分のために購入するときは想定よりも安い商品を購入し、家族や自分以外の人が使うときは高い商品を購入する」という傾向が強まる。白物家電やPCは買い替え需要が中心で、消費者は必要に迫られて購入するケースが多い。そのため、購入者と使用者の関係を踏まえて提案すれば、単価アップのチャンスは多い。ただし、その際はベネフィットを伝えて、多少、背中を後押しする必要がある。

 例えば、初めて一人暮らしをする娘さんのケースで考えてみよう。大学入学や就職で一人暮らしをする娘さんの家電は、「親がお金を出し、娘さんが使用する」というケースが圧倒的多数で、親の心理は「一人暮らしだから、家電は安いものでいい」というもの。何もアドバイスしなければ、洗濯機なら4.2kgや5.0kgクラスになってしまう。

 そこで一言。「何階にお住まいになられますか?」と尋ねてみよう。娘さんが高層マンションに住むなら別だが、多くは低層階だ。返ってきた答えがたとえ4階や5階であっても、「ご心配じゃないですか? ベランダに女性用の洗濯物が毎日、夜帰宅するまで干しっぱなしだと、女性の一人暮らしがわかっちゃうんじゃないですか?」と言葉をそえる。

 残念ながら、ストーカーなどがベランダから侵入する犯罪が頻繁にテレビなどで報じられているため、顧客に詳しく説明しなくても、言わんとすることは理解していただける。そこで「娘さんの安全のためにも部屋干しできる乾燥機能付きにされませんか?」と問えば、娘を送り出す親は、多少の追加出費でも娘の安全を選ぶだろう。
 

必要に迫られて商品を購入する際の「購入者・使用者と単価の関係」

 顧客が気付かなかったリスクを示し、結果として娘さんに安全を、親には娘に安全な環境を整えられて「自分(親)が安心できる」というベネフィットを提供している。

 「よい提案」とは販売店にとっての単価アップも含めて、購入者・使用者に利益をもたらす。トークだけでなくPOPでも訴求できる。洗濯機以外の商品でも使われるシチュエーションを考えてみよう。楽しくなってくればしめたものだ。(堀田経営コンサルタント事務所・堀田泰希)

■Profile

堀田泰希
1962年生まれ。大手家電量販企業に幹部職として勤務。2007年11月、堀田経営コンサルティング事務所を個人創業。大手家電総合メーカー、専門メーカー、家電量販企業に実施している社内研修はその実戦性から高評価を得ている。